人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
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98話 EvolとLife
「フハハハハハハ!!バッハッハッハ!」
気持ちの悪い高笑いが響いたその瞬間……
CONTINUEと描かれた紫の土管が現れる。
\\テッテレテッテッテー!//
何と土管からイフトが……やばい腹筋崩壊しそうw
その場の一同は何が起こったか分からず、茫然としてしまう。イフトはそんな彼らに自慢げに説明する。
「私はこのプロトマイティアクションXオリジンの『創造者』によって創られた特殊なバグスターウィルス。よって私にはコンティニュー機能が搭載されている。」
「コンティニューだと?」
ダークキバが困惑しているのもお構いなしに、イフトは自分の隣に出てきた残りライフ数を見せる。
「ちなみに私のライフは……10億から減って、残り999999999個だ。」
「……全く、キリがない。ならば———他の者を狙うのみ!!」
「「「!!!」」」
アシュクは倒れ込んだ竜介先生を狙って走り出した……その瞬間。
「よ、500年ぶりだな。」
「!?」
「才!!」
圧倒的救世主である俺———ムテキゲーマーがナーガスラッシャーでそのレイピアを完全静止させた。
俺の存在を認知したアシュクは憎しみをぶつける。
「伊口才……!まさか生きていたとはな。」
「俺はムテキだ。お前らみたいな奴を倒すためなら……化けてでも蘇ってやるよ。」
流石に今の発言は冗談半分。だがコイツらがイラつくなら何だってやる……千陽を殺したコイツらは絶対に屈辱的に倒すって決めてるんだ。
だが。
【ダイカイガン! オメガスパーク!】
赤黒い光弾が俺の背にヒットする。
ダメージはないが、少しのよろめきと同時にアシュクが俺の射程から離脱する。
俺を攻撃したのは———前に逃した…仮面ライダー。
「想定外は戦闘において撤退に値する。」
「「「「!!!!」」」」
アシュクと謎の仮面ライダー……はその場から瞬間移動するように消え去った。
—————※—————
あたりはすっかり夕暮れ時。現場から伊口邸へと帰還した魁・竜介先生・祝、そしてイフト。
気を失っていた竜介先生は俺が処置を施して、そのまま手の空いていた曜に看病を任せた。
虎太郎からの事情を聞いた魁は、改めてイフトに対して詰問を行う。
「お前の目的は何なんだ?なぜAqours⭐︎HEROESに入る?」
「私の目的はただ一つ……私自身の才能を証明することのみぃぃ!!」
イフトは堂々と言い放つが周りの反応……特に宿題の傍目に見る千歌と果南から。しかもコイツじゃなくて俺の方を見ている気がするのだが———
魁はそのイフトの答えを一蹴する。
「嘘だな。お前の言うことをそのまま受け取れば、あの時……俺たちと出会った時にAqours⭐︎HEROESに入ればいい話だ。」
「ほう……さすがは王を名乗る者だけに、見事な洞察力だ。」
イフトはブランク状態のマキシマムガシャットを机の上に用意する。
千歌は勉強の手を止めてそのブランクガシャットを手に取る。
「なにこれ?」
「君たちが手にする最後の力さ。」
「最後?」
不穏な空気が一気に立ち込める中、イフトは説明を始める。
「今起きている地殻変動は『ある一定の形』になるまでは止まらない。そしてその上で、人間は人としての形を失っていく。コレは実際にもう起こっているだろう。やがてこの世界は迫害と混乱の最中で、ナムロドによって支配されるディストピアへと———ってのが最悪も最悪のパターンだ。」
ここでイフトは急にブランクマキシマムガシャットを指を差す。
「そこで必要になってくるのはその【マキシマムマイティジェネレーターX】だ。」
「じぇねれーたー?」」
頭に?が浮かぶ千歌と果南。
「このガシャットは、君たちAqoursの持つ人を感動させる力、その時に君たちが得る感情を増幅させる機能を持つ。その力が極限まで達したその時———このガシャットは完成する……万物を創造する力を携えてね。」
「「「!?」」」
「コレと対になり、尚且つ併用する最強のガジェットもあるのだろうが……」
イフトは俺に目を向けてきた。コイツ……本当に俺のデータを受け継いでいるだけに、俺の開発中の最終兵器も見抜いてあがる。
「そして小原魁の答えとしては……このガシャットを完成するにあたっての最低限の条件を揃わせるための時間が必要だったと言うのが答えだ。」
「……理解はした。」
「ま、目下の狙いは迫り来る神石のエネルギー体の怪人を倒し、神石を回収する。そして———『深天稜の対処さ』」
「えっ……」
魁は絶句してしまう———一瞬何を言っているかよくわからず。イフトはそのことをお構いなく続ける。
「あのロード・オブ・クロウをサポートした仮面ライダーのベルトはゴーストドライバー。しかも体の素体はどう見てもスペクターだった。あれは…深天稜がアークゼロに敗北したのちに、その肉体データをアークを通じて保管していたナムロドが自らの邪念で洗脳した———仮面ライダーアークネクロムスペクターと言ったところかな?」
「「「「「………」」」」」
シーンと……静寂が訪れる。
知りたくなかった、そんな事態を悲哀な様子もなく説明するイフトに、ここにいるほとんどの人が悪感情を抱かざるを得なかった。
魁は……ドン!と机を叩いて部屋を出ていってしまった。
しかしイフトは尚もその空気を読むことはしない。
「気を悪くすることなど言った覚えはないが……」
「お前それ本気で言ってんのか?稜についての話題をこうもあっさり言うのは———」
苦言を呈する虎太郎にイフトは少し意外そうに俺に向かう。
「コレは驚いた。才も私と同様に気づいているものと思っていたが。」
「……ああ。」
俺はリビングの窓を開け、庭に出るコーヒー味のタバコに火をつけ一服する———見上げた空は曇天。
俺の突発的な行動に千歌は立ち上がって俺の方へと向かう。
「才くん…?」
「俺が———アイツを倒さなきゃ行けないんだ。あの仮面ライダーが誰か……そんなの俺が1番よくわかってる。否定はしたかったけど。」
俺はそのまま玄関へと戻っていく。イフトはそんな俺を一瞥して一言付け加えた。
「私が抱いた感情のオリジナルが……『私の感情より劣るわけはない』」
「「「………!」」」
—————※—————
「あっ、才君。」
「よう才!この通りだぜ!!」
サムズアップする竜介先生。そんな彼に一安心して、俺は曜に感謝を述べる。
「ありがとう曜。ほんとは俺が最後まで処置しないといけなかったんだが…….」
「ううん、仲間のためだからね♪」
「あぁ、ほんと助かってる。」
「♡」
なんか視線が熱い気がする……千歌の件で経験済みだが、この人そういう友情が重たいんだよなぁ。
ここで竜介先生が話し始めた。
「まさかナムロドの精鋭ロード・オブ・クロウ アシュクがあそこまでとは思わなかったぜ。こっから神石回収のために頑張らなきゃ行けねぇのによ……!」
「……?」
何か違和感を感じる———竜介先生は「精鋭」とか言う熟語は使っている記憶はない。それに長いカタカナ語を覚えることも……そして何より発する雰囲気が異質だ。
俺は曜を守るように立つ。
「才君!?」
「……お前、誰だ?」
「おいおい!誰って…!?」
「答えろ。」
「『はぁ…やっぱりお前は見抜くか。』」
竜介先生から抜け出した赤いスライム上の物体は……コブラの意匠が組み込まれたライダーへと変貌する。
そのライダーは———
「エボルト……!」
「こいつが———!」
竜介先生の一言に、俺はオーマジオウに与えられたライダー知識の一つにあったエボルトの存在を思い出した。
エボルト———ブラッド星の星喰い族【ブラッド族】の王弟。星を吸収して、自らのエネルギーに変える地球外生命体。
仮面ライダービルドの世界において万丈龍我と言う人物が遺伝子の一部を取り込んで誕生したというが……以前オーマジオウが竜介先生がその並行同位体である可能性には触れていたが———
エボルトは俺の思考を察して、俺に回答し始める。
「お前の推察はだいたい正しい。俺……『俺たち』は恐らく、オリジナルの俺たちが起こした特異点によって派生した並行同位体だ。」
「お前は何を狙ってる?本来の力を出せないお前では……」
今のエボルトは仮面ライダーエボル フェーズ1。コイツの本気はこんなモノではない。それを誰よりも知っているのはこのエボルト本人だろう。
ハイパームテキを取り出して戦闘準備する俺に対して、エボルトは仰々しい態度をとる。
「おっと、勘弁してくれ。この竜介を通してお前の反則級の力は嫌というほど味わってるんでね。お前とはフルパワーが復活したところで勝ち目は薄い。ましてやこの2%の力なら尚更な。」
「それは結構だが——」
「無論、そこにいる女どもにも手を出さねぇよ。手を出した時のお前の怒り具合も想像に難くない。」
俺が納得したような表情を見せるとエボルトは語り出した。
「俺の目的はただ一つ———竜介のハザードレベルを上げまくることで究極の力を手に入れることだ。」
「何?」
「コイツの肉体はもはやブラッド族と人間が融合した究極のモノ。俺はコイツの無限とも言えるハザードレベルの上昇するたびに自由に近づくのさ。コイツの力を上げるという点ではお前との利害は一致するはずだ。」
「なるほど……」
確かにこのエボルトは脅威ではあるが……現時点では世界を脅かしはしない。仮にフルパワーでも俺が止められる。
ならばその力を利用しない手はないだろう。
そこに……
「ではその依頼は私が受けよう。」
「「「イフト!!」」」
イフトはその銀髪を靡かせながらエボルトの元に近寄る。
「君含め浦江竜介には非常に興味がある……是非君の企てに乗ってやろうじゃないか。」
「賢明な判断だ…!」
イフトの視線に俺は頷いた。それを確認したエボルトは再び赤いスライムへと変貌し、竜介先生の体へと戻っていく。
「うおっ!」
【まだまだ俺の力は不安定……仲良くやろうぜ、チャオ〜!】
「入ってくんな!出てけ!!」
今回ばかりは流石に竜介先生に同情した。
—————※—————
その日の深夜……皆が寝ついた頃に俺はモニターと睨めっこしながら、キーボードを速打していた。
その部屋にイフトが入ってくる。
「それが最終アップデートと言ったところか?」
「……」
イフトは多色のコードを繋いだハイパームテキを手に取る。その様子に一瞥しながらも俺は作業を続ける。
「このアップデートで君の変身するムテキゲーマーは極致に達するわけだが……」
「俺は————」
タン!とエンターキーを強打した。
「俺は仲間とともに歩み、全ての自由を守る。それを邪魔する奴は皆倒す……」
「その皆と言う言葉の中には『深天稜』も含まれているのかい?」
「……」
「ナムロドが可逆性を考慮した洗脳を施すほどぬるくはない。不可逆的であることは前提にあるんだろう?」
「—————ああ。」
黙れと言わんばかりに威圧感のある返事をイフトにぶつけた。
「君のその顔はそういうことだな。ま、あまりその顔のまま千歌くんたちに会わないようにね。」
イフトはそう忠告しながら、隣の椅子に座ってブランクのデカフルボトルを置く。
「ここからは私の仕事だ。」
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