金木犀の許嫁
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第十五話 真田家の人その九
「これからです」
「パーティーをですね」
「楽しみましょう」
「わかりました」
佐京だけでなく真昼に夜空そして白華も微笑んで頷いた、程なくして河豚のセットと一ダースの白ワインのボトルが届いた、幸雄が代金を支払ってだった。
五人で鍋に刺身に唐揚げそしてケーキを囲んで乾杯してから飲んで食べはじめた、その河豚を食べて夜空は言った。
「やっぱり河豚は美味しいわ」
「本当にね」
真昼も言う、二人で鍋を食べている。
「他のお魚とは違うわね」
「河豚を食べると他のお魚は食べられないっていうけれど」
「美味しいからよ」
「そうした意味もあるのよね」
「勿論毒のこともね」
河豚に毒それも恐ろしい猛毒があることは言うまでもない。
「あるけれど」
「あたって死んで」
「もうそれで終わるからね」
「他のお魚は食べられないね」
「そうも言って」
妹にそれでと話した。
「それでね」
「美味しいから」
「そうも言うのよ」
「そうよね」
「そういえば大阪は河豚も名物でしたね」
白華は刺身、てっさを食べながら言った。
「そうでしたね」
「そうなのよ、これがね」
夜空はその通りだと答えた。
「お好み焼きとかたこ焼きとか串カツとか」
「そうしたものも名物で」
「豚まんにアイスキャンデーにカレーにラーメンもでね」
どれも難波の店である、蓬莱に北極、自由軒に金龍ラーメンである。
「きつねうどんも。あとハリハリ鍋に蟹に」
「蟹は道楽ですね」
「そう、牡蠣の土手焼きに鯖にね」
「河豚もですね」
「それでね」
「大阪では河豚もよく食べますね」
「あのおお店だけじゃないから」
夜空はこうも言った。
「河豚が看板のね」
「模型のですね」
「あのお店以外でもね」
「河豚はよく食べますね」
「河豚は下関が有名だけれど」
これは伊藤博文が食べてからのことだ、下関条約締結の為にこの街に来て旅館の人に出してもらって美味くてこの街と博多で河豚を食うことを認めたのだ。
「大阪もよ」
「有名ですね」
「江戸時代はご法度だったらしいけれど」
「河豚はあたるので」
「結構食べられていたみたいなのよ」
「ご法度でもですね」
「何でも奉行所があっても」
幕府の行政機関であり警察でもあったのは江戸と同じだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「奉行所もそこまで目を光らせていなくて」
河豚を食べることをというのだ。
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