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博士の挑戦状

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第六十八話

              第六十八話  待っている間
 博士とカーミラは立って待っていた、だがそんな二人を見てタロは首を傾げさせて小田切君とライゾウに言った。
「また座ればよくない?」
「いや、博士はこだわりの人じゃない」
 小田切君が答えた。
「だからね」
「一回立つとなんだ」
「戦いが終わるまでね」
「座らないんだ」
「というか車椅子に座るから」
「それまではなんだ」
「座らないと思うよ」
 こうタロに話した。
「博士はね」
「そういうことなんだ」
「本当に博士はこだわるからね」
 小田切君はまたこう言った。
「そしてね」
「カーミラさんもなんだ」
「あの人もね」
 博士と戦う彼女もというのだ。
「やっぱりね」
「こだわりの人だから」
「それでね」
 その為にというのだ。
「一旦立ったらね」
「勝負が終わるまでか」
 今度はライゾウが応えた。
「座らないんだな」
「そうだと思うよ」
「こだわりな、おいらそんなの気にしないからな」
「僕もね」 
 タロも言ってきた。
「別にこだわってもね」
「何も意味ないからな」
「そう思うからね」
「こだわらないけれどな」
「二人共こだわるのが美学だからね」
 小田切君はいぶかしむ二匹にこう話した。
「だからだよ」
「立ったままか」
「それで勝負が出来る様になるのを待つんだ」
「そうだよ、ただ僕達は戦わないし」
 小田切君は自分達のことも話した。
「このままね」
「ああ、待っていような」
「勝負がはじまるのをね」
「そうしようね」 
 自分の言葉に頷く二匹に言った、そのうえで炬燵の中でうどんや甘酒を飲みつつ勝負を待つのだった。


第六十八話   完


                    2023・6・1 
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