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金木犀の許嫁

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第十五話 真田家の人その十

「結構ね」
「河豚を食べていましたか」
「大阪、当時は大坂ね」
「漢字が違いますね」
「その時からね」
「河豚を食べていましたか」
「ええ、ただね」
 ここでだ、夜空はこうも言った。
「食べていたのは町人さん達でね」
「お侍さん達は食べていなかったですね」
「そもそも大坂お侍少なかったし」
 町人が五十万人程度で武士は数百人程度しかいなかったという、その為侍を一生見たことのない町人さえいた程だ。
「お侍が食べるのはね」
「考えてなかったですか」
「そうみたいよ」 
 これがというのだ。
「どうもね」
「そうですか」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「今もよ」
「大阪では河豚が名物ですね」
「そのうちの一つよ」
「そうです、河豚は大阪でもよく食べられるので」
 幸村は白ワインを飲みつつ話した、見れば発泡性のものだ。
「それで今回です」
「用意してくれたんですね」
「はい」
 真昼に微笑んで答えた。
「僕も」
「そうですか」
「勿論毒はです」
 河豚の代名詞であるそれはというのだ。
「ご安心下さい」
「それはですね」
「しっかりとです」
「安全ですね」
「さもないと、です」
 真昼に笑って話した。
「とてもです」
「食べられないですね」
「売ることもです」
 食べる以前にというのだ。
「それも出来ません」
「そうですね」
「ですから安心して」
 そうしてというのだ。
「食べて下さい」
「わかりまいた」
「それとです」
 さらにだ、幸雄は真昼に話した。
「河豚の後はです」
「ケーキですね」
「そちらも楽しんで下さい」
「そうさせてもらいます、ワインはケーキにも合いますね」
「はい、そこまで考えて」 
 そしてとだ。幸雄は言うのだった。
「日本酒ではなく」
「ワインにしたのですか」
「白華さんは甘いお酒がお好きですし」
「はい、甘いです」
 白華はそのワインを飲んで笑顔で答えた。
「ですから私もです」
「飲めますね」
「美味しく。私本当に甘いお酒が好きで」 
 それでというのだ。 
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