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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第42話 麗羽の叔父様暗躍する

「斗詩、猪々子。ご苦労だった」

「袁逢様、アニキの親父さんからは任せておけと言われたんですけど、本当に大丈夫でしょうか?」

「正宗様のことですから、大丈夫だとは思うのですが・・・」

猪々子と斗詩が心配そうに私の顔を伺っていた。

「お前達は何も心配せずともよい。済まぬが、お前達は劉ヨウ殿の父上の元に言ってくれぬか?お前達が辿り着く頃には、劉ヨウ殿が助け出した者達が着いているころだと思う。お前達は彼らを確認しだい私に連絡をしてくれ。もし、彼らが辿り着かなくとも必ず連絡するのだぞ。泰山郡の大守は良い噂は聞かぬ。だから、大守は事を大きくする気はないだろう。劉ヨウ殿が何もせずともいずれは罷免されていたはずだ。遅いか早いかの違いでしかない」

泰山郡の大守は彼の任地から劉ヨウ殿達が出れば何もできまい。

逃げ切れなければ少々面倒だが、劉ヨウ殿がいれば問題なかろう。

「袁逢様、本当に大丈夫でしょうか?」

斗詩はまだ心配のようだ。

「大丈夫だ。仮に何かあったとしても私がなんとかするから安心しなさい」

私の言葉に斗詩も安心した表情になった。

いつも思うが斗詩は心配性だ。

斗詩には麗羽の件でいつも苦労させている。

この件が落ち着いたら、何か褒美でも考えておくとするか。

ゆっくり骨を休めることができるように温泉が良いかな。

「では、頼んだぞ。劉輿殿にはよろしく伝えておいてくれ」

私は斗詩への褒美を考えなら、彼女達に劉輿殿への使いの役目を頼んだ。

「袁逢様、かしこまりました」

「了解です。任せてください!」

彼女達は先ほどまでの心配は嘘のように、元気良く返事をし私の書斎から慌ただしく出て行った。

私は彼女達が出て行くのを確認すると、椅子に深く腰を掛けた。

「正宗殿も人が善いの・・・・・・。麗羽を真直ぐな性格にしてくれた人物なのだから当然だな・・・・・・。フフッ」

私は笑ってしまった。

劉ヨウ殿が麗羽の許嫁になってくれて本当に感謝している。

私は麗羽の境遇を不憫に思い甘やかすことしか出来なかった。

それが今ではどうだろうか。

今回の件でも麗羽は率先して劉ヨウ殿と行動を起こしたそうではないか。

以前の麗羽では考えられぬことだ。

劉ヨウ殿と出会い、あの子は大きく成長したと思う。

だが、劉ヨウ殿も麗羽もまだまだだな。

賊ならまだしも非が彼方側にあるとはいえ、大守に喧嘩を売るのは問題だ。

私達を頼ってくれたのは正解だ。

斗詩の話では司馬防殿の娘の提案らしい。

確か、その娘の名は司馬懿と言ったな。

その娘が劉ヨウ殿達と一緒に居て本当に良かった。

正義感ばかり強くても意味がない。

正しい行動だろうと筋道を通さねば一つ間違えば自分が窮地に立つことになる。

劉ヨウ殿も今回のことで懲りたはずだ。

劉ヨウ殿も麗羽もまだ若い。

これからしっかりと学んでいけばいい。

あの2人が洛陽に戻ったら私がみっちり指導してやろう。

宮廷に上がってから問題を起こされては命に関わるかもしれんからな。

名案だ!

我ながら冴えておるな。

麗羽も劉ヨウ殿と一緒なら真面目に私の言葉を聞くと思う。

司馬懿のことで思い出したが、劉ヨウ殿達が旅に出て間もない頃、司馬防殿が突然屋敷に挨拶に来たときは驚いた。

彼女は劉ヨウ殿に次女の司馬懿を嫁がせることを伝えてきた。

寝耳に水だったので、私は動転してしまった。

てっきり、劉ヨウ殿が麗羽を見捨てて、別の女に走ったのかと絶望したがそうではなかった。

冷静に考えれば劉ヨウ殿が麗羽を嫌いになるはずはない。

彼女は次女が側室になることを麗羽も了承していて、正室の座は麗羽に譲ることで話を纏まったと話した。

麗羽が正室なのは当然だ、と頭に血が昇りかけたがなんとか自制できた。

劉ヨウ殿に側室・・・・・・。

私は独占欲の強い麗羽が良く納得したなと思った。

やはり旅に出る前に、劉ヨウ殿に唾をつけて置いて正解だった。

それでは劉ヨウ度と麗羽の為に、泰山郡の大守を罷免に追い込むとしようではないか。

劉輿殿の元に劉ヨウ殿が助けた者達が無事に着ければ良し、来なければ黙りを決め込むだけだ。

泰山郡の大守は派手に動けぬはず。

上手く泰山郡の大守を罷免に追い込むことができれば、それを劉ヨウ殿と麗羽の手柄にするだけのことだ。

私の朝廷への働きかけもあり、陛下も劉ヨウ殿に興味を持たれているご様子だ。

ここで悪徳大守を罷免に追い込む手柄が加われば、私の目論みの通りになるはずだ。

そう言えば、何進殿も劉ヨウ殿に興味があるようだった。

先日、何進殿は劉ヨウ殿を自分のところに寄越せと露骨な勧誘をしてきた。

彼女は劉ヨウ殿を高待遇で迎えると言っていたが、あの必死な勧誘が少し気にかかる。

最近の禁軍は売官上がりの朗中が大半を占めていて使い物にならない。

その所為で、手持ちの武将だけでは賊退治が辛くなったのかもしれない。

彼女には劉ヨウ殿が旅に出ていることを伝え、本人が戻ってから話をすることで納得して貰った。

劉ヨウ殿の士官の話はまだ先のことだ。

今は泰山郡の大守の件を早く片付けることにしよう。

可愛い麗羽の為だと思えば、全く苦労を感じない。

麗羽が幸せになるにも劉ヨウ殿にはまず、出世していただかくてはならない。

劉ヨウ殿の武勇は既に河北では知らぬ者はいない。

最近では洛陽でも劉ヨウ殿の話を耳にするようになった。

これから親類になる者として、誇らしいことこの上ない。

私がお膳立てをし、全面的に劉ヨウ殿を支えていけば、優秀な彼のこと順調に出世していくはずだ。

「ははははっ、劉ヨウ殿!この袁逢は出来る限りの支援をいたしますぞ!」

私は花嫁衣装をつけた麗羽の姿に想いを馳せながら、旅を続けている劉ヨウ殿に語りかけた。
 
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