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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第12話 見えない侵略者

「始めまして、僕の名前は本郷猛と言います」

戦闘を終えた後、本郷となのはは揃ってアースラへと案内された。
新しい仲間を迎え入れる為だ。
アースラメンバーの皆は本郷を歓迎してくれた。
そんな中、何故か甲児だけは本郷を見て目を輝かせていた。

「どうしたの? 甲児さん」
「だぁってよぉ! あの本郷猛さんなんだろ? 全日本モトクロス大会の優勝者の! 俺、凄い感激だぜぇ!」

諸手を挙げて喜ぶ甲児。
どうやら彼にとっては本郷に会えたのが何より嬉しかったようだ。
それを見ていた皆が苦笑いを浮かべていた。

「君は僕を知っているのかい?」
「勿論ですよ! 俺、本郷さんの大ファンなんです。是非握手して下さい」
「あ、あぁ…」

本郷は一瞬躊躇った。
自分は並の人間じゃない。
ショッカーに改造されたせいで力のコントロールが出来なくなってしまっていたのだ。
其処で下手に握手などに応じて彼の手を握りつぶす訳にはいかない。
しかし折角握手を求めてくれたのにそれに応じないのも申し訳ない。
本郷は最新の注意を払って甲児との握手を交わした。
握手を終えると甲児はその手を振りかざして叫んでいた。

「うおぉぉぉぉ! 俺もう手洗わねぇからなぁ!」
「甲児さん、それ汚いですよぉ」

隣に居たなのはが早速ツッコミを入れる。
それを見ていたメンバーのドッと笑い声が響いた。
思わず本郷も噴出してしまう。

「賑やかな場所だろう?」
「えぇ、驚きましたよ。あんな若い子達が戦っているなんて」
「そうだな。僕としても彼等が戦いの場に出ると言うのは正直心が痛むよ」
「ですね」

ハヤタと本郷は目の前で騒いでいる甲児となのはを見た。
本来なら学校に通って友達と楽しく過ごしている年齢の筈だ。
だが、不運にも戦いに巻き込まれてしまった二人。
出来る事なら二人には戦いから遠ざかって欲しいと願っているのだが、それは敵わない願いでもある。




     ***




地球は狙われている。
今、こうしている間にも宇宙から数々の侵略者が地球に迫ってきているのだ。
そしてそれは、君達のすぐ側にまで迫ってきているのかも知れない。




とある交差点、その日警備員が路上調査の為道行く人々に免許証の確認等を行っていた。
そして、あるドライバーの確認を行おうとした時、突如激しいスパークが起こりドライバーの姿が忽然と消えてしまったのだ。
驚いた検問達は震え上がり恐怖の叫びを上げていた。
そんな検問達が見ていたドライバーを失った車は、空しくエンジン音だけを響かせていたのであった。


それから翌日、直ちにそのニュースは時空管理局、並びに科学特捜隊へと送られてきた。

「突如として人が消え去る事件……かぁ」
「これは、只事じゃありませんね」

科学特捜隊内に設けられた会議室内でムラマツキャップとリンディが話していた。
今朝の朝刊のニュースである。
其処には例の人間喪失事件がデカデカと載っていた。

「これで既に5件目か……」

ムラマツはパイプを口から話してそう呟いた。
そう、この事件は今に始まった訳ではない。
既に数日前から何人も犠牲者が現れているのだ。
しかし、犯人の逮捕には未だ至っていないのである。
と言うのも被害者がそれぞれバラバラなのだ。
サラリーマン、スポーツ選手、警察官、それに一般市民とてんでバラバラなのだ。
その為犯人の目的や特定が難しく捜査は難航を極めていた。

「何か解決の糸口が見つかれば良いのですが」
「難しい事ですねぇ。此処まで鮮やかな手口では、専門家では宇宙人の仕業とも言われていますし」
「そう考えるのが妥当でしょうね」

そう言いながらリンディな用意されたお茶に砂糖とミルクを入れて軽く啜った。
その光景をムラマツは不思議そうに見ていた。

「ん? 何か私の顔についてますか?」
「いや、なんでもない」

他人の趣味にとやかく言うのは場違いな事だ。
ムラマツはパイプを咥えるとホワイトボードに目を通した。

「そう言えば、なのはちゃん達は今どちらに?」
「彼女達なら今ハヤタと一緒に今回捜査に協力してくれると言う組織の元に行きましたよ」
「それは何処なんですか?」
「地球防衛軍極東基地。またの名をウルトラ警備隊ですよ」




     ***




「うわぁ……」

なのはは今見ている光景に声を上げていた。
此処は地下深くに建設された地球防衛の要とも言われているウルトラ警備隊の本部である。
企業秘密の為何処にあるかは伏せさせて貰う。
ともかく、其処に今なのはとユーノは勿論、甲児、ハヤタ、本郷達は招かれていた。

「ようこそ、私がウルトラ警備隊隊長のキリヤマだ」

厳格そうな顔つきのキリヤマ隊長が招かれた部屋でなのは達を待っていた。

「科学特捜隊のハヤタです」

ハヤタがそう言ってキリヤマ隊長と握手を交わした。

「今回は君達にも協力して欲しいが為にこうして来て貰ったんだ」
「それって、例の人間喪失事件の事ですか?」
「そうだ」

ユーノの問いにキリヤマは頷いた。
既に皆人間喪失事件は知っているのだ。
今朝の朝刊、ニュース、その他でも既にその事件は取り上げられている。
警察も必死に捜査をしているのだが結果は見ての通りだ。

「今回の事件は余りにも奇抜かつ奇妙な事件なんだ」
「どんな風に人が消えるんですか?」
「詳しくは分からん。だが、人が消える瞬間、激しいスパークが起こりその直後で人が一瞬の内で消えてしまうと言うようなんだ」
「まるで神隠しだなぁ」

甲児が呟く。

「キリヤマ隊長。もしやこれは宇宙人の仕業ではないのですか?」
「その通りだハヤタ君。これだけの事をやってのけられるのは地球人では無理だ。恐らく驚異的な科学力を持った宇宙人だと我々は推測している。其処で対宇宙人のエキスパートである君達に協力を要請したんだ」
「へへっ、エキスパートだってよ。何かカッコいい響きだなぁ」
「うかれてちゃ駄目だぞ甲児君。敵はどうやら相当の科学力を持った宇宙人なんだからな」

浮かれる甲児を本郷が一喝する。

「す、すみません。本郷さん」
「確かに、本郷君の言う通りだ。だが敵の出方が分からん以上こちらも手の出しようがない。だが、何時までも引っ込んではいられん。これから我々ウルトラ警備隊の隊員を紹介する。一緒に来てくれ」

キリヤマ隊長に従いメンバーの皆がウルトラ警備隊の作戦室に行く。
其処には数名の隊員達が待機していた。

「紹介しよう。彼等が今回の事件の際に召集した臨時隊員達だ。彼等は皆異星人のエキスパートだ」
「しかし隊長。見た所其処に居る3人は明らかに子供ですよ?」

隊員の一人が甲児、なのは、ユーノを見て指差す。

「子供だと言って侮ってると痛い目を見るぞソガ。彼等は既に幾体もの怪獣と戦いを行った玄人達だ。我々よりも一手先を行っていると言う事を忘れるな」

キリヤマ隊長の厳しい声が響く。
それを聞いてソガと呼ばれた隊員が黙り込んだ。

「それでは紹介しよう。右から順に名乗れ」
「僕はソガです。射撃が得意です。さっきは子供と言って御免よ」
「アマギです。科学担当をしています」
「フルハシです。怪力なら地球防衛軍一と自慢なんだ」
「アンヌです。医療を担当しています。怪我したら遠慮なく言って下さいね」

それぞれが自己紹介をする。

「あ、あれ? フルハシさん? アラシさんじゃないんですか?」
「本当だ! 良く見るとアラシにそっくりだな」

なのはとハヤタがフルハシ隊員を見てそう呟く。

「へっ、俺にそっくりだって? そいつも余程イケメンなんだろうな」

自意識過剰とはこの事だろう。
とりあえず深くは問わない事にした。
本人がそう思っているのだから思わせておけば間違いはあるまい。
そう思っての事だったのだ。

「以上がウルトラ警備隊の主な隊員達だ。それじゃ次に君達の自己紹介をして貰おう」

今度はなのは達が隊員達に自己紹介を行った。
それらが終了した直後であった。
謎の怪電波が付近で確認されたと言うのだ。

「もしや一連の首謀者かも知れん。ソガ、フルハシ! 直ちに現場へ急行せよ!」
「「はっ!」」
「キリヤマ隊長。私達も行って良いですか?」
「あ、俺も俺も!」
「分かった。なのはと甲児の二人も連れて行け。残りは俺と一緒に敵の動向を調査する」

キリヤマの言い分にハヤタと本郷は頷いた。
二人は名の知れた秀才だ。
故に的確なアドバイスを期待しての事だったのだろう。

「よし、それじゃ早速行こう」
「二人共、当てにさせて貰うよ」
「おうよ! 泥船に乗った気でいてくれよ」
「甲児さん、それを言うなら大船ですよ」

間違えた事を平気で言う甲児にユーノがそっとツッコミを入れた。





     ***




移動用特殊車両である【ポインター】に乗り込んだ5人は直ちに現場へと急行する為車両の置いてある駐車場へとやってきた。

「おや? そう言えばさっきの金髪坊やは何処に行ったんだ?」
「此処に居ますよ」

そう言ってなのはは両手で抱えていたフェレットを見せた。
それを見せられたフルハシとソガは目を点にした。
一体何を言ってるんだこの娘は?
そう思っていた時だった。

「この姿の方がスペースを取らないんで基本移動の際はこの姿で行くようにしてるんです」
「うわぁ! 鼠が喋ったぞ!」
「何言ってんだフルハシ! そいつはイタチだぜ」
「二人共違いますよ。ユーノ君はフェレットですよ」

二人して間違えたのになのはが訂正した。
まぁとにかくユーノがフェレットの姿で居られると言うのを理解した所で一同はポインターに乗り込む。
そうして、現場へ向い先を急いでた時であった。
細い砂利道を走っていた時の事だ。
目の前を一人の青年が立っていたのだ。
黄色いジャケットとジーンズを履き、大きな布袋を肩に担いだ青年が居たのだ。
その青年がポインターの進路上に立っていたのだ。

「コラッ! そんなとこで突っ立ってるんじゃない! 邪魔だろうが」

フルハシが怒声を上げるも、青年は笑ってみているだけであった。

「何だアイツ? 変な野郎だなぁ」
「ヒッチハイクじゃないですか?」
「だからって今乗っけてる場合じゃないだろう」

後ろで甲児となのはが話し合っている。
その間も、青年は不適な笑みを浮かべているだけであった。

「しょうがない。ソガ、一丁お見舞いしてやれ」
「おう」

フルハシの言葉に頷くとソガは手元のボタンを押した。
するとポインターの正面から白いガスが噴射された。
ガスは青年を覆い尽くして行き、ガスが消えた時には青年も消えてしまった。

「ハハハ、ざまぁみろ」
「え? 今のガスって何だったんですか?」
「只の催涙ガスさ。さて、それよりもさっさと先を急ごう」

そう言いアクセルを踏み込む。
だが、おかしな事にポインターが少しも前に進まないのだ。

「アレ? おかしいなぁ」
「故障でもしたのか? もしくはパンクかぁ?」

後ろに居た甲児となのはがポインターから降りてタイヤを確認する。
しかしタイヤは別にパンクなどしていなかった。
正常のままだ。
特に問題はなさそうだな。
そう思いボンネットを見ると、其処には先ほどの青年が座っていたのだ。

「お前! 何時の間に其処に乗ったんだよ」
「ハハハ!」

甲児が叫ぶがそれに対して青年は不適に笑うだけだ。
遂にはソガとフルハシも出て来る。

「この野郎! 俺達の邪魔すると承知しないぞ!」
「邪魔だなんてとんでもない」

ソガの言い分を否定して青年はボンネットから飛び降りてソガ達を見る。

「寧ろ貴方達の命を助けてあげたんですよ。ソガ隊員にフルハシ隊員」
「な、何で僕達の名前を?」
「それだけじゃない。貴方が兜甲児でマジンガーZのパイロットだって事も知ってますよ」
「え? マジでぇ!」
「そして、君が高町なのはちゃん。時空管理局にスカウトされた新人魔導師って事も知ってるし、その肩に乗ってるフェレットがユーノ・スクライア君だって事も知ってるよ」
「凄い、どうして私たちの事を知ってるんですか?」

皆は驚いた。
初めて会ったと言うのにその青年は自分達の事を知っていると言うのだ。
少し気味悪くなった。

「そんな事よりもお前、俺達の命を救ったってどう言う事だよ?」
「此処から先へ行ってはいけない。命が惜しかったらこの先へ進んじゃいけない」
「おいおい、何言ってるんだよ。笑わせるなよ」
「甲児の言う通りだ。そんなのが怖くてウルトラ警備隊が勤まる訳ないだろう?」

フルハシとソガが揃って笑っていた。
隣では甲児も一緒に笑っている。
だが、なのはは何故か笑えなかった。
何故かこの青年は不思議な人に思えるのだ。
強ちこの青年の言っている事が嘘とは思えない。
そうなのはは思えたのだ。
そんな時、ポインターの横を一台のパトカーが通りかかった。

「ご苦労様です。これからこの先の巡回をしますので」
「待つんだ! 此処から先へ行ってはいけない!」
「何言ってるんだ君は? 捜査の邪魔をすると公務執行妨害で逮捕する事になるよ」

警官も青年の言葉に耳を貸さずそのまま通り過ぎてしまった。
その時、何もない上空から白熱の光弾が放たれた。
それはパトカーに命中し、その瞬間パトカーが姿を消してしまったのだ。
それを見た一同がギョッとする。

「だから言ったのに」
「一体、今のは何だ?」
「貴方達が相手にしているのは、恐ろしい宇宙人なんです。奴等は来るべき地球侵略の為の前準備として多くの人間を捉えて研究をしていたんです」
「研究だって!」

青年から聞かされたのは驚きであった。
しかし、それで二つの謎がハッキリした。
一つは今回の一連の事件の犯人が宇宙人である事。
もう一つはその事件の目的が地球人の調査であるとの事だったのだ。
つまり、まだ捕まった人達は生きていると言う事が分かれた。
それだけでも嬉しい事だ。

「それにしても、そんな事を知ってるあんたは一体何者なんだ?」
「ご覧の通り只の風来坊ですよ」
「名前は何て言うんだよ?」
「名前? そうですねぇ……モロボシ・ダンとでも名乗っておきましょう」

青年こと、ダンが名前を言う。
そんな時、突如上空から白熱の光弾が今度はこちらに向けて放たれてきた。

「危ない! すぐ岩陰に隠れろ!」

青年の声を聞き一斉に岩陰に隠れる。
だが、光弾が地面に当たった際の爆発に巻き込まれたのか、フルハシは肩を、ソガは膝を負傷してしまった。

「ぐあっ!」
「づっ!」
「フルハシさん! ソガさん!」

負傷した二人の名をなのはは叫んだ。
その間も上空からの攻撃は続いている。

「レイジングハート!」
【プロテクション!】

なのはは直ちにデバイスを起動し、皆を覆い隠す位の大きさの結界を張り巡らした。
これで光弾が当たる心配はない。

「凄い、流石は対異星人のエキスパートだなぁ」

ソガもフルハシもなのはのそれには驚かされた。
その結界を張ったままゆっくりとポインターへと向う。
その間にも光弾は止む事がなかった。
幸いレイジングハートの張ったプロテクションのお陰でどうにか無事にポインターまで辿り着く事が出来た。

「早く、中に乗ってください!」
「すまない。おい、お前! 運転出来るか?」
「出来ます」
「だったら頼む! 俺が道案内するから本部まで行ってくれ」

フルハシが助手席に座り、ソガと甲児が後部座席に座る。
そしてダンが運転席に座り、なのはも結界を解いて中に乗り込もうとした。
だが、其処へなのは目掛けて白熱の光弾が迫ってきていた。

「なのは、危ない!」
「え?」

咄嗟にユーノがなのはを突き飛ばす。
その際にユーノの体に白熱の光弾が命中し、一瞬スパークしたかと思うとユーノの姿が忽然と消えてしまったのだ。

「ユーノ君! そんな……」
「早く乗れなのは! お前も消されちまうぞ」

甲児の叫びを聞き、なのはは急ぎポインターに乗り込んだ。
その後、バリアを張り本部へと道を急いだ。

「こちらソガ、本部、応答願います!」
『こちらキリヤマだ。どうした?』
「敵の攻撃を受けてフルハシ、ソガ負傷。ユーノが敵に捕まってしまいました」
『何! 大丈夫なのか? すぐに迎えに行く、其処を動くな!』
「とんでもない! 上にはまだ敵が居るんです。幸い運転出来ますから5分で戻ります!」

通信を入れてからおよそ5分後、ウルトラ警備隊本部に一同を乗せたポインターが帰ってきた。
ソガとフルハシは直ちに医務室へと連れて行かれ、甲児となのははダンと一緒に作戦室へと移動していった。




     ***




「すると、敵は人間標本を作る為に次々と人を誘拐していったと言うのか?」
「あの青年からの表現だとそう断言出来ます。そして、異星人は本格的な侵略活動を開始したと予想されます」

ダンの公言を聞いたキリヤマは直ちに参謀達に報告をした。
それを聞いた参謀達は頭を抱えた。
あれだけの驚異的な科学力を持った異星人が本格的な侵略活動を起こしたと言うのだ。
果たして人類の力でその異星人に対抗出来るのだろうか?
そう思っていた時、アマギが参謀室へと入ってきた。

「隊長、すぐに作戦室に来て下さい!」
「どうした?」


アマギに導かれるままにキリヤマと参謀達は作戦室に入った。
其処にはモニター一面に浮かぶ謎の異星人の姿が映っていた。

【地球防衛軍に告ぐ。今すぐ武装解除して我等クール星人に前面降伏せよ】
「クール星人だと?」
「この一連の事件は貴様の仕業なのか?」
【その通りだ。我等の科学力をご覧になっただろう。大人しく降伏した方が身の為だぞ】

不適な笑みを浮かべながらクール星人が言う。
その笑みは何処か不気味ささえ感じられた。

「ふざけるな! 地球には我等だけじゃない。他にも多くの仲間が各所に居るんだ!」
【ふん、地球人など、我々から見れば昆虫同然だ!】
「けっ、何言ってやがる! てめぇが一番昆虫みてぇじゃねぇか!」

甲児が叫ぶ。
確かに見てくれは昆虫にも見える。
だが、間違ってもこんな昆虫は欲しくない。
そうなのはは思えた。

「捕らえた人達はどうしたんだ?」
【安心しろ。殺してはいない。見るが良い】

映像が変わる。
其処にはクール星人が攫った人達が無重力のエリアでもがいている光景が映っていた。
そして、その中には先ほど敵に捕まったユーノの姿もあった。

「ユーノ君!」
「てめぇ、人質なんざ汚ぇぞ!」
【何度でもほざくが良い。こいつらの命は貴様等の返事一つでどうにもなるのだぞ】

明らかな脅迫であった。
降伏に応じなければ人質は殺す。
そう言っているのだ。
苦渋の選択であった。
しかし、其処で弱みを見せれば敵は付け上がる事になる。
決して弱気になっては駄目だ。

「断る! 我々は断固貴様には屈しない!」
【フン、後悔するぞ】

その言葉を最後に映像はプツリと消えてしまった。
その直後、京浜工業地帯が見えない襲撃に会い壊滅状態に陥ったとの報せがとどいた。

【フフフ、いかがかな諸君】
「クール星人!」
「汚ぇぞこの野郎! 正々堂々勝負しやがれ!」

怒りを露にした甲児がモニターに映るクール星人に向かい声を発する。

【ふん、野蛮な猿め、次は東京を攻撃してやる。貴様等は其処で指を咥えて見ているが良い】

そう言って再び映像が消え去った。

「畜生! 何か手はないのかよ!」

悔しそうにフルハシが机に手を叩き付けた。
悔しいのは皆同じだ。
このままでは大都市東京が火の海と化してします。
しかし、姿が見えない上に人質が取られてる以上下手な行動は起こせないのだ。
何か打開策が欲しかった。

「ダンさん。何か手はありませんか?」
「一つだけ手がある。奴等の円盤は保護色を使って身を隠しているんだ」
「成る程、カメレオンと同じ擬態の能力を用いていると言うのか」

本郷は納得する。

「其処で、奴等の円盤に特殊噴霧装置を吹きかけてやれば、その擬態を解く事が可能です」
「成る程、だがそれの完成にどれ位時間が掛かる?」
「科学班の協力があればすぐに出来ます」
「よし、早速とりかかろう」

特殊噴霧装置の完成にはダンの言った通りそれ程時間は掛からなかった。
ウルトラ警備隊の科学班が総力を挙げて作り上げた特殊噴霧装置をウルトラホーク1号に搭載し、クール星人の乗る円盤に向かい発進した。
その横をハヤタの操るビートルと甲児の操るホバーパイルダーが飛行する。

「よし、噴霧装置を発射せよ! その後に、円盤の推進装置を攻撃する」

キリヤマ隊長の命を受けた直後、ホーク1号に搭載されていた特殊噴霧装置が放たれる。
赤い特殊塗料が上空に散布され、その中から赤い色のついた円盤が姿を現した。

「やりぃ! これなら攻撃出来るぜ!」
「甲児君、分かってると思うがコクピットを狙ったら駄目だからね」
「分かってますよ」

ハヤタに言われて頷く甲児。
ホークとビートル、そしてパイルダーの三体により一斉攻撃を受けた円盤が推進系を攻撃され航行不能状態となり不時着してしまった。
それを近くの山岳地帯で待機していた仮面ライダーとなのはが見ていた。

「よし、行くぞ!」
「はい!」

なのはは頷きサイクロンの後ろに跨る。
なのはを後ろに乗せた状態でサイクロンが山岳地帯を駆け抜ける。
目指すは不時着した円盤である。
作戦内容としては上空に居る彼等が不時着させて、それを仮面ライダーとなのはの二人が円盤内に侵入して人質を救出すると言う作戦である。

【おのれぃ、地球人共めぃ!】

円盤の中から巨大化したクール星人が現れた。
そして上空を飛び回るホーク等に攻撃を仕掛けてきたのだ。
思ったとおりだ。
自意識過剰気味なクール星人の事だ。
此処までされてプライドをズタズタにされたのだ。
黙っていられる筈がない。
必ず打って出るだろう。
そう思われていたのだ。
そして、宇宙船は今もぬけの殻の状態となっていた。
其処へ仮面ライダーとなのはが進入する。
中はそれ程複雑ではなかった。
仮面ライダーは計器と言う計器をひたすらに破壊し続けて行き、その足取りで人質を探していた。
するとある部屋の中で無重力エリアの様な場所で隔離されている人達を見つける。

「此処に捕まっていたのか!」
「ユーノ君も居る! すぐに助けないと」
「よし、すぐに助け出そう」




     ***




その頃、ホーク1号、並びにビートルとパイルダーは山岳地帯に着陸していた。
クール星人の猛攻と呼び出されてきた小型円盤の激しい攻撃の前に苦戦を強いられていたのだ。

「畜生、こうなったらマジンガーZで蹴散らしてやらぁ!」

甲児がパイルダーの通信機を使おうとした時、激しいスパークと共にウルトラマンが姿を現した。
それだけじゃない。
何ともう一体赤い巨人が姿を現したのだ。

「何だ、ウルトラマンがもう一人?」

甲児は驚いた目でそれを見た。
驚いたのは甲児だけじゃない。
ウルトラマンも突如現れた赤い巨人を見ていた。

(君は一体何者なんだ?)
(君と同じ、M78星雲からやってきた宇宙人だ)
(僕と同じ宇宙人だって?)
(詳しい話は後だ、まずは奴等を蹴散らすのが先だ)

赤い巨人の言い分にウルトラマンは頷く。
そして目の前に現れる小型円盤をまずは蹴散らしていく。
そして、残ったクール星人は二体の巨人に向かい光線を放つ。

(ウルトラ念力)

だが、その光線は赤い巨人の前で突如矛先を変えてあさっての方向へと飛んで行ってしまった。
それに驚かされるクール星人。
その直後、赤い巨人の頭部に取り付けられたブレードを手に持ち放つ。
ブレードは猛スピードでクール星人を切り裂いていく。
真っ二つにされたクール星人がその亡骸を残し息絶えた。





     ***




戦闘はウルトラマンともう一体の巨人の活躍により勝利に終わった。
その後、なのはと仮面ライダーの手により円盤に捕らえられていた人達は無事に救出され、円盤は突如現れた赤い巨人が宇宙に運び、そして破壊した。
戦闘を終えた一同は一路ウルトラ警備隊本部へと帰還した。

「しかし、今回はあの風来坊のお陰でどうにかなったなぁ」
「全くだぜ。あいつが居なかったら今頃俺達も人間標本にされてたかも知れないですもんねぇ。って、現に此処に標本にされ掛けた奴が居たっけ?」
「も、もう勘弁して下さいよぉ」

敵に捕らわれていたユーノはもう参った顔をしていた。
無事に助けられはしたものの余りカッコいい物ではなかった。

「でも、ユーノ君が無事で本当に良かったよ」
「う、うん…有難うね、なのは」
「おぉ、熱い熱い…」

二人して見合うのを見て甲児は面白がっている。
それに二人が揃って顔を真っ赤にした。
それがまた面白かったのか皆がドッと笑い出す。

「そう言えば、あの風来坊はどうしたんだ?」
「聞いてないのか? ダンなら今日から俺達ウルトラ警備隊の一員になるんだってよ」
「マジか?」
「あぁ、だけど今から1週間の間は入隊試験も兼ねてキリヤマ隊長にみっちりしごかれるって話だぜ」
「うへっ、あの風来坊大丈夫かねぇ」

フルハシがそう呟いた。
彼も入隊の際に同じような事をやったようだ。

「あり? そういやぁハヤタさんはどうしたんだ?」
「そう言えば居ませんねぇ。何処行ったんだろう?」




     ***




作戦室の外でハヤタはダンと会っていた。

「君は一体何者なんだ?」
「M78星雲からやってきた宇宙人…っと、これじゃ見分けがつかないか。僕も君と同じウルトラマンだ」
「そうか、なら君の事は何と呼べば良い?」
「今のこの姿の時はモロボシ・ダンと呼んで欲しい。そして、元の姿の時はそうだな…ウルトラセブンとでも呼んでくれ」
「ウルトラセブン…分かった。宜しく」

ハヤタがダンに向かい手を差し出す。
それを見てダンも笑みを浮かべながらハヤタの手を握った。

「共に地球の為に戦おう」
「うん」

新たなウルトラマンが仲間に加わった。
その名はウルトラセブン。
宇宙からの侵略者から地球を守る為、今赤い巨人が人類の守護神となるべくやってきたのだ。




     つづく 
 

 
後書き
次回予告

遥か数億年前に地上に君臨していた爬虫人類。
その爬虫人類が突如人類に牙を剥いてきた。
迎え撃つは新たな機械の巨人。
飛び立て、三機のマシン。
三つの心を一つにして戦うのだ。

次回「出撃!ゲッターロボ」

お楽しみに 
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