夢幻水滸伝
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第三百六十八話 ブラジルにてその十五
「毒蛇も猛獣も多くてね、けどモンスターはいないわね」
「この世界とは違い」
「ええ、色々危ないけれど」
それでもというのです。
「そのことは違うわね、こっちのアマゾンと比べるとね」
「危険度は低いですか」
「聞いてるとね」
「こちらの世界のアマゾンはですね」
「あたい達が起きた世界のアマゾンより遥かに危険よ」
「そうですか」
「そやから人も立ち寄らないのね」
アレンカールはあらためて思って言った。
「そういうことね」
「そうなります」
「そうよね、あたいもアマゾンには進出しないわ」
市長に約束した。
「川の港町をね」
「掌握する位ですね」
「どう考えても密林は無理だから」
その地域の掌握はというのだ。
「河川にしても危ないけれどね」
「アマゾン川は他の河川より遥かに獣やモンスターが多いです」
「そうよね」
「ですから迂闊に入りますと」
「死ぬわね」
「泳ぐことすらです」
この行為すらというのだ。
「迂闊にはです」
「行えないわね」
「ピラニアも鰐もいまして」
「水棲モンスターもね」
「大型の鯰に淡水生の鮫もです」
「そうそう、起きた世界のアマゾンに鮫はいないのよ」
アレンカールはこのことを指摘した。
「実は」
「そうなのですね」
「あと巨大アナコンダも本当にいるかどうか」
「二十メートル以上ある」
「そのことも違うわ、恐竜もいないしね」
起きた世界のアマゾンではというのだ。
「そやからね」
「まだ安全ですか」
「そうよ」
これがというのだ。
「そやからね」
「まだましですか」
「ええ、それでアマゾンは河川添いのね」
「諸都市を加えて」
「アマゾンは精鋭を探検隊に送って調査はしても」
それでもというのだ。
「街や村をもうけることはね」
「しないですね」
「環境保護の為にもね」
この観点からもというのだ。
「進出はしないわ」
「そうですか」
「ええ、ただ河川の諸都市と航行の安全を考えて」
「水軍は置きますね」
「そうするわ、幾らアマゾンの獣やモンスターも武装した軍隊やと勝てるわね」
「はい、ブラジルの技術レベルの軍隊ならです」
市長はそれはと答えた。
「水軍ならば大砲を装備した蒸気船ですから」
「有利に戦えるわね」
「左様です」
まさにというのだ。
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