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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第120話 さらばグルメピラミッド!小猫ちゃんの包丁の完成とメロウコーラの実食!後編

side:小猫


 無事にメロウコーラをゲットした私達は一龍さん達と別れてデザートラビリンスを進んでいます。


「ははっ、大量にゲット出来たな。コイツらをあんなに簡単に捕獲できるなんてこれも小猫ちゃんや黒歌のお蔭だな」
「まさかピラミッド内の全ての猛獣が特殊調理食材だなんて驚きですね」
「にゃはは、でも味は格別だろうし調理のしがいがあるね」
「はい、美味しく調理して見せますよ」


 イッセー先輩は大量の猛獣達を引きずりながら笑みを浮かべて歩いています。この猛獣達は先輩や私達がピラミッドで出会った猛獣達です、とりあえず折角なので一通り捕獲して見ました。


 このレシピ本のお蔭でなんなく捕獲できました、姉さまの言う通りここからは料理人の腕の見せ所ですね。


「くんくん……俺達の匂いは向こうから漂っているな。こっちだ」


 帰り道は来た時の匂いをたどって先輩が誘導してくれます、お蔭で幻影に惑わされずにスムーズに進めますね。


「イッセーの鼻は便利だね~、私達も鼻は利くけどイッセーみたいな精度はないにゃん」
「まあ黒歌や小猫ちゃんには仙術があるし鼻でまで負けていたら俺は今回良い所なくなっちゃうからな」
「そんなことないよ、合体技を決めたイッセー最高にかっこよかったにゃん。白音もそう思うよね?」
「はい、あの時の先輩はすっごくかっこよかったです。惚れなおしちゃいました」
「ありがとうな、二人とも。でも今回の俺は正直力不足を実感したよ、ゼブラ兄がいなければ小猫ちゃんやアーシアを失っていた可能性が高いし黒歌がいなければギリムにアッサリ殺されていただろう」
「先輩……」


 先輩は悔しそうに歯を食いしばっていました。ギリムは本当に恐ろしい相手でした、イッセー先輩、ココさん、サニーさん、ゼブラさん、姉さま、セラフォルー様を相手にして殆ど相手にならなかったのですから。


 私なんてリアス部長の様に援護すらできませんでした、完全にお荷物でしたよ……


「黒歌、頼みがあるんだ。これから時間がある時は俺と組み手をしてくれないか?少しでも強くなりたいんだ。忙しいのは分かっているんだが……」
「勿論付き合うよ、イッセーだけじゃなくて私も鍛え直したいしね」
「ありがとうな」
「どういたしまして」


 二人はそう言って笑みを浮かべて笑い合い見つめ合っていました。知っていますか?ここまで恋人ムードを出しておいてお互い告白もしていないんですよ?


「二人とも、早く告白して付き合ったらどうですか?お互い好きあってるのはもうわかってますし正妻の私が許しますので」
「ええっ!?」
「そ、それは……」
「見ててじれったいです、町に着いたら時間を上げるのでさっさと結ばれてください。いいですね?」


 私は溜息を吐きながら二人にそう言いました。良い機会ですしさっさと関係を進めてください。


「じゃあ黒歌、町に着いたらちょっと時間をくれないか?」
「う、うん……いいよ」


 二人がいちゃつき出したので私は満足げに頷きながらアーシアさんの方に向かいました。


「アーシアさん、具合はどうですか?」
「あっ小猫ちゃん、問題無いですよ。ゼブラさんがメロウコーラの炭酸入りのサウンドアーマーを纏わせてくれたのでへっちゃらです」
「それは良かったです」


 アーシアさんとティナさんはゼブラさんがメロウコーラの炭酸入りのサウンドアーマーを纏わせてくれたのでこの砂漠でも問題なく進めています。


「ゼブラさん、お二人にサウンドアーマーを纏わせてくれてありがとうございます」
「わ、私からもお礼を言わせてください!ありがとうございます!」
「ゼブラ、ありがとうね!あんたって結構良い奴だったのね、噂だけで怖がっちゃって本当にごめん!まあ危険人物には変わりないけど……」
「ティナさん……」


 私とアーシアさん、そして近くで話を聞いていたティナさんがゼブラさんにお礼を言いました。まあティナさんは余計な事を言ったので祐斗先輩に注意されましたが。


「ふん、俺はさっさとコーラと飯を食いてぇだけだ。てめぇらのためにやったわけじゃねえ」


 ゼブラさんはそう言ってそっぽを向きました。


「なあゼブラ、俺にもその涼しい奴をやってくれよ。暑くて仕方ねえんだ」
「知るか、失せろ」


 アザゼル先生が汗だくの顔でゼブラさんにそう言いますが一瞥されていました。


「くっそ~、冷てぇ奴だな。おいルフェイ、俺だけでもフロルの風とやらで帰してくれ。もう我慢できねぇ」
「情けない人ですね、もう少しくらい頑張ってくださいよ。日光に弱いギャスパー君は文句の一つも言ってないんですよ」
「ぼ、僕も強くなりたいから……このくらいへっちゃらです!」
「ぐむむ……」


 今度はルフェイさんに絡みますがギャー君を引き合いに出されて悔しそうにしていました。ギャー君も根性が上がってきましたね。


「ならセラフォルー、氷の魔法で俺を冷やしてくれよ」
「えー、今私はサニー君を冷やしてるから無理かなー」
「だぁぁっ!お前はさっさと離れろ!半分は冷たくて半分は暑いって最悪じゃねえか!髪が痛んじまうだろう!」
「やーん」


 アザゼル先生は氷の魔法で冷やしてくれとサニーさんの腕にべったりとくっ付いていたセラフォルー様に言いますが、彼女は拒否しました。


 どうやら氷の魔法で自身を冷やしてこの暑さを防いでいるみたいですね。ただサニーさんはくっ付かれているから右側は冷たいみたいなのですが左側は暑いようなので地獄みたいな温度の変化を味わってるみたいですね。


 サウナは暑い部屋で体を温めて冷たい水で冷やすのが気持ちいいらしいですが同時にそれをやったら意味はないでしょうし不快なんでしょうね。


 髪ロックで縛られたセラフォルー様は渋々とこちらに歩いてきました。


「サニー君のいけず~……」
「セラフォルー様、大丈夫ですか?」
「小猫ちゃんばっかりズルいよ!どうしてサニー君にあんなに気に入られているの!」
「そんな事を言われても……」


 声をかけてみましたが何故かそんな抗議をされてしまいました。


「そうだ!私もこの世界の事を勉強したんだけど確か美食屋と料理人ってお互いを気に入るとコンビを組むんだよね?サニー君、私とコンビを組もう!これでも数百年生きてるから料理は出来るよ!」
「やだ、俺は猫がいい」
「がーん!」


 バッサリ切り捨てられたセラフォルー様はショックを受けて膝をついてがっくりとしてしまいました。


「あ、あのセラフォルー様……?」
「……とうだよ」
「えっ?」
「上等だよ!私は確信した!小猫ちゃん、貴方は私のライバルだよ!」
「えぇぇぇぇっ!?」


 いきなりそんな事を言われて私は大層驚いてしまいました。


「なんでそうなるんですか!」
「きっとこれは恋の試練なのよ!貴方というライバルを乗り越えて私とサニー君は結ばれるの!昔見た魔法少女のアニメで主要キャラとサブキャラが一人の男を巡って対立していたし魔法少女には必要なことなんだわ!」
「それ最終的に皆不幸になる奴じゃないですか?」
「とにかく私はもう決めたから!だから正々堂々と勝負だよ、小猫ちゃん!」
「はぁ……」


 なんかライバル宣言されましたけど正直私としては何故……としか思えないです。そもそもサニーさんは尊敬する人であって好きなのはイッセー先輩なので寧ろ応援したいくらいなのですが……


 訂正するのも面倒だったのでやる気を出したセラフォルー様を置いて私はリアス部長と朱乃先輩の方に向かいました。


「大変だったわね、小猫」
「あらあら、小猫ちゃんとセラフォルー様がライバル関係になるとはわたくしも想像できませんでしたわ」
「私だってビックリですよ、今まで接点なかったのに……」
「セラフォルー様は思いこむと一直線だから付き合ってあげて、小猫」
「分かりました」


 苦笑しながらリアス部長が付き合ってあげてと言ったので頷きます。


「そういえば部長、先ほどセラフォルー様と何か話していましたよね?」
「ああアレね、私がグレモリー家を出た事の敬意とソーナの事について話しを聞いたの」
「会長の……ですか?」


 ソーナ会長の名前が出たので私は首を傾げました。


「ええそうよ。少し前に若手悪魔が集まってパーティが開かれたらしいんだけどその際に若手同士でレーティングゲームをすることが決まったらしいの。そしてソーナは最初の相手にディオドラになったそうでレーティングゲームをしたんだけど負けてしまったそうよ」
「ソーナ会長が!?」


 私はソーナ会長が負けたと聞いて驚きました。聞けばソーナ会長は序盤は見事な作戦や指揮でディオドラを追い詰めていったそうですが、終盤になって突然ディオドラとその眷属がパワーアップして追い込まれてしまい劣勢になって押し負けてしまったみたいです。


「負けたことは残念だと思うけど一番重要なのはソーナの作戦や戦い方よ、なんでも負傷を前提にしたカウンターや人工神器を肉体にダメージを喰らう程の負荷をかけた使い方をしていたみたいなの。眷属を大事にするソーナらしくないやり方だと思ってね」
「確かに会長らしくないやり方ですね」


 グレモリーとシトリーは友好関係にあって部長と会長も幼いころから仲良しの友達です。だから私達もソーナ会長の人柄を知ってるのでそんな戦い方をしたことに驚きました。


「今は冥界で修行中らしいし夏休みが終わったら一度ソーナと話をしてみるつもりよ」
「それがいいですね、私達に出来る事があったら遠慮なく言ってください」
「ありがとう、小猫」


 ソーナ会長の事は気になりますが今はどうしようもないですし心の中で覚えておくことにしました。

 
 それから先を進んでいくと赤い砂漠が終わり普通の砂漠に脚を踏み入れました。そのまま一気に進んでいき私達はレンタルラクダのある町まで戻ってきました。


「おお、ゼブラ様!皆様もご無事で……!」
「お婆さん、ただいま」
「言っただろう、余裕で往復してやろうかってな」


 私達の姿を見たレンタルラクダのお婆さんや町の人たちが駆け寄ってきました。


「お婆さん、済まない。ラクダは一頭しか持ち帰れなかった」
「そんな、生きて帰ってきてくださっただけで良かったんです、気にしないでください」
「お詫びとしてだけどメロウコーラを一緒に飲もうぜ。世界で一番美味いコーラなんだ」
「ええっ!?」


 先輩はお詫びとして皆さんにメロウコーラを分けると言いました。私達もそれが良いと思ったので折角ですし沢山の人を呼ぼうって事になったんです。


 ゼブラさんは怒りましたが私が説得してなんとか納得してもらいました。


 噂が広がって砂漠に住んでいる人達が集まってきたのでもうちょっと食材を集めようとしていたのですが、不意に私の携帯が鳴ったので電話に出ました。


「はい、もしもし?」
『あっ小猫ちゃん?無事につながってよかったよ』
「ルキさん!?」


 電話の相手は何とルキさんでした。ルキさんは今まで一度も山を下りた事が無く包丁の受け取りもポチコに任せていたので携帯を持っていなかったのですがイッセー先輩が一つ譲ったんです。


「どうしたんですか?」
『実はね、君のために作っていた包丁が完成したんだ』
「えぇっ!?本当ですか!!」


 ルキさんの言葉に私は笑みを浮かべて驚きました。


「でも話だとまだまだかかるって聞いていましたが……」
『うん、本来はもっと時間がかかる予定だったんだけど節乃って人が訪ねてきてね、その人の協力があって早く完成したんだ』
「節乃さんがですか!?」


 私は更に驚いてしまいました、まさか節乃さんの名前が出るとは思っていなかったんですから。


『とにかく来てくれないか?ぜひ小猫ちゃんに見てほしいんだ。今大丈夫かな?』
「行きます!何があっても絶対に!」


 私はそう言って興奮しながら電話を切りました。そして宴会の準備をしていたイッセー先輩や皆にこのことを話します。


「えーっ!小猫ちゃんの包丁が完成しただって!?」
「はい、そうなんです!」


 私の話に先輩は驚いた顔でそう言いました、私は満面の笑みを浮かべてそうだと返します。


「話で聞いてたより早かったわね、もう数か月はかかるんじゃなかったの?」
「それがどうも節乃さんが協力してくれたらしいんです」
「えっ節乃さんが?」


 リアス部長は包丁の完成はまだかかると聞いていたと言うと私は節乃さんが協力してくれたと話します。


「そういえば前に節乃さんはライトニングフェニックスのスープを短時間で仕上げた事がありましたわね」
「今回もその技術を使ったのかな?」


 朱乃先輩と祐斗先輩は以前節乃さんが本来長くかかる調理を短縮したことを思い出して、その時に使った技術について話していました。


「姉さま、一体節乃さんはどうやってあんなことをしたんですか?」
「ごめんね、今はまだ話せないんだ。話しても絶対に出来ないし……最悪でもグルメ界に入れるほどにならないと」
「なるほど、聞いたところで俺達には理解できないって訳か。なら早くグルメ界に入れるように強くならないとな」


 私は知っているであろう姉さまに質問しましたが姉さまは困った顔でそう言いました。それを聞いた先輩は今の私達では話についていけないと悟り強くなって聞けばいいと話します。


「とにかく包丁が完成したのなら急いで取りに行こう。ルフェイ!」
「はい、任せてください!」


 食材の調達をココさん達に、料理の準備を姉さまに任せた私達はルフェイさんのフロルの風でメルクマウンテンに向かいました。しかし……


「な、なんだこれは!?」


 私達は目の前の光景に驚きを隠せませんでした、何故ならメルクさん達が使っている工房が真っ二つに斬られていたからです。


「工房どころではないぞ、山まで斬られているじゃないか!?」
「い、一体何があったのでしょうか?」


 ゼノヴィアさんは工房どころか山を切り裂いた斬撃を見て警戒してアーシアさんが怯えながら何があったのかと言います。


「まさか美食會が攻めてきたんじゃ……メルク包丁は美味い料理を作るのに必要だから独占しようと攻めてきた可能性がある!」
「そんな……じゃあルキさんは!?」
「節乃お婆ちゃんがいるなら問題は無いだろうが……じゃあこの斬撃の後は一体何なんだ?」


 先輩の言葉に私は取り乱してしまいそうになりましたが節乃さんがいてルキさんが連れ去られるわけがありません。


 しかしじゃあこの斬撃は一体何なのかと先輩は警戒を強めます。


「とにかく二人を探そう、危険だから単独行動はするな。ティナやアーシアはここにいろ」


 先輩の指示で私達は二人を探すことにしました。私は朱乃先輩と一緒に辺りを捜索します。


「うーん、特に異常はありませんね」
「あの小猫ちゃん、仙術で辺りの氣を探ってみてはどうかしら?」
「あっその手がありましたね」


 朱乃先輩の指摘に私はつい慌てていて仙術を使っていないことを思い出しました。


「えいっ」


 私は仙術で辺りの氣を探ると……あっいました!この氣はルキさんかな?でも確かここって……


「うわあぁぁぁぁぁっ!?」


 すると祐斗先輩の叫び声が聞こえました、私達は急いでその場所に向かいます。


「祐斗先輩、一体何が……えっ?」


 そこには驚いて尻もちを付いている祐斗先輩と男がいるのに隠そうともせず堂々としていた裸のルキさんでした。やっぱり風呂場でしたか……


「や、やあ小猫ちゃん。待っていたよ」
「前を隠してください!」


 私は近くにあったタオルをルキさんに投げました、いくら男として生きようと思っていても流石に裸は隠してください!


「小猫ちゃん!一体何があったんだ!」
「先輩は来ちゃ駄目です!」
「ぐわあぁぁぁぁぁっ!?」


 私は風呂場に来ようとした先輩の目に指を突き刺しました。そしてちょっとした騒ぎになりましたがなんとか落ち着かせました。


「痛てて……俺も浮かれていて匂いを嗅ぐのを忘れていたぜ……まあ結果的にしなくて良かったけど」
「ごめんなさい、先輩……」
「いいよ小猫ちゃん、気にすんなって。このくらいなんともないよ」


 先輩に撫でてもらい私は安心しました。咄嗟とはいえ目つきして怒らないなんて先輩は優しすぎますよ……


 因みに祐斗先輩は外でティナさんとリンさんにお説教をされています。まさか祐斗先輩がラッキースケベをしてしまうとは……


「ごめんな、時間があったから汗を流していたんだ」
「俺達は気にしてないよ、こっちこそ済まない。まさかあの斬撃が出来上がった包丁を軽く振って出来たものだとは思わなくてな……」
「俺も驚いたよ、まさかあそこまで切れ味が良いなんて……流石デロウスの牙だね」


 どうやらあの斬撃は完成した私の包丁を軽く振って起きてしまったモノみたいですね。凄まじい切れ味です。


「そういえば節乃お婆ちゃんは?ここにいたんだよな」
「うん、でも包丁が完成したのを見届けたら急いで一龍会長の元に行ってしまったよ。何でも知り合いの件で話があるって」


 イッセー先輩は姿が見えない節乃さんについてルキさんに尋ねると彼女はもうここを離れたと言いました。


「知り合い?もしかしてギリムの件か?」
「一龍さんだけでなく節乃さんもギリムと知り合いだったのでしょうか?」
「そういえば親父はあやめっていう名を口にしていたな。多分女性の名前だと思うしその人と知り合いなのかもしれないな」


 私とイッセー先輩は一龍さんとギリムの会話にあやめという人物の名前が出ていたことを思い出しました。


 とはいえ憶測で語っても真相は分かりません、また今度会った時に聞いてみましょう。


「それでルキさん、完成した包丁は何処にあるんですか」
「これがそうだよ」


 ルキさんは一本の包丁を取り出しました。


「こ、これが……!」


 その包丁はただならぬオーラを感じました。まるで生きているかのような存在感に皆が視線を釘づけにしています。


「さあ小猫ちゃん、手に取ってみてくれ」
「は、はい……」


 私は恐る恐る包丁を手に取りました、すると……


「包丁が輝いた!?」


 私の持っている包丁が眩く輝きました。


「……うん、どうやらその包丁は君を認めたみたいだね」
「そうなんですか?」
「ああ、俺も師匠から聞いたことがあるんだけど優れた料理人が優れた包丁を持つと輝きを放つことがあるらしいんだ。それは包丁が料理人を認めた証でもあるらしい」
「そうなんですか……」


 ルキさんの話を聞いて私は包丁をジッと見つめます。


「とても重いですね……まるでデロウスそのもののプレッシャーを感じます。でも私は先輩と一緒に世界一のコンビを目指すって決めたんです、必ずあなたを使いこなして見せます」


 私がそう言うと包丁は鈍く光を放ちました。


「これからよろしくね、私の相棒」


 私はそう言って包丁の刃の無い部分を撫でました。


「ルキさん、こんな素晴らしい包丁をありがとうございます」
「俺の方こそありがとう、小猫ちゃん。君たちのお蔭で俺は迷いなく包丁を作れた」


 ルキさんは笑みを浮かべてそう言いました。


「初めてだったよ、師匠の代わりではなく自分の意志で包丁を作ったのは……その包丁は俺の会心の逸品だ、それで世界一になってくれ」
「はい!必ずなります!」


 ルキさんの問いに私は強い意志を乗せてそう言いました。


「小猫、おめでとう!とってもよく似合ってるわ!」
「うん、凄くカッコいいよ!」
「これからまた美味しい料理を期待していますわ、うふふ」


 リアス部長、祐斗先輩、朱乃先輩が褒めてくれました。というか祐斗先輩いつの間にか戻ってきていたんですね。


「それが伝説の竜デロウスの牙で作った包丁!?滅茶苦茶美味しいスクープだし!」
「イッセーのコンビの子がこんなにも立派になって……お義姉ちゃん嬉しいし!」


 ティナさんが興奮した様子で詰め寄ってきてリンさんがうれし泣きしていました。


「良かったな、小猫ちゃん。その包丁とてもよく似合ってるよ」
「ありがとうございます、イッセー先輩」
「俺も負けていられないな、一緒に世界一のコンビを目指す以上もっともっと強くならないとな!」
「私ももっと料理の腕を磨きます!貴方と一緒に世界一のコンビを目指すために……!」


 私とイッセー先輩はそう言って頷き合いました。


「ところで小猫ちゃん、その包丁の名前はどうする?」
「えっ名前ですか?」
「ああ、折角だし名前を付けてあげたらいいと思うんだ」
「そうですね、ならこの子の名前は『一閃』にしようと思います」


 私はルキさんの話を聞いてこの包丁の名前を一閃にしようと決めました。


「一閃?もしかして俺の名前を?」
「はい、私の大切な人の名前を借りたいんです。いいですか?」
「勿論だ、俺も嬉しいよ」


 イッセー先輩の名前を狩りて一閃と名を付けました。よろしくね、一閃。


「ところでルキ、例のアレは……」
「メルクの星屑だね、そこにあるよ」
「うおおおおっ!コレがメルクの星屑か!?」


 イッセー先輩はルキさんの取り出した金色の粉を見て興奮しました。


 もう、食べ物の事になるとそっち優先になるんだから……まあ私も気になりますが。


「すっごい綺麗ですぅ!まるで夜空に浮かぶ星々みたいですぅ!」
「ああ、見ているだけで虜になってしまいそうだ……」


 ギャー君とゼノヴィアさんはうっとりしながらメルクの星屑を見つめていました。


「よし、じゃあ早速食べてみよう」


 メルクの星屑をスプーンで少しすくい皆で口の中に入れます……んんっ!?なんですかこの味は!?


「う、美味い!?グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸とは違う新しい旨味が口いっぱいに広がっていく!?」
「こんな美味しい調味料は味わったことがないわ!」


 イッセー先輩とリアス部長はまたスプーンでメルクの星屑を救って食べました。私も手が止まりません!


「うめぇ!こんな美味い調味料があったとは!?」
「手が止まらないよ!癖になっちゃう!」
「アンッ!」


 アザゼル先生、イリナさん、テリーまでもが食べる手を止められなくなっています。


「ちょ、ちょっと皆!そんなに食べたらなくなってしまうよ!」
「ハッ!?」


 ルキさんに止められて私達はなんとか手を止められました。しかしなんて美味しさなのでしょうか、まだ食べたいって思ってしまいます……


「俺もちょっとした好奇心で味見して見たけど中毒になりそうなくらい美味かったよ、気が付いたら無くなっていたんだ。幸い削り始めた時だったから良かったけど……」
「恐ろしいくらいの美味さだ、まるで麻薬食材のような中毒性だな」


 ルキさんでも止められないくらいの美味しさ、それを聞いたイッセー先輩はメルクの星屑を麻薬食材のような中毒性だと言いました。


「えっ危険な食材なんですか?」
「体に害が出るようなタイプじゃないがとにかく美味すぎるんだな、食い過ぎに気を付けないといけないな。しかし細胞は進化していないな」


 私は危険な食材なのかと尋ねますがとりあえず体に害はないそうです、ただ美味すぎて中毒になりそうなのが怖いですね。


 先輩はメルクの星屑を食べても細胞が進化していないと言いました。私や祐斗先輩、朱乃先輩やルフェイさん、リンさんなども変化はないそうですね。


「調味料ですし普通に食べただけでは駄目なのかもしれませんね」
「なるほど、なら小猫ちゃんに料理を作ってもらってそれにかけてみよう。丁度新しい包丁も手に入ったしな」
「任せてください!」


 イッセー先輩の言葉に私は笑みを浮かべてそう返しました。


 その後私達は砂漠に戻ろうとしたのですが……


「師匠、実はもうフロルの風は無いんです」
「えっマジで!?じゃあどうやって戻るんだよ!?」


 なんとフロルの風がもう無いとルフェイさんが言いました。不味いですよ!


「ふっふっふ、心配はご無用です。私はメロウコーラを飲んでレベルアップして新しい呪文を覚えました。その名もルーラです!」
「ルーラ?」
「はい、一度行った場所に行ける便利な呪文です。まあ洞窟とか閉鎖的な場所では天井に頭をぶつけてしまうという弱点もありますがいつでも好きな時に好きな場所に行けますよ!まあ私が一回行った場所じゃないといけないんですが……」
「そうか、ならもうブレスドラゴンやウスバホークを集めなくていいって事か!アイツらめっちゃ早く飛ぶし見つけにくいしで捕獲するの面倒だったんだよな」


 どうやらイッセー先輩がフロルの風の材料を集めていたみたいですね、これからはその必要は無いって事ですか。


「待てよ、洞窟では使えないんだろう?そう言う場所で万が一の事があったらどうするんだよ?」
「心配ご無用です、もう一つの呪文『リレミト』を使えばいいんですよ。この呪文はダンジョンなどから一瞬で脱出できる呪文なんです!」
「それなら安心だな」


 イッセー先輩の指摘にルフェイさんはドヤ顔でそう答えました。


「それじゃ早速向かいましょうか」
「あっそうだ、ルキさんも行きましょうよ」
「えっ、俺も?」


 私はルキさんも一緒に行こうと誘いました。


「はい、折角ですし一緒に美味しい物を食べましょう」
「でもまだ仕事が……」
「ちょっとくらいいいじゃないか、包丁を作ったお前に小猫ちゃんは料理を食べてほしいんだよ」
「う~ん、ならお言葉に甘えようかな」
「やったぁ!」


 先輩の助け舟もありルキさんも来てくれる事になりました、ポチコも誘い私達はルーラで砂漠に戻りました。


―――――――――

――――――

―――


 その後戻った私達はココさん達にも包丁を見せました。


「コレが小猫君の新しい包丁か、凄まじい電磁波を感じるね」
「美しっ!なんて輝きに切れ味だ……触角が切られちまったぜ!でもそれがまた美しっ!」
「にゃはは、白音の包丁すっごく良い包丁だね!流石メルクの弟子が作っただけの事はあるにゃん」


 ココさん、サニーさん、姉さまはそう言って褒めてくれました。


「俺は包丁なんざ興味ねぇ、大事なのはそれで美味い飯を作れるかどうかだ」
「任せてください!美味しい料理をゼブラさんに作って見せますよ!」
「ふん」


 私はゼブラさんにそう言って早速料理を作り始めました。


(凄い!なんて切れ味!まるでメルク包丁の性能を全て載せたかのような万能っぷりです!)


 一閃の切れ味は恐ろしくこれ一本で複数のメルク包丁の性能を乗せたかのような万能さです。


「ゴルゴロプスの照り焼き、ユニコーンケルベロスの野菜炒め完成です!」
「白音もやるねぇ。はい、ダンゴールのから揚げにエスカルアゴのブルゴーニョ風だよ」


 姉さまと一緒に次々と料理を作っていきます、それ以外にもベジタブルスカイで採れた新鮮野菜を使ったサラダやフライドポテト、トマトソースパスタやメルクマウンテンにいたルビークラブの天ぷらなども作っていきます。


「仕上げはコレです!」


 私は姉さまに用意してもらっていた大きな生地の上に肉類、魚介類、野菜系、フルーツ系の四つの味に分けてそれぞれに味付けをしてチーズをたっぷり乗せました。


「先輩、出来ていますか?」
「ああ、窯はバッチリできてるぜ!」


 イッセー先輩の作ったピザ窯に生地を入れて先輩のブレスで火を付けます。そして……


「出来ました!ベジタブルスカイ、メルクマウンテン、サンドガーデンで取れた食材をふんだんに使った特性ピザです!」
「うっひゃ~!うまそぉぉっ!!」


 料理を作り終えた私達はそれらを沢山のテーブルに乗せました。ドリンクは勿論メロウコーラです!


「それではメロウコーラをゲットしたことと小猫ちゃんの包丁が完成したことを祝って……乾杯!」
『乾杯!!』


 先輩の言葉と共に私はメロウコーラを一気飲みしました……ぷはーッ!あー美味しい!


「美味い!このピザ複数の味を楽しめるから何度でも食べられるな!それをメロウコーラで流すと……あ―っ!たまんねぇなぁ!!」


 イッセー先輩はピザを食べながらコーラを飲んでまたそれを繰り返します。体に悪いものほど美味しいんですよね。


「んっこのから揚げジューシィで食べ応えがあるわ!美味しい!」
「道中で食べた時と比べて段違いの美味しさですわね、流石小猫ちゃんですわ」


 リアス部長と朱乃先輩はグルメピラミッド内で食べた猛獣達の味の違いを比べて驚いていました。あのレシピ本のお蔭なんですけどね。


「はい、祐斗君あーん」
「あ、あーん……」
「祐斗君、ウチのも食べて食べて!」
「は、はい……」


 祐斗先輩はティナさんとリンさんと仲包まじく食事をしていました。


「ルーラって結構魔力を使いますね、念のために魔力が切れた時の保険としてフロルの風の予備も作っておかないと……師匠にお願いしよっと」
「イッセー先輩も大変ですぅ」


 ルーラの使い心地を話すルフェイさんと他人事のようにパスタを食べるギャー君、結構図太くなりましたね。


「ぷはぁっ!メロウコーラのカクテルは最高だ!どんどん飲めちまうぜ!」


 アザゼル先生はメロウコーラを使ったカクテルを何杯も飲んでいました。あんなに飲んだら二日酔いは確定ですね……


「天ぷら!これが日本の味なのよ!あー美味しい!」
「コレが天ぷらか!サクサクの衣とルビークラブのプリップリの身が絶妙にマッチしている!日本料理は最高だな!メロウコーラとも合うぞ!」


 天ぷらを食べて感動するイリナさんとゼノヴィアさん、あそこまで喜ばれると嬉しいです。


「俺は今まで包丁を作っただけでその包丁がどんな料理を生み出すのか考えてなかったな。なんだか感動してきたよ」
「ルキさんのお蔭でもあるんですからもっと味わってくださいね」
「ああ、堪能させてもらうよ」


 ルキさんはそう言って笑顔で食事を続けます、嬉しそうで何よりです。


「ガウッ!」
「キー!」
「ユンユーン♪」
「ゴガァァァ!」
「ブルシシッ」
「……」


 テリー、キッス、ユン、オブ、マツゲ、ポチコも料理やメロウコーラを堪能していました。


 ユンはお留守番していたのでルフェイさんにオブと一緒に連れてきてもらったんです。しかしポチコは本当に静かですね。


「ゼブラさん、いかがですか?」
「……ふん」
「ふふっ」


 私はゼブラさんに味の感想を聞くと彼は何も言わずに料理を食べ続けました。それを見た私は気に入ってくれたんだなと思って嬉しくなります。


「よし、そろそろメルクの星屑をかけてみるか」
「うおっ!それがメルクの星屑か!?猫の包丁に負けないくらい美しっ!」


 イッセー先輩の取り出したメルクの星屑を見てサニーさんが興奮しました。そしてメルクの星屑を料理にかけて食べてみたのですが……


「これは……」
「メルクの星屑の味しかしないね。あまりの美味しさに素材の味をかき消してしまっている、これじゃ形を変えたメルクの星屑を食べているみたいだ」


 先輩の疑問にココさんが説明してくれました。メルクの星屑が美味しすぎてそれ以外の味が分からないです。


「こりゃ並みの食材では合わないな、メルクの星屑が味を支配してしまう」
「ごめんなさい、先輩。私の料理では合わなくて……」
「小猫ちゃんは何も悪くないさ、料理はすげぇ美味いよ。食材が合わないだけだ」
「先輩……」
「修行を続けていればいつかメルクの星屑に合う食材も見つかるさ、その時は料理を頼んだぜ!」
「……はい!」


 残念ながら今回の料理ではメルクの星屑には合わなかったようです。いつか必ずメルクの星屑に合う食材を見つけて料理したいと私は思いました。


 その後更に噂を聞きつけた砂漠中の人たちが集まってきて皆でメロウコーラを楽しみました。


「小猫ちゃん、これからも一緒に頑張ろうな」
「はい、一緒に頂点を目指しましょう」


 私はそう言って先輩とメロウコーラの入ったジョッキを軽くぶつけて乾杯をしました。


『乾杯』








―――『オマケ イッセーと黒歌、ついでに小猫が仲良しになる』―――



「ふう、いっぱい食べました……」


 お腹が膨れた私は宴会してる場所から少し離れた場所で休んでいます。


「あれ、あれって先輩と姉さま?」


 すると姉さまに手を引かれて砂漠に向かうイッセー先輩を見つけました。


「コレは面白い事になりそうですね」


 私はこっそり跡を追いかけました。普段なら直ぐにバレるのでしょうが二人とも緊張しているのか気が付いていないようですね。


 そして二人は町はずれのオアシスに来ました。


「ここなら誰も来ないにゃん」
「ああ、二人っきりだな」


 姉さまと先輩はそう言うとお互いを抱きしめあいました。


「白音には感謝しないといけないね」
「ああ、俺には出来た彼女だ」


 二人はそう言うと見つめ合いました。


「黒歌、俺はお前が好きだ。小猫ちゃんと一緒に俺の恋人になってくれないか?」
「私なんかで良いの?皆と違ってそんなにイッセーとの思い出はないよ?」
「そんなことないさ、俺が指の再生の為に瀕死になった時黒歌だって頑張ってくれたじゃないか。今回だって黒歌には何回も助けられた、今はお前より弱い俺だけどいつか強くなってお前も守れるようになる!だから俺と一緒になってくれ!」
「……うん、なりたい。私もイッセーの恋人に……お嫁さんになりたい!」
「黒歌……」
「イッセー……」


 二人は優しく唇を重ね合いました。


「ふふっ良かったですね、姉さま……」


 これで姉さまも先輩の恋人です。姉妹そろって先輩に貰って貰えて嬉しいです。


「あっ、二人とも発情しちゃってますね」


 気が付くと二人は激しいキスをしながら舌を絡めてました。更に姉さまが人払いの結界を出して姿を隠します。まあ私は転生悪魔なので効きませんが。


「先輩と二人っきりでキスしちゃうと私も発情しちゃうけど姉さまもか~、流石姉妹ですね」


 姉さまは発情をコントロールできるみたいですけど先輩とのキスで我を忘れちゃったみたいですね。先輩も以前薬で発情したからか釣られて発情してしまいやすくなってしまったようです。


「うわぁ……これはもう止まりませんね」


 激しく絡み合い愛し合う二人を見て私はそんな感想を言いました。いやだって私が望んたこととはいえ姉と自分の恋人の濃厚な逢引を見る事になるとは思っていなかったですし……


「このままだと避妊しないかもしれないし私も混ざろう。決して発情したわけじゃないし……うん、そうしよう」


 私はもしもの事が起きたらまずいと思ったのでストッパーとして二人に乱入しました。


「二人とも失礼します」
「ええっ!?白音!?」
「先輩、コレ避妊具です」
「ありがとうな、小猫ちゃん」
「なんでイッセーは冷静なのぉ!?」


 うろたえる姉さまと違って先輩は冷静でした、まあ先輩が朱乃先輩とにゃんにゃんしてる時に私が乱入しちゃうときもあるし慣れちゃったんでしょうね。因みに逆のパターンもあります。


「先輩は後ろからお願いします、私は前から姉さまをイジめますので」
「ちょ、ちょっと待って!にゃ……にゃあああぁぁぁぁぁぁぁ~~~っ!!」


 私は姉さまと一緒に先輩に朝まで可愛がってもらいました。これで3人一緒に仲良しになれましたね。


 
 

 
後書き
 イリナだよ。砂漠の旅は大変だったけどメロウコーラは最高だったな~。でもできればイッセー君とひと夏の思い出を作りたかったなぁ。


 えっ?豪華客船の旅の後に美味しいカレーを食べに行くの!?勿論私達も行くに決まってるよ!


 次回第121話『豪華客船の旅!バカンスを堪能しちゃいます!』で会おうね。


 次回も美味しくいただきま~す!えへへ。 
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