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星々の世界に生まれて~銀河英雄伝説異伝~

作者:椎根津彦
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敢闘編
  第七十四話 第十三艦隊、誕生

宇宙暦793年10月2日09:45
ケリム星系近傍、C訓練宙域、自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、第十三艦隊、旗艦グラディウス
ヤン・ウェンリー

 艦隊は今、ケリム星系からそう遠くない訓練宙域にいる。我々が所属するのは新設の第十三艦隊、異例づくしの艦隊だ。正規艦隊ながら司令官は少将、艦隊規模は半個艦隊規模の七千五百隻。設立の経緯も異例づくしなら、艦隊内の人事も異例づくしだった。

艦隊司令官:ヤマト・ウィンチェスター少将
副官:エリカ・キンスキー・ウィンチェスター少尉
艦隊参謀長:ヤン・ウェンリー准将
作戦主任参謀:マルコム・ワイドボーン大佐
作戦参謀:ジャン・ロベール・ラップ中佐
作戦参謀:アンドリュー・フォーク少佐
運用主任参謀:オットー・バルクマン大佐
運用参謀:マイケル・ダグラス大佐
運用参謀:スーン・スールズカリッター少佐
後方主任参謀:パオラ・カヴァッリ大佐
司令部内務長:ミリアム・ローザス大尉
旗艦艦長:ダスティ・アッテンボロー大佐

 艦隊司令部のスタッフは皆、艦隊司令官の高等参事官時代のスタッフ、そして司令官の奥方で構成されている。派閥人事と言われるのを避ける為に通常はこういう風にはならない。そして分艦隊司令がいない。司令官の方針として、艦隊内で個別に戦力を運用する際はその都度戦隊規模で任務部隊を編成するという運用方法を行う。確かに任務部隊方式は配置や編制に囚われずに柔軟な戦力編成を行えるというメリットがある。
『ウチの艦隊は正規艦隊の半分の規模ですから、正規艦隊というよりは分艦隊そのもの、といった扱いをされる筈です。ですから個別に小戦力を分派するという状況が生じた時はその都度に任務部隊指揮官を任命して編制に囚われない戦力運用を行った方が合理的です。派出規模が大きい時は、参謀の誰かを臨時の戦隊司令に充てます』
とはウィンチェスターの弁だ。だがその分任命された任務部隊指揮官への負担は大きい。戦艦の中佐艦長や我々の誰かが突然、これこれの戦隊を率いろ…なんていう事も充分に有り得るのだ。
『戦隊を率いている、ではなく何人かを指揮すると思えばいいでしょう。兵士一人一人を直接指揮するのではないのですから』
これまたウィンチェスターの弁だ。確かにその通りなのだが、用兵、指揮統率という能力は、一番表に現れ難い能力だ。名艦長がそのまま名司令官、という訳じゃない。ある意味この運用方針は佐官級指揮官達の覚悟が問われるだろう。艦隊司令官自ら能力の低い者は要らないと公言している様なものだ。
『地位を得ればいずれ艦隊司令官職を経験する事もあるでしょう。その準備運動だと思って下さい。私はシトレ本部長に似た様な事を言われましたよ』
これも全くその通りなのだが、そう言われる方はたまったもんじゃない。私だって言われたらへこむだろう…。

 『お前さんより先にウィンチェスターが艦隊司令官になるとはね。で、お前さんも准将か、並ばれたな。まあ乾杯』
『追い付きはしましたが追い越す事はありませんから心配しなくていいですよ、キャゼルヌ先輩…それにしても異例です。少将で艦隊司令官、規模は半個艦隊…何か特別な任務でもあるのでしょうか。シトレ校長から何か聞いていませんか』
『何も。想像がつくか?』
『さっぱりです。ウィンチェスターに配置が無いからと言って、それだけの理由で艦隊を新設するとも思えないのですが。ただ…』
『ただ、何だ』
『何というかその、物事の流れが加速されている、物事が起こるべくして起きている、そんな気がしまして』
『物事の流れ?歴史家ヤン・ウェンリーかく語りき、という訳か?』
『そんな大層なものではありませんよ。ただそう感じるのです』
『しかしそう感じる原因があるのだろう?やはり帝国領に進攻した事か?』
『はい。ただの思いつきと言いながらウィンチェスターはその後の事もちゃんと考えていました。そうでなければシトレ校長は自分の作戦案を修正などさせないでしょう。やはりアッシュビーの再来、その二つ名は伊達じゃない。むしろアッシュビー提督よりその才幹は上でしょうね。イゼルローン要塞奪取だけではなく、アムリッツァという地を得た。彼の作戦案によってです。名はシトレ校長ですが実はウィンチェスターです。彼の為人は派手さに欠けるので皆あまり実感していないかもしれませんが、同盟にとって既に生ける英雄ですよ。これから同盟軍は彼の構想の実現手段に過ぎなくなるかも知れない』
『…アッシュビー提督は情報の価値を正しく理解した極めて優秀な戦術家…お前さんのアッシュビー評だったな。確かにアッシュビー提督の功績はすごいが、お前さんの言う通りそれは戦場に限定されていた。730年マフィアも含めて、帝国に対して優勢に戦っていたにも関わらず彼は帝国領を占領まではしなかった。防衛戦という地の利もあったろう。悪い言い方をすればド派手な戦争屋とも言える。お前さんの見立では、ウィンチェスターはそれを越えるというんだな……奴さんが言っていたのは確か、帝国の宗主権を認め我々の自治権を認めさせた上での降伏、だったな。実現すると思うか?』
『どうでしょう。自分で言い出した以上、彼は実現に向けて動くでしょう。今まで誰もそんな事は言い出さなかったし、誰も考えた事はなかった…それが流れが加速していると感じる理由です』
『成程な。だがそうなると話は軍事面に留まらなくなる。政治家の領分だろう?』
『確かにそうですが、政治と戦争は表裏一体ですよ先輩。実力を伴う外交が戦争です。同盟と帝国はお互いを認めていないのですから穏健な外交手段がない。ですから何らかの結果を出す為の舞台を整える為に我々は戦っているんです』


「参謀長、艦隊の状況はどうですか」
「はい、今のところ問題ありません。索敵状況も異状ありません」
「ありがとうございます…ヤンさん、アムリッツァ防衛の時もそうでしたが、貴方を参謀長と呼ぶのは何だか妙な感じがします」
「はは、小官も妙な気持ちです。閣下が高等参事官の頃はそうも思わなかったのですが…閣下、まもなく演習開始になります、気を引き締めて参りましょう」
ウィンチェスターは私の言葉に意外そうな、そして面映ゆそうな笑顔を作りながら深く頷いた。

 ウィンチェスターの為に新設されたと言っても過言ではない艦隊。新造艦は少ない。新造艦は出来るそばから先日の戦闘で損害を受けた艦隊に回されている。だからこの艦隊を構成する艦艇は修理が終った艦艇やオーバーホールの終ったベテランの艦艇がほとんどだ。だが元の乗員は所属していた艦隊に戻っていくから、乗組員の大半が新兵や経験の浅い士官達ばかりになっている。しばらくは練習艦隊の様な有り様になるだろう。


 『それ位俺だって解っているさ、もう一杯いくか』
『ありがとうございます…私も将来について考えた事はあります。イゼルローン要塞を奪取して、その戦果を材料に帝国と講和する。恒久的平和など人類社会にはなかったのですから、とにかく平和と呼べる状況を作って次の世代に引き渡す…ですがウィンチェスターは私の考えを否定しました。講和では帝国は面子を保てない、宗主権という名分は帝国に与え、こちらは実を取り降伏する…言葉は違えど平和は訪れます。だから否定されても腹立ちはありませんでしたし、むしろこんな考え方もあるのかと思いました』
『主義主張は生きる方便と奴さんは言っていたな、そういえば…ほら、グラスを寄越せ』
『ありがとうございます。ですが、今思うとウィンチェスターの降伏論には不確定要素が大きいのです』
『不確定要素?』
『はい。帝国の体制の自壊を待つ、という点です。五百年続いてきた政治体制がそう簡単に崩れるとは思えない』
『奴さんは帝国の兵力の誘引撃滅も主張していたぞ。それこそ持久策を採って、というやつじゃないのか』
『それは分かります。ですが帝国が、今は臥薪嘗胆と持久策を採ったならどうなります?自壊ではなく国論をまとめ強固な体制となったなら?彼の降伏論は破綻はせずとも実現は遠いものとなってしまいます』
『だが帝国の国是は神聖不可侵、外敵は認めないぞ。臥薪嘗胆、力の劣る者が他日に備えるという現実を帝国が認めるかな』
『認める事が出来たなら』
『……どちらにしろ世の中の動きは加速していく、という事か。どちらに転んでも、シャルロットの婿を見つけるまでは死ねんしな。どうだ、もう一杯いくか』

 
 「どうしたんです?私の顔に何かついていますか?」
「いえ、何故奥様を、キンスキー少尉を副官になさったのかと思いまして」
「新婚旅行」
「え?」
「冗談ですよ。新婚早々ハイネセンで一人にさせるのも可哀想ですし、であれば副官にと思いまして。職場結婚は珍しくもないですし、副官人事は艦隊司令官の専権事項ですし…何か問題でも?」
確かに軍内部でも職場結婚は珍しくはない。だが通常は配属先が同一になる事はない。係累、親族が途絶えるのを避ける為だ。結婚した一方はハイネセンに残るか、出身星系又はそこから近い基地に配属される。これは地球時代からの軍の不文律だった。出撃中に結婚する場合もあるが、作戦終了後か、余裕があればどちらかはその場で離隊を許可される。
「死ぬ時は一緒、って言われたんですよ。妻は実家が実家だし、私として避けたかったんですがね。愛されちゃってますね」
「いち男性としては羨ましい限りですが、職権乱用、と周囲に受けとられるのではないかと…」
「公私共に私を良く知る人間が副官をやる。適材適所ですよ。言わせたい人には言わせておけばいいんです。参謀長が気に病む必要はありませんよ」
「はあ…」


同日10:00
ヤマト・ウィンチェスター

 立場が人を変えるというのは本当だな、まさかヤンさんに心配されるとは思わなかった。艦橋に持ち込ませた会議用の円卓にはヤンさん以下の司令部スタッフが勢揃いしていた。
「時間です。さあ訓練開始です……参謀長、現在の配置状況は?」
「哨戒第二配置です」
「上げましょう。全艦戦闘配置」
「了解致しました、…全艦戦闘配置!」
マイクがおいおいと笑っていた。皆も苦笑する中、エリカが質問をぶつけて来た。
「あな…閣下、何故全艦戦闘配置なのですか?小官は艦隊での訓練は初めてでして」
「ああ、そうだったね…少尉、イゼルローン、アムリッツァを同盟が保持している現在、帝国艦隊と遭遇する可能性があるのはどこになるだろう?」
「……アムリッツァ帝国側外縁部、もしくは帝国領域です」
「そうだね。同盟領内に帝国が攻めて来ていた頃とは違う。であれば常に会敵する可能性がある、それに備えての戦闘配置という事だ。それにうちの艦隊は新兵ばかりだ。訓練とはいえ最初から緊張感が必要だ」
「そうなのですね…」

 キンスキー少尉…エリカを副官にするにあたって、俺は彼女に条件を出した。本来なら自分の妻を副官にするなど有り得ないからだ。任務中、人前では気安い態度をとらない事。命令がない限り私事を優先しない事……当たり前の事だけど釘は刺しておかなきゃならなかった。何故なら俺を含めスタッフが皆友人かそれに近い存在だからだ。友人同士、親しい先輩後輩、であればあるほど公私を切り分けるのは難しい。
 釘を刺すくらいならエリカを副官にしなくてもいいんじゃないか…希望したのはエリカで、俺じゃない。ハイネセンで待っててくれと言ってみたものの、この企みには黒幕がいた。マイクとオットーだった。
『結婚して旦那は出撃、気がついたら未亡人…なんて事もある。そうなったらエリカちゃんが可哀想だろ』
『マイクの言う通りだ。少将で艦隊司令官なんて、前例の無い人事だからな、もう一つくらい前例の無い事をやってもいいんじゃないか。それに最年少の艦隊司令官は愛妻家、恐妻家、とでも思われていた方がやっかみも減るだろうよ。お前だってエリカちゃんに悪い虫がつく心配がなくなっていいだろう?』
『お前等なあ…』


 艦隊の錬成訓練の相手はクブルスリーの率いる第一艦隊、一万五千隻だ。先日のフォルゲン星域の艦隊戦で受けた損害を復旧し、俺達と同じ様に錬成訓練を行っている。ただ俺達と違うのは、うちの艦隊は一から立ち上げたばかりで艦隊の練度は恐ろしく低いけど彼等はそうではない、という事だ。第一艦隊だって人員の損害は大きかったけど、元の艦隊構成員はまるまる残っている訳だから、新規の補充要員の練度を上げればいいだけで済む。とんでもないハンデだ。
「今のところ、第一艦隊の影はありませんが…彼等はどの様な戦術を採るでしょうか。発言は自由です」
挙手の後発言したのはワイドボーンだった。
「敵…第一艦隊はこちらの二倍の兵力です。単純に兵力を二分して索敵しつつ分進合撃の体制を採るのではないかと考えます。向こうも錬成中ですし、それほど複雑な戦術は採らないかと思われます」
「ふむ…それなら分進したどちらかが我々と会敵しても、残りのもう一方が来援するまで耐えればいい。第一艦隊の勝率はかなり高いですね。それに対し、我々の採る方策は?」
「選択肢は多いとは言えません。敵が分進合撃策を採っていた場合、こちらは後退しつつ会敵した相手の漸減を図り、相手の合流までの時間を稼ぎます」
「稼いだ後はどうなりますか?」
「……撤退もやむを得ないかと思われます」
「そうなるでしょうね。我々に援軍はありませんし、こちらが少数なのは向こうにも判っているのですから、我々が後退しても無理に追撃してこないかもしれない。それに…」
俺が口を止めて用意してあったコーヒーセットに手を伸ばすと、代わりにヤンさんが俺と同じ考えを口にした。
「…最悪なのは第一艦隊の残りの兵力が我々の退路を塞ぎに来る事だ。我々と会敵した敵は当然ながら我々と遭遇した事をもう一方に報告する。報告した敵は戦端を開く。報告を受けたもう一方の敵は戦闘中の味方に合流するのではなく、我々の退路を断つ行動を採る。理想的なタイミングであれば前後から挟撃されて我々は殲滅される」
…ヤンさんに言われると、既定路線の様で恐ろしい…それにしてもマイボトルでマイ紅茶を用意しているなんて用意周到ですね…。

 「衆寡敵せず、ですか……ぁ痛っ」
アンドリュー・フォークがまるで他人事の様な感想を口にした。何故かパオラ姐さんに小突かれて小さい悲鳴を上げている。衆寡敵せず…その通りなんだよ。寡兵を以て大軍を討つ…聞こえはいいがとんでもない難事なんだ。百対二百とかであればまだやりようはあるけど、七千五百対一万五千では全くお話にならない。
 アッテンさんがマイクに近寄って耳打ちしている。マイクが頷くとアッテンさんは済ました顔で艦長席に戻って行った。
「閣下、旗艦艦長より報告です。全艦戦闘配置につきました。艦隊全力発揮可能です」
「ダグラス大佐、了解した。運用主任参謀」
「はっ」
「全艦戦闘配置完了までの所要時間は?」
「十八分三十一秒です」
「十分以内で配置が完成する様に各艦を指導する様に」
「了解致しました」
「参謀長、この後はどうお考えです?」
「そうですね、閣下が宜しければ小官が発令致しますが…?」
「お任せします」
「了解致しました……全艦、警戒監視を厳とせよ。また休息は現配置のまま各艦所定とする」
ヤンさんは下令後大きく息を吐くと頭を掻いた。
「結構です参謀長。皆さんも交替で休憩を取るように」
皆が各々のため息をつきながら休息の順序を決めている。とりあえずは各参謀がそれぞれ半数ずつ艦橋に居ればいい。

 エリカがコーヒーのおかわりを注いでくれた。いつの間にか紅茶セットも用意してくれている。
「そういえば、参謀長には突然男の子のお子さんが出来たと聞きました」
「キンスキー少尉、よく知っているね」
「司令官閣下が教えて下さいました。何でもキャゼルヌ准将の企みだとか」
ヤンさんははにかんだ笑みを返す。
「そうなんだよ。お前は社会人男性として義務を果たしていないのだから、せめて社会貢献をしろと」
「社会人男性の義務…?」
「そう、結婚の事さ」
「あ…失礼致しました」
「いや、気にしなくてもキャゼルヌ先輩の言う事は半分は合っているが、半分は間違っているんだ」
「そうなのですか?」
「そうだよ。私は立派に義務を果たしているよ。選挙、納税、そして軍人として。それに、そもそも結婚する相手が見つからないのだから、果たしたくても果たしようがない。大体だ、妻帯者だからといって偉そうに説教するのが気に食わない。私は結婚していなくても人類の歴史に貢献した人物達を四、五百人はリストアップ出来るよ」
ヤンさんはベレー帽をくしゃくしゃにしながらしかめっ面をしている。
「私は妻帯者で人類の歴史に貢献した人物をもっとリストアップ出来ますよ、参謀長」
ヤンさんは心外そうな顔をした。いやあ、こういう原作っぽい会話はたまらんな!
「閣下まで先輩の味方をするんですか…」
「いえ、キャゼルヌ准将ならこういう風に返すだろうと思ったんですよ。あの人はジョークが下手ですからね」
「ははは、それは言えてますね」
エリカも吹き出すのを堪えられず下を向いている。オルタンスさんから色々と聞いているんだろう。
「…それで、新しいご家族はどのような男の子なのですか?」
「ええ、ユリアン・ミンツという男の子ですが、私なんかの元に来るのが間違いだと思うくらい優秀でして。文武両道とはまさにああいう事を指すのだと実感しましたよ」
「そうなのですね…ハイネセンに戻ったら歓迎パーティーを開かなくてはいけませんね、司令官閣下」
「そうだね、是非やろう。会えるのが楽しみだな」
ヤンさんは話がユリアンの事になるととても嬉しそうな顔をしていた。ヤンさんもユリアンと同じような年に孤児になった。キャゼさんがどうのこうの言いながらも、自分の半生を投影しているのだろう…うん、いいねえ、暖かいねえ。今更ながら銀英伝の世界に居るって事を実感するよ。
「ありがとうございます。本人も喜ぶと思います。ユリアンは閣下を尊敬していますし」
「そうなのですか?意外だな…私はてっきり参謀長を尊敬しているのかと思いましたけど」
「いえ、小官の事も尊敬していると言っていますが、閣下の事もかなり尊敬している様です」
そ、そうですか……また過大評価なウィンチェスター評をしたに違いない…。
「私のような作られた英雄を使いこなす、本物の英雄だと話しておきました」
「そんな事はないですが…そ、そうですか、それでは是非とも歓迎パーティーをしなくてはなりませんね」
…ヤンさんはユリアンにどんな事を吹き込んだんだ?冷めたコーヒーが忌々しい…。

 
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