真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第49話 劉備に気に入られる?
私は白蓮との有意義な時間を終えました。
劉備との出会いは余計でした。
白蓮の家を出ると夕焼けが綺麗でした。
「白蓮、今日はありがとう。そうだ!白蓮に頼みがあるんだがお願いできないか?」
私は折角、啄県に来たので盧植に会いたいと思いました。
盧植は確か史実で冀州牧となった袁紹の軍師をしていました。
その後、袁紹が公孫賛と対立を始めた1年後に病死しました。
盧植は原作に登場しないです。
上手くやれば麗羽を支える重要人物になる可能性があります。
病で死ぬ盧植を私の力で救うことができると思います。
神様から与えられた私のチート能力があればどんな難病でも治療できます。
盧植が生きて袁紹の元にいれば、白蓮を説得させることも可能です。
「正宗君、なんだい?私にできることなら言ってくれ」
「明日、この街を起つつもりだ。その前に高名な盧植先生にお会いしたい。取り次いで貰えないか?」
「そんなことならまかせてくれ!今日は遅いから明日の朝でいいかな。朝早くなら先生とゆっくりと話ができると思う」
白蓮は屈託のない笑顔で私の頼みを聞いてくれました。
彼女は本当に善良な人柄だと思いました。
いずれ彼女は是非とも私の陣営に組み込もうと更に強く思いました。
「朝早くでは盧植先生にご迷惑ではないかな」
「先生はそんなこと気になさらない。それに先生は朝が早いから大丈夫だよ。明日、迎えに行くから正宗君達が泊まる宿を教えてくれないか?」
「まだ、泊まる宿は決めていない。明日の朝、私が白蓮の家を訪ねるよ」
「そうか分かった!じゃあ、明日」
白蓮は笑顔で言った。
「正宗様、私も同行してもよろしいでしょうか?」
揚羽が私に頼んできました。
「揚羽さんが行かれるのでしたら私も行きますわ」
「私達は街を見て回るの―――」
「ウチも沙和と街で面白いモノがないか物色するわ」
「私は沙和と真桜が羽目を外さないように見張っておきます」
「凪も骨休めをするといい。旅に出れば、いつゆっくりと休めるか分からない」
「はっ!正宗様、お心遣い感謝します」
私達が明日のことを話していると劉備が私に話掛けてきました。
「劉ヨウさん、白蓮ちゃんと真名を交換をしているみたいだし、折角なので私ともお友達になりませんか?」
劉備が屈託のない笑顔をしました。
彼女の場合、悪意はないのでしょう。
「折角の申し出で申し訳ないが、劉備殿とは真名を交換するのは遠慮させてくれ」
「えっ?何でですか?」
劉備は私の言葉が信じられない、という表情をしています。
誰が彼女みたいな歩く疫病神と仲良くなりたいと思います。
私は御免被ります。
「私とあなたは水と油です。それに・・・・・・。あなたの考え方は虫酸が走るんです」
劉備にオブラートで包んだ言葉は彼女に伝わらないと思いました。
私は彼女に歯に衣を着せぬ物言いをしました。
「・・・・・・。私も劉ヨウさんの考えは間違っていると思います。でも、あなたと私は仲良くなれると思うんです」
私は彼女の笑顔にどっと疲れを覚えました。
これが劉備マジックでしょうか?
彼女は人の感情は一切無視して、自分の想いを他人に押し付ける迷惑な人物だと悟りました。
「あなた何を言っていますの!さっきは正宗様に失礼な発言をしていたくせに」
麗羽は劉備の言葉に憤っているようです。
「私も麗羽殿と同じ意見です」
麗羽の発言に揚羽も賛同しました。
「そ、それは・・・・・・」
麗羽の剣幕に劉備は縮じこまっています。
「まあまあ、麗羽。桃香も悪気があった訳じゃないんだ。桃香だって反省している。うじうじ起こったことを蒸し返さなくてもいいだろ」
白蓮が麗羽の仲裁をしてきました。
「白蓮さん、あなたはどちらの味方ですの!そんな失礼な人の肩を持つなんて理解できませんわ!」
麗羽は白蓮に怒りの矛先を変えました。
「麗羽、私は桃香と麗羽、両方の味方・・・・・・」
麗羽の剣幕に白蓮は尻すぼみになりました。
私は一度嘆息しました。
白蓮が可哀想です。
彼女に非があるわけでないです。
私が劉備と縁を持ちたくないだけです。
ここは白蓮の顔を立ててあげましょう。
「麗羽、ここは白蓮の顔を立ててあげよう」
私は麗羽の肩に手をかけ、彼女に声をかけた。
「正宗様。・・・・・・。分かりましたわ」
麗羽は劉備をひと睨みすると私の後ろに下がりました。
「よろしいのですか?」
揚羽は私の顔を伺いました。
「ああ、構わない。これもまた天意だと思って諦めるしかない。白蓮がいなければ無視するんだが、そうもいかない」
後半は揚羽にしか聞こえないように言いました。
「劉備殿、私の真名は正宗だ」
私は劉備に向き直り短く自分の真名を伝えた。
劉備が今後、私に厄介ごとを持って来たら、多少強引でも排除すればいい。
もし、天の御使いが劉備の元に現れたら、公然と天の御使い共々彼女を逆賊として討伐してやります。
「私は劉備、字は玄徳、真名は桃香です。正宗さん、お互い頑張りましょうね」
桃香は爽やかな笑顔で私に微笑みました。
彼女の笑顔は『太陽のような笑顔』という言葉がピッタリだと思いました。
この笑顔で多くの者を騙していくと考えると、犠牲者が哀れに思えました。
もし、原作を知らなかったら私も騙されていたでしょう。
「じゃあね!正宗さん、白蓮ちゃん、私は帰るね」
桃香は私と白蓮に挨拶をすると立ち去っていった。
彼女の後ろ姿を追うと、すぐ立ち止まりこちらを向きました。
「正宗さん達は明日、旅に出るんですよね?じゃあ、見送りに行きますね」
彼女はそれだけ私に言うと走り去りました。
麗羽達と真名を交換しませんでした。
私と真名を交換したいと思った?
・・・・・・。
まさか・・・私を気に入ったとかは無いですよね?
考えないことにします。
ページ上へ戻る