インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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ウザイ人間には制裁を♪
明日から、俺たちは臨海学校が行われる場所に向かう。
臨海学校というものは合計三日あり、初日がまるまる自由時間で二日目がIS装備のテスト。そして三日目が帰るだけという、要は場所を移してのテストだ。
それで今日は水着を買いに来た。水着なんて持っていないのでだ。………まぁ、持つ暇もなかったのが本音なんだが。
(ところで、これはなんだろうか………?)
俺は目の前にいる目が虚ろになっている二人を見る。そこには中・英の代表候補生がいた。言うまでもなく、凰とオルコットだ。
そして二人の視線を追うと、一夏と正体をばらしたデュノア。二人は手を握っていた。
「……あのさあ」
「……なんですの?」
「……あれ、手ぇ握ってない?」
「……握ってますわね」
オルコットはペットボトルを握り締めた。そのせいで蓋が吹き飛んだが、本人はそれに気づいていない。
「そっか、やっぱりそっか。あたしの見間違いでもなく、白昼夢でもなく、やっぱりそっか。―――よし、殺そう」
凰がISを展開したので俺はカメラで撮影した。理由はもちろん織斑先生に伝えるためだ。音はもちろんさせていない。隠し撮りだ。
「ほう、楽しそうだな。では私も交ぜるがいい」
「「!?」」
ボーデヴィッヒの出現に二人は驚いていた。
「なっ!? あ、あんたいつの間に!」
「そう警戒するな。今のところ、お前たちに危害を加えるつもりはないぞ」
「し、信じられるものですか! 再戦と言うのなら、受けて立ちますわよ!?」
「その前に凰は条約違反で説教だろうけどな」
もうどうでもよかったので、俺も入った。
「あ、ちなみに撮影済み」
「今すぐ消しなさい!」
「は? 何で? 却下に決まってんじゃん」
これをネタに脅迫してやる。(嘘だけど)
「では、私は一夏をおうので、これで失礼するとしよう」
「俺は水着とその他諸々だな」
俺とボーデヴィッヒは目的に従ってそれぞれ行こうとしたら、
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! そしてアンタは消しなさいよ!」
「そ、そうですわ! 追ってどうしようといいますの!?」
「決まっているだろう。私も交ざる。それだけだ」
「その清々しさをお前らも見習えよ。それと報告してから消すから」
そもそも俺は凰に従う義理はない。だからそのままスルーしたいが、
「はいはい。消せばいいんでしょ。消せば」
そう言って満足そうに頷く凰を見てムカついたので、
―――ドスッ、バタッ
凰を気絶させてその場に倒した。
「風宮。お前は鬼か?」
「生憎、たかがISを使えるからって調子に乗っている女を殺したいと思っている人間なんでね」
そう言って俺はそのまま水着売り場に向かった。
■■■
目的の場所に着き、俺は男用の水着を探していた。『レゾナンス』というショッピングモールは品揃えがよく、結構な賑わいがある。
そして簡単に黒の水着を選び、ほかの場所に行こうとすると、
(あ、一夏じゃん。……一人か)
すると、これ幸いとばかり目を付けられて一夏が抵抗する。
(まぁ、世の中そういう奴もいるわな……)
幸い、俺が旅した田舎に類されるものではそれはなかった(というかその時点で孤独死確実)のだが、都会では男をこき使う女など何人もいる。そういうのはただ政府が出した『女性優遇制度』にのっかって調子に乗っている奴で、反抗すれば警察を呼ばれ、その女性が『暴力を振るわれた』などと言われたら即有罪。最悪の場合は死刑も有りうる。もはや、ISが扱える可能性があるからといってやりすぎだ。ま、大抵の女が雑魚でしかないんだけど。
そんなことを思いながら俺は開放しようと近づいた。
「何やってんだ、一夏」
「あ、祐人」
「ちょうどいいわ。あなた、この男を拘束しなさい」
俺はふぅとため息を吐き、
「低レベルごときがこの俺に指図してんじゃねぇよ」
超弩級の爆弾を投下した。俺の発言に一夏までもが驚いている。
「あ、あなたねぇ!?」
「それとも、お前はニュース見ないのか? お前がパシリにしようとしているのは、男性操縦者コンビだぞ。まぁ、一緒にされるのは虫酸が走るが」
「………嘘!?」
「って、おい! さりげに俺を侮辱するなよ」
「教科書捨てた馬鹿が何言ってんの?」
「う……」
俺の指摘に一夏が顔を背ける。
「つまり、お前は専用機持ちに喧嘩売っているわけ。理解した? それとも―――死にたい?」
「あ、あぁ………」
絶対零度の視線を向けると、その女性は怖がってどこかに行ってしまった。
「お、おい祐人、今のはやりすぎ―――」
「身の程をわきまえていない自業自得だ。それとデュノア、さっさと出てきたらどうだ?」
「あ、うん」
デュノアは現れてすぐに一夏を拉致した。
俺はその光景に呆れながら遠くで三人が移動してくるのを感じた。
(さっさと告白すればいいものを………)
俺は内心呆れていた。
そしてしばらくすると、対照的な光景が目に入った。それは―――
(簪さんがナンパされてる!?)
まぁ、わからなくもない。彼女は胸がないとかよく言われるが、はっきり言ってよくモテる。その筋だとファンクラブがあるらしい。まぁ、みんなあの内気な感じがいいという意見だが。
そしてナンパしているのはチャラ男だった。
少しばかりムカついたので、俺はそこに接近する。
(………?)
段々と近づいていくとわかったのだが、何故か殺気が向けられている。あのチャラ男たちに。
(どこの誰だか知らないけど、何で迷っているんだ?)
本当は助けたいのだろうが、それでも接触は不味いと思っているのだろうか? まさか、裏の人間? それで恋して動けない状況か。
色々と残念な奴と思いながら俺は―――見てしまった。
「いいから大人しく来いってグボルァッ!?!」
簪さんが強制に連れて行かれそうになっているのを。だから殴った。
その男は近くにあった噴水を超えて地面に激突。
「テメェ!!」
「どこのもんだ!!」
「うっせぇんだよ、カスが。何人のダチに手を出そうとしてんの? 死ねよ」
その挑発にムカついたのか、男たちが武器を出した。
これで俺は確信した。
―――ああ、これで遠慮なく暴れられる。
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