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オズのヘンリーおじさん

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第五幕その五

「あまりね」
「森の中にはよね」
「入って欲しくないよ」 
 若い雄の狼が言ってきます、見れば狼達はどんどん出て来て一行の周りにいます、子供の狼も一杯います。
「それはね」
「そうよね」
「けれど襲わないから」 
 それは絶対にしないというのです。
「一緒に遊びたいならね」
「遊んでくれるの」
「そうするけれど」
「無断でよね」
「煉瓦以外を出るとね」
「嫌ね」
「そうだよ」 
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうなのね」
「うん、しかしね」
 ここで、でした。
 狼はドロシー達を見てです、こんなことを言いました。
「ドロシー王女だけじゃなくて」
「ベッツイ王女にトロット王女」
「オズマ姫までおられるなんて」
 他の狼達もお話します。
「エメラルドの都のお姫様勢揃いなんてね」
「珍しいね」
「かなりレアなことだよ」
「もうね」
「四人全員でおられるなんてね」
「時にはこうしたこともあるのよ」
 ドロシーは狼達ににこりと笑って答えました。
「私達全員で冒険することもね」
「あるんだ」
「じゃあ私達そのレアな場面を目にしているのね」
「それは凄いね」
「幸せなことだよ」
「しかも」
 狼達はおじさんとおばさんも見て言いました。
「ヘンリーおじさんとエマおばさんもおられるしね」
「ドロシー王女のご家族の」
「育ての親のね」
「お二人まで一緒とか」
「名誉市民の五人の子供達もだし」
「激レア中の激レアだね」
「わし等が珍しいというか」 
 おじさんは狼達の言葉を聞いて驚きの声をあげました。
「狼君達が知っているのか」
「私達が村以外の人達に知られているなんて」 
 おばさんも言います、驚きの表情で。
「信じられないわ」
「全くだな」
「私達なんてね」
「只の年寄りの百姓なのにな」
「そうなのに」
「いや、ドロシー王女のご家族だよ」
 先程の若い雄の狼が言ってきました。
「だからだよ」
「それでなのか」
「私達のことを知ってるの」
「もう皆知ってるよ」  
 それこそというのです。
「オズの国の皆がね」
「わし等のことを知っているのか」
「そうなの」
「ドロシー王女のご家族で」
 それでというのです。
「物凄く真面目で質素で謙虚で素朴な人達だって」
「有名なのか」
「オズの国でも」
「そうだよ」
 まさにというのです。 
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