インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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規格外の二人目
―――簪side
私は臨海学校の用意のために本音に無理やり水着を買いに行かされた。それはともかく、今日は好きなアニメのDVDの発売もあり、それを買いに来ていたこともある。
そして買ってからちょうど休んでいると、ナンパされてしまった。
私はあまり人間が好きじゃない。どちらかというと苦手だ。よくできた姉と比べられるし、周りはそんな目でよく見る。
(……その点、彼は違った)
私は(全くそうだと思ったことはないのだが)ある家のお嬢様でもあり、私には小学生と同時に姉とは違い、二人の付き人が付けられた。その内の一人が本音でもある。
もう一人は本音の双子の兄で布仏祐人といって、ヒーローみたいによく私を庇ってくれた。本音とは違い、本音に奪われた給食のデザートや好きなモノを彼は秘密裏に取って置き、帰ってきてからよく私にくれた。
そんな彼のことを、私はもしかしたらお姉ちゃんを狙っているのかもしれないと思っていた。
意識を現実に戻してみると、男の人が私の腕を掴み、
「いいから大人しく来いってグボルァッ!?!」
その人が噴水を超えてどこかに飛ぶ。
「テメェ!!」
「どこのもんだ!!」
「うっせぇんだよ、カスが。何人のダチに手を出そうとしてんの? 死ねよ」
ナンパしていた人たちが第三者の出現に戸惑い、その人は冷静に挑発していた。
その人は私―――というより本音の友達なのだが、
(………やっぱり、似てる)
何回も接触しているが、こんなに似ていると思ったことは初めてだ。
さっきの話に戻すと、彼は私を虐めている人がいると、男も女も容赦なく殴った。一度私を狙った教師も告発した。その度合いが凄かった。
例えば―――私を狙っていた教師のパソコンをハッキングして(その時は教師の手作りだったため)テストの回答をクラスメイトに配って全員が高得点になるように仕組んだり、(余計な混乱を起こさないために)放送室を使って職員室に証拠と共にデータを流したりしていた。
そして子供には、容赦なく殴りつけた。
彼は以前からよく女子からモテていて、いつもいる私は嫉妬心で虐められていた。
それを一度本音の前でしたのが運の尽きでもあり、私が学校で休んだ瞬間に窓ガラスを割ったり、女子を脅したり。
そして男子には、私が人質に取られても早い攻撃でその男子の顔を踏みつけた。
そして今の風宮君には、同じ獰猛さが漂っていた。
男三人に絡まれていた私を放置し、今は2対1で戦っている―――が、すぐに勝負が着いた。
「………で、遺言は?」
その時期でもう遺言を聞くんだ……。
風宮君は、現在男の一人にアイアンクローを使用している。
「おいテメェ! この女がどうなってもいいのか!?」
さっき殴り飛ばされた男が私を人質にした。……だから、それはダメだって……
―――ゲシッ
風宮君は遠慮なくその男を蹴ると一緒に倒れそうになる私の肩を掴んで助けてくれた。
そして用はないとばかりに私を抱えてその場から逃げた。
「やっべー。まさか近くに警察がいるとはな………」
それが理由だったのか。
■■■
彼はあまり人がいないところで私を降ろした。
「……ありがとう」
「気にすんなって。ほんの少しはストレス発散できたから」
あれでほんの少しというのは驚きだ。
私たちは昼時も近いと言うことで近くの店に入った。
「それにしても、大丈夫か? さっきの奴らうるさそうだしな………」
「……大丈夫。自分の身は……自分で…守れる……」
「そっか。じゃあ、余計なことをしてしまったかもな………」
「……気にしてない」
「そりゃ良かった」
そして彼の前には頼んだ特大パフェが置かれた。
「……食べ切れるの?」
「問題ない。今みたいに戦闘で浪費した体にはピッタリだ。どうやら俺は昔から甘いものが好きみたいだからな」
? 好きみたいだ?
「どういう……こと?」
「え? 普通に甘いものが好きなだけなんだけど………」
……もしかして、本音は―――彼が祐人と同じ人物だって気付いてた?
そう思うと涙が出て、私は「トイレに行く」と伝えてその場から移動する。
「………やっぱり………彼は………」
彼は私が殺した―――いや、それも同然だった。そのはずだった。
だけど彼は、私のせいで誰かに殺された。そう思っていた。
あの時も、私を逃がすために、私を撃って、怖がらせて………それで………
「……良かった」
そこでふと、あることに気づく。
(あれ? お姉ちゃんは知ってるのかな?)
■■■
考え事をしていたために、遅くなってしまった。
申し訳ないと思い、私は外に出ると、
「―――おい」
―――スチャ
男に頭に銃を突きつけられる。
「言われた通りにしろ」
そう言われて私は誰にも気付かれないように移動させられた。もちろん、あらかじめ睡眠薬を飲まされていたのか風宮君は寝ていた。
そのまま外に出されて、見たことないが、明らかにその筋の物の車が置かれていた。
「入れ」
「―――いや、入る必要ないだろ」
(………だから、何でタイミングよく来るの?)
声がした方を見ると、そこには風宮君がいた。
「お前、どうして―――だがまぁいい。この女が死んで欲しくなければ―――」
「―――死ね」
いきなり目に前に現れたら誰も反応できないだろう。それほど早く風宮君は私の隣に現れて男を蹴り上げ、
―――ダンッ
車を踏み台にして空を飛ぶ。
そして男を蹴り飛ばして噴水に着水させ、車の屋根をへこませた。
(………やっぱり凄い。規格外すぎる)
その後、彼はどういうことか私の言うことに従ってくれて私は当初の目的を果たすことができた。
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