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金木犀の許嫁

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第三話 お見合いその十

「嬉しいよ」
「そうなのね、私もね」
 今度は夜空が微笑んで話した。
「佐京君今凄く誠実だから」
「そうかな」
「真面目に私と向かい合ってくれて」
 そうしてというのだ。
「お話してくれてるから」
「いいんだ」
「ええ、はじめてお話したけれど」 
 このお見合いの場でというのだ。
「凄くね」
「誠実だって」
「そして真面目だってね」
 そうした人間ということがというのだ。
「わかるから」
「いいんだ」
「凄くね」
「有り難う。そう言ってくれて嬉しいよ」
「嬉しいの」
「うん、俺もそう言ってもらえたらね」
 それならというのだ。
「人間だから」
「そう、人間はね」
 夜空もそれはと応えた。
「やっぱり」
「褒めてもらったら嬉しい」
「そうよね」
「時としてその人の為に叱ることも必要だけれど」
「褒めることも必要で」
「褒められると」
 そうしてもらえると、というのだ。
「それはいい意味で認めてもらえたことだから」
「嬉しいわね」
「俺も」
「私も。それじゃあ」
「これからも。お互いに」
 佐京は話した。
「いいところがあったら」
「褒めていきましょう」
「うん、そして今の言葉は」
「あっ、もう」
 夜空もここで気付いて応えた。
「同居すること前提ね」
「許嫁になって」
「そうね。私はもう決まったものって言われてたけれど」
 両親に言われていたことを話した、お見合いと言っても断ることはなくそのまま許嫁になるものだとだ。
「けれどね」
「そうじゃなくて」
「私達の意思で決めるもので」
「そしてそれは」
「もうね」
 それこそと言うのだった。
「決まったわね」
「うん、本当に」
「そうよね、それじゃあ」
「これからは」
 実際にというのだ。
「一緒にここで暮らそう」
「許嫁としてね」
「妹、白華も一緒で」
「お姉ちゃんも一緒でね」
「そうしてね。あと」
「あと?」
「実はお屋敷にもう一人来るかも知れないから」
 佐京はここでこの話をした。
「まだ正式に決まってないけれど」
「そうなの?」
「真田家の人が」
「主筋の」
「そう。幸村公の子孫の」
「ええと、確かね」
 夜空は真田幸村の子孫と聞いてこの歴史上の人物のことを思い出して話した。 
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