夢幻水滸伝
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第三百六十六話 戦場での会談その五
トウェインは仕事が終わってからだ、こんなことを言った。
「書類仕事はついて回るな」
「どうしてもな」
メルヴィルも仕事を終えて言った。
「政をしてるとな」
「そやな」
「政策を実行させるにもな」
「サインが必要やな」
「それさえしたらな」
「それで動くな」
「そや、どんな無能でもな」
そう言われる様な人物でもというのだ。
「サインしてるとな」
「それだけでちゃうな」
「ほんまの無能はサインも出来ん」
そうだというのだ。
「サインしたらな」
「それだけでちゃうな」
「そや」
まさにというのだ。
「蜀の劉禅さんかてな」
「無能の代名詞やな」
「日本でもな」
中国だけでなくというのだ。
「そうやが実は最近評価高い」
「それは何でかというとな」
「サイン、決裁すべき文章に印は押してたからな」
「ちゃんとな」
「皇帝としての務めは果たしてた」
それはというのだ。
「ちゃんとな」
「それだけちゃうな」
「そや、孔明さん達がやった仕事をな」
それをというのだ。
「皇帝として印を押してや」
「動く様にしてたな」
「幾ら丞相の孔明さんが有能でもな」
そして日の出ないうちから真夜中まで働いてもだ。
「皇帝が印を押さんとな」
「動かんからな」
「それでや」
その為にというのだ。
「劉禅さんは無能と言われてもな」
「かなりましやな」
「そや、確かに自分から政策を出したり学問好きとか頭脳明晰とかいうタイプやないが」
メルヴィルはそれでもと話した。
「そやけどな」
「それでもやな」
「そや」
これがというのだ。
「それだけでちゃうかった」
「そやから蜀も四十年もってたわ」
「三国で一番劣勢でもな」
「そうしたことがわかったからやな」
トウェインも言った。
「劉禅さんは最近評価が高まってるな」
「無能と言われても平時やとな」
「国を潰さんかったな」
「そやったわ」
「そう思うとそんな叩かれることもないな」
「無能やてな」
「そういうことやな」
メルヴィルの言葉にペンを収めつつ話した。
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