人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
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99話 初恋はGalactic
前書き
⚪︎仮面ライダーゲンム 変身者 イフト
◽︎ゾンビアクションゲーマー レベルX-0
パンチ力 819t
キック力 888t
ジャンプ力 166.6m
走力 1.14秒(100m)
スペック最強格のライダーと比べるとやや見劣りするが、以下の能力で彼らに食らいついていく。
アクションゲーマー時にも存在したコンティニュー機能が搭載されており、残りライフが最高値で1000000000個ある。このため完全殺害するには10億回以上撃破しなければならない。
さらに体力を恒久的に0にするプログラムによって、ゾンビの不死性を擬似的に再現し、ダメージを与えても致命に至らなければ即復活する。ただし変身者の肉体へ届くほどの一撃には耐えられない。
また攻撃と同時にドライバーや武器のシステムに深刻なダメージを起こすプログラムを流し込んで戦闘力を大幅に低下させることができ、単純なスペック差以上に戦いにくい。
少しだけ昔。
浦の星女学院だった、学校廃校がいまだに現実味は帯びていないそんな時代。
この時代……怪人の襲撃もまた信憑性に欠けながらも、根強く存在した。なぜなら、実際に襲われた人が一定数いるのだから。
「……!」
「「「「「グルルル……!」」」」
下校途中にその事例となった少女がいた———高海志満。この時高校2年生の、十千万を切り盛りする高海家の長女。
「来ないで———!!」
何の怪物かは分からない。だが、明らかに人間ではない異形の存在が、手では数えられない数いる。
手が震える。足がおぼつかない……逃げられない。
「ッッッッッ!!!」
襲いかかる怪人たち————今まで感じたことのない命の危機……そんなもの生涯感じた事はなかった。おそらくこんな田舎に住んでいれば一生味わう事ないだろうに———
一筋、恐怖を象徴するような涙を流した。
次の瞬間。
【ギガヒット!!】
怪人は爆音とともに消えていた———残ったのは、仮面を装着している者。
どこか竜を思わせるそんな風貌の存在が彼女に一言。
「大丈夫か?」
「あ、はい……」
「よかった———志満が無事で。」
「え、何で私に名前を…?」
「あっ!——ま、まぁ、無事ならいいんだ。」
その存在は思い出したかのように頭を抱えたが、何かを思ってその場から立ち去ろうとする。
「待ってください!」
「!?」
「貴方は誰———?」
考え込んだ彼は————思い出したようにその名を明かした。
「俺は仮面ライダー。仮面ライダークローズだ!!」
〜〜〜〜〜
「ということがあったのよね〜」
「あー!思い出した!確か、しいたけが珍しく逃げ出したんだよ!」
「そうそう。しいたけが私のところまで来たんだよね〜」
「さすが我が家の番犬〜!」
美渡にわしゃわしゃされて、わふん!と胸をはるしいたけ。
そしてそんな隣でコーヒーを不味そうに飲む竜介。
「どうしたの竜介くん?コーヒー苦かった?」
「いや、俺苦いの好きだぜ。」
「よかった、間違ってなくて。」
「(まずい……今思い出したわ。俺こんなこと言ってたのか!?)」
志満の話に出てきた仮面ライダークローズとは言わずもがな、この浦江竜介のことである。
竜介のクローズへの初変身は中学3年生。怪人の出現は今とは比較にならぬほど低かったため、実戦経験はそこまでできたものではなかったが、それでも類稀なる身体能力は仮面ライダークローズを運用するに事足りていた———正体秘匿への重大な過誤がなければ。
志満はその思い出話を続ける。
「あの頃私は高校2年生だったから、竜介くんは高校1年生、美渡は中学生だったわね。」
「あぁ……でもその話に俺って関わってたっけ?」
「「えっ!?!?!?」」
志満と美渡の驚いた反応に、竜介は心臓が飛び跳ねるような感覚に襲われる。
竜介にはこの件に関わった記憶は一つしかない。すなわち……2人にクローズの正体がすでに露見してしまっているのを意味する。
だが勿論そういうことではない。
「関わるも何も、センパイはしいたけを追って志満ねえまでたどり着いたんじゃん!」
「あっ、そうだった!」
「もうしっかりしてよー!」
この話、実際のところは竜介は仮面ライダーに変身し、しいたけより先に志満を救ったのちに、しいたけと合流して志満を迎えたという流れになる。
その話のことは正直うろ覚えなので、一応話を繋げておく竜介。
「もうあれから8年近く経ってるのね〜」
「でもその得体の知れない怪物って何なんだろーね。今世界中で起こってる異変と関係あんのかな?」
「さぁ…?そうかもしれないわね。」
「じゃあその志満ねえを守ってくれた仮面ライダーっていうのは?」
「おい美渡。」
仮面ライダーの話題を切り出した美渡に竜介は遮るように話始める。
「志満だってその事怖かったんだろ。根掘り葉掘り聞くのはあんまり……」
「そんな事ないよ竜介くん。」
「…?」
志満はキッチンでの作業をやめ、竜介の瞳を見据えて話し始める。
「あの時、竜介くんがしいたけと一緒に来てくれて……私に言ったことは今でも覚えてる。竜介くんがいてくれたから、この事件は私にとって1番の思い出になったんだ。」
「そ、そうなのか……?」
「その様子じゃ分かってないのね。ちょっと幻滅しちゃうわ」プクーッ
志満は可愛らしく怒った表情を見せる。
もちろん本気で怒っているわけではないのは、この場の誰もが理解している。
「「(志満(ねえ)が怒ると本当に怖いから。)」」
「♪」
竜介は怪訝な顔でブラックコーヒーをくいっと飲む。
「(センパイも相変わらず鈍いなぁ……)」
美渡は心の中で苦言した。
—————※—————
『入学説明会ライブ?』
「私と鞠莉さん、そして才さんが未だ混乱が続く情勢の中でできることを合議した結果、今行えることですわ。」
久々に部室に集まったAqoursのメンバー9人。そしてその護衛として俺と魁。ダイヤが述べた召集の目的に全員が賛成した。
9月に入り、未だ学校……というか世界中が混乱を続ける中で、学校存続が決定したところで何もしないではせっかくの【MIRAI TICKET】も宝の持ち腐れ。
それにライブを通して、不安に陥っている人々を勇気づけられたら———というのは流石に飛躍しすぎな話か。
ここで千歌は挙手した。
「ダイヤさん、その入学説明会っていつなんですか?」
「今日からちょうど2週間後ですわ。」
「じゃあそのつもりで最終調整に入るね。」
ダンスのコーチたる果南はそのことをしっかりと頭に入れた。
すると曜が俺に尋ねてきた。
「才君、あの後竜介先生は大丈夫?」
「ああ、今のところ問題ない。今日は千歌の家にコーヒー飲みに行ってるはずだが……」
そんな時————魁の電話に着信。すぐさま魁はそれに応答する。
「はい。」
【俺だ。】
「白木覗…!」
【しばらくぶりなところ悪いが、少々頼み事があってな……】
次の瞬間———魁が静止した。
〜〜〜〜〜〜
『ラブライブのプロモーションライブ!?』
「いまだに未定のラブライブの決勝開催を踏まえて、地区大会でも目覚ましい活躍をした今季注目スクールアイドルたるAqoursにやってほしいとのことだ。」
地区予選以降のラブライブの大会は行われていない。何せ社会情勢的にとてもじゃないがイベントなど行えない。とはいえ、ここで中止にできるほどの勇気もないのだろう。
おそらく覗と元μ'sメンバーあたりがその提案をしてくれたのだろうが……
「そんなお願いをされるなんてもしかしてチカたち期待されちゃってる!?」
「まぁ、否定はせんが……」
そんなことは考えていないであろう千歌に俺は困惑する。
ダイヤは魁に詳細を尋ねる。
「で、魁さん。それはいつですの?」
「……3週間後。」
「了解ですわ。では今後の計画として、入学説明会とプロモーションライブの両面作戦を展開していきましょう。」
「ヨーソロー!」
元気よく返事する曜。ここで俺はあることに気づいた。
「曜、お前髪色が白くなってないか?」
「えっ、そうかな?」
「気のせいではないはずだが……」
曜の髪色はグレーだが、今日の髪はグレーというよりオフホワイトっぽい。こんな事は今まで見たことがないが……まさか融合の影響だとでもいうのか?
そんな考えを巡らせていたその時、花丸が訝しそうにスマホをぽちくりする。
「あれ?おかしいずら……急に動かなくなった!」
「借してみて。こういう時は叩けば大抵治るんだよ♪」
「ほんとずら!?」
「そんなわけないでしょうが。」
果南の脳筋発言にツッコむ善子。
スマホがフリーズした———そんな何気ない出来事が……天変地異の始まりであった。
「!!!」
「どうしたの才くん?」
「何か……来る。」
俺が危機を予知した次の瞬間……
ドカアアアアアアン!!!
『『『!!!!!!!!!!!』』』
鳴り響いた轟音に皆が一瞬静止してしまう。
俺はすぐさま部室の戸を開けて外に出る。目の前に広がっていたのは……内浦を多分割してしまった「結界」だった。
「クソっ……!通信機器がイカれてるからあいつらに連絡できない!」
「才!」
背後から魁が走ってきた。
「間違いない———これは『神石が姿を変えた仮面ライダー』の反応だ!!」
「その通りですよ。」
『『!!!』』
そこに現れた—————あの憎いバカ。
「ナムロド……!!」
「お久しぶりですね、伊口才。」
「随分見えなかったからてっきり逃げたと思ってたぜ。何せ俺に殺される寸前までいった雑魚だもんなぁ?」
「…!」
俺の煽り文句に頭に血管が浮き出るナムロド。だがコイツが俺に恐怖にも似た怒りを抱くように、俺もコイツらの一党に憤激している。
……本当に、殺したい。
「(才くん、あの表情になってる……)」
「おや、そっちの彼女は———」
ナムロドは俺の様子を伺って外に出てきた千歌を見て、何かを悟った。
「なるほど——彼女がこの世界で転生したあの巫女ですか。」
「……!」
嫌な視線を感じ取った俺はすぐさまムテキガシャットを取り出す。
【ハイパームテキ!】
「ハイパー大変身!!」
【パッカーン! ムー!テー!キー!】
【ハイパームテキエグゼイド!!】
ナムロドもオムニツリーガシャットを掲げる。
【オムニツリー!】
「変身…!」
【バグルアップ!】
【KAMENRIDER MARDUK!!】
【THE LEGEND has just begun……!】
仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマーが仮面ライダーマルドゥクとこの場に対峙する。
「まずは……その嫌な顔の少女から消すとしましょうかっ!!」
マルドゥクがデウスラッシャーを宙にあげ、別格のスピードで千歌の方に向かおうとしたその瞬間。
【HYPER TIME!】
「俺の前でコイツら殺せるとか随分調子に乗ってるな?」
「!?!?」
マルドゥクが認知できなかった……速さという概念かどうかすら懐疑的、そんなスピードで俺はデウスラッシャーの刀身を掴んで止めた。
そんな様子を見て千歌たちを避難させようとした魁に向かって伝える。
「待て、こいつらには魔法を施してある。避難する必要はない。」
「お前なに言ってんだっ……え!?」
魁が千歌に触れようとした瞬間、魁は千歌の体を透過した———そんなおかしい事が起こる。
「魁が私をすり抜けた!?」
「どうなってんだコレ!?」
マルドゥクの振りおろした刃をピタリと固定しながらその原理を説明する。
「コレが俺の…ハイパームテキの最終極致 ハイパーモードだ。そして今の現象は俺が引き起こしたハイパータイムの効果ってことだ。」
『「ごめん、ちょっとなに言ってるか分からない。」』
Aqours一同の声が重なるツッコミ。そりゃ現象を目にしただけでは何が何だかわからんだろう。
「ま、それはコレから説明してやる…よっと。」
「!!」
俺とマルドゥクの間合いをふたたび割くように飛び込む一つの影……それは仮面ライダーアークネクロムスペクター…つまり。
「稜……なのか?」
「その通りですよ小原魁。彼の意思はすでに消滅して私の思うがまま……さて、彼らを殺しなさい。」
マルドゥクは右手の黒いガントレット……アークの赤黒い核が埋め込まれたそれを通じて指示を下す。
それを受け取ったネクロムスペクターはガンガンハンドを召喚し、その銃口をスクールアイドル部の部室へと向け……発射する。
「させるかよ。」
俺はハイパー無敵のスイッチを押す。
【HYPER TIME!】
すると————ネクロムスペクターの放った弾丸は時間が巻き戻るように銃口へと吸い込まれた。同時にその動きが完全静止してしまう。
そして……
「お前距離が空いたからって油断しすぎじゃねぇのか?」
「なっ!…ぐはぁぁぁ!!!」
俺はマルドゥクが認知できぬ間に、目の前まで迫り、横キックをお見舞い———その恐るべき威力はやつを学校がある麓…どころか水平線の彼方まで吹き飛ばしてしまう。
「うっそーん……」
その蹴りを見て魁は呆然と呟く。俺は先ほどから起きている不可思議な現象を語る。
「ハイパータイムは俺自身が時間の概念を超越し、その流れを思うがままに操る。要は時間をおもちゃのように扱うってわけ。どんな存在も時間の流れには逆らえないからな。」
俺の自信に満ちた様子に果南をはじめAqoursの皆様は冷めた目で俺を見る。
「強くなってるのは嬉しいけど、才がまたイキってくるのめんどくさいね。」
「その意見には賛成であります果南ちゃん。」
「あ、ちなみに、俺のキック力は無限大だ。」ドヤッ
「うわ厨二ずら。」
「この酷さは善子ちゃんに並ぶね。」
「ヨハネ……って言いたいけど、流石にアレと同類にされるのはなんか癪ね。」
さっくり言ったキック力無限大と言う話だが、正確にはそちらも操作可能での数値化不能言った方が正しいか。
無限大というのは少し盛っているかもしれないが、それでも人間の言葉では表せない数値であるのは確かだろう。
それこそ「自由に設定可能」には劣る事は決してないはず。
ここで魁が俺に近寄った。
「大体わかった。時間の流れを操れるのなら……」
魁は完全静止しているスペクターを見る。
コイツ言いたい事は何となくわかるが……残念だが事はそう上手く運ばない。
「時間の逆行は世の理を捻じ曲げるものだ。それが数秒や数分なら問題ないが、それが1日や1週間や1ヶ月ともなれば、対象が他に与えた影響とのパラドックスが大きくなる。それこそ時間逆行によって戻ったと見せかけた稜は本質的には違う人間になってしまう……このリスクを大いに孕んでいる。」
「つまり———どういうことなの?」
「今の段階では稜さんを元の戻せない……そういうことですね?」
「———ああ。」
ダイヤが話をまとめたが、そもそも稜の事情については千歌と果南と曜しか知らないはず。皆に情報共有したのか……それとも、前に行っていた心の共有のような現象なのか?
とはいえ、今は目の前の出来ることから取り組もう。
その時———突如として空間がぐにゃりと歪み、時空の狭間からこじ開けるように、マルドゥクが帰還する。
「ぐっ、はぁ……やってくれましたね伊口才ぁ!」
「ふーん生きてたのか。まぁ流石にあの程度じゃ死なないよな。ほんと、メンタルだけは化け物なのどうにかしてくれよ。」
「才、行くぞ!」
【ガブリ!】
魁は召喚したキバットII世に右手を噛ませ、鎖からベルトを展開する。
「変身。」
魁はダークキバへと変身を遂げる。そしてそのままザンバットソードを召喚し、その右手に握る。
そしてそのままマルドゥクに向かって走り出したその時。
「そういえば、この結界の外のお仲間は心配しなくて良いのですか?」
「「!!!」」
皆の背筋が凍った。
〜〜〜〜
「何かしら今の音?」
「雷でも落ちた…って今日は快晴のはずなんだけど。」
「見に行くか。」
十千万でモーニングサービスをいただいていた竜介はいち早く扉を開けて、外へと状況を見に行く。
すると———
「待っていたぞ浦江竜介。」
「「「!?!?!?」」」
強敵が現れる。
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