| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

仮面ライダー エターナルインフィニティ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四話 吸血鬼の話その十

「この会場にな」
「あれっ、そうだったんですか」
「最初からですか」
「おられたんですか」
「いた」
 あの声だった。二人、とりわけ五代はだ。
 その声を聞いてだ。瞬時に身構えた。その彼と共にだ。
 一条もだ。声の方を見たのだった。そこはだ。
 人だかりができて見えない。しかしだった。
 そこにいるのはわかった。彼がだ。それでだった。
 二人はだ。それぞれ身構えたまま言うのだった。
「あそこですね」
「そうだな。あの中にな」
「奴がいます」
「スサノオが」
「ああ、あの方がですか」
 吸血鬼も彼等のそのやり取りを聞いて述べる。
「やっぱりそうなんですか」
「うん、間違いない」
「声でわかる。それにこの気配」
「圧倒的なプレッシャー」
 そうしたものまで感じてだ。二人はわかったのだ。
 そうしてだった。その人だかりを見る。やがてだ。
 その人だかりの中からだ。彼が出て来たのだった。
 吸血鬼の礼装のそのタキシードにマントでだ。髪の毛は一本もない。
 肌はやはり白く目は血走りだ。口からは普通の吸血鬼よりも大きく鋭い牙がある。その姿を見るまでもなくだ。二人は既に確信していた。
 そしてだ。本人に対してだ。直接にだった。
 その名前をだ。呼んだのだった。
「スサノオ」
「やはりいたか」
「ふむ」
 それを聞いてだ。その声でだ。
 その吸血鬼のマスター、スサノオが言ってきた。
「来ているのはわかっていた」
「そちらもか」
「わかっていたというのか」
「如何にも」
 その通りだと答えてだった。そうしてだ。
 スサノオはだ。二人の頭に直接語り掛けてきたのだった。
『さて、それではだ』
『頭の中にか』
『直接語り掛けて来るか』
『如何にも』 
 その通りだとだ。答えきたスサノオだった。
『君達の聞きたいことはわかっている』
『この世界で何をしている』
『何を考えてだ』
『既にわかっていると思うが』
 スサノオは頭の中で笑ってみせて述べた。
『最早な』
『この世界でも見ているんだな』
『人間を』
『そう、私は永遠の退屈の牢獄の中にいる』
 そこから逃れることはまだできていない。それでだというのだ。
 スサノオはだ。二人にだ。さらに語り掛けてきた。
『その退屈を紛らわせる為にだ』
『人を吸血鬼として助け』
『そうしてか』
『そうだ。人間を見ている』
 このことはだ。やはり同じだった。
 スサノオは自らの口で言いだ。そしてだ。
 二人にだ。さらに話してみせた。
『ただし。この世界ではだ』
『この世界では!?』
『一体何をしているというのだ』
『戦うことはしていない』
 それはしていないというのだ。これも五代達の見た通りだった。
『見ているだけだ』
『人間を』
『それだけだというのか』
『そして君達に伝える為に今いる』
 今度はこんなことを言ってきたスサノオだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧