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金木犀の許嫁

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第三話 お見合いその十一

「仙台藩の方に」
「いや、薩摩藩に逃れて」
「大助さんの家系?」
「あの方も生き延びられていたから」
「薩摩まで落ち延びておられて」
「あの方の子孫で」
 それでというのだ。
「その方が若しかして」
「このお屋敷に来られるの」
「そうなるかも知れないから」
「だったら」
「そう。十勇士のお家全体でお迎えして」
 そうしてというのだ。
「うちに入ってもらうかも知れないから」
「そうなの」
「近くに真田家のお屋敷もあるけれど」
 それでもというのだ。
「今あちらは手狭で他のお家も」
「十勇士の」
「家族多くて手狭だけれど」
「うちは四人になって」
「お部屋も空いているから」
「若しかしたらなの」
「来られるかも知れない」
 こう話すのだった。
「その時は宜しく」
「わかったわ」
 夜空は佐京のその言葉に頷いて応えた。
「それじゃあね」
「まだ未定だけれど」
 それでもというのだ。
「そういうことで」
「それじゃあね」
「ちなみにご先祖の方と同じく真面目」
 その真田家の人はというのだ。
「そして誠実でいざという時は熱い」
「幸村公みたいな方なのね」
「そう」
 まさにというのだ。
「そんな人だから」
「一緒に暮らしても」
「安心していい」
「変な方じゃないってことね」
「うん、ただ真面目過ぎる位だから」
 その真面目さの話もした。
「そこは気を付けて。優しくて誠実だけれど」
「真面目過ぎて」
「結構不器用なところもあるから」
「そうなの」
「それで五人で」92
 四人でなくというのだ。
「暮らすかも」
「そのこともわかったわ」
「うん、じゃあこれから」
「宜しくね」
「俺の方こそ」
 二人でお茶とお菓子を口にしつつ笑顔で話していった、そして二人は屋敷の中に戻って一緒に暮らしたいと言うと。
 それぞれの両親は笑顔でだ、二人に言った。
「そうか、それじゃあな」
「末永くね」
「仲よくやっていくんだぞ」
「お互いお爺さんお婆さんになるまでね」
「そうなる様にするから」
 最初に佐京が応えた。
「頑張っていくよ」
「まだ何もわかっていないけれど」
 次に夜空が応えた。
「これからは宜しくね」
「さて、それじゃあね」
 真昼も言ってきた。 
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