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美少女超人キン肉マンルージュ

作者:マッフル
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第2試合
  【第2試合】 VSノワールプペ(4)

「さーて、おニューなウデを、はやさないとねー」

 悪魔将軍プペは、腕の無くなった肩に、力を込める。

“ずるりゅりゅりゅううう”

 突然、肩から新しい腕が飛び出してきた。悪魔将軍プペは、両手を、ぐう、ぱあ、ぐう、ぱあ、と開いたり閉じたりしている。

「おまえ、コウド0、ヘビヘビじごくはクリアーしたからー。つぎはコウド10、ギラギラじごくだよー」

 そう言うと、悪魔将軍プペは人差し指を、キン肉マンルージュに突きつけた。
 そしてギラギラ地獄と言われたキン肉マンルージュは、警戒し、身構える。

「プペプペプペプペプペッ! ずきゅーん!」

 悪魔将軍プペがそう言い放った、その刹那。キン肉マンルージュは吹き飛ばされ、キャンバス上に倒される。
 キン肉マンルージュは、ぴくりとも動かない。

「プペプペプペプペプペッ! どう? ダイヤモンドマグナムのおアジはー?」

 悪魔将軍プペは、銃の形に握った手を口元に持っていき、銃口部分の人差し指の先端に、ふぅと息を吹きかける。

「こ、これは、一体どうしたのかあ?! 突然、倒れてしまったキン肉マンルージュ選手! まったく動きません!」

 アナウンサーの声に反発するように、ミーノは声を荒げる。

「突然倒れたわけではないのですぅ! キン肉マンルージュ様は、攻撃を受けてしまったのですぅ! 悪魔将軍プペが放ったダイヤモンドを! ですぅ」

 マリはミーノの補足説明をするように、静かに話し出した。

「以前、キン肉マンさんが戦った悪魔将軍は、ダイヤモンドの汗をかいていたわ……悪魔将軍プペも同じように、ダイヤモンドの汗をかいて、その汗を……キン肉マンルージュに飛ばした……物凄い勢いで……まるで、マグナムのような威力で……」

 マリとミーノは心配そうに、倒れているキン肉マンルージュを見つめている。

「おおおっとお! ダイヤモンドマグナムの正体、発覚です! ということは、キン肉マンルージュ選手……ダイヤモンドの弾丸で、撃たれてしまったということになります! こ、これは大変です! 一大事です!」

 会場中の人々が、キン肉マンルージュに注目する。誰もが心配して、キン肉マンルージュを見つめている。

「んもう、びっくりしたあ」

 会場中の視線を独り占めしていたキン肉マンルージュは、何事も無かったかのように、すくっと立ち上がった。

「いったーい、お尻打っちゃったよ」

 キン肉マンルージュはお尻を撫でながら、きょとんとしている。

「あれ? どうしたの? なんでみんな、わたしを見ているの?」

 呆然とするキン肉マンルージュを、ミーノは不思議そうに見つめる。

「無事なのですぅ! それどころか、無傷なのですぅ!」

 そしてミーノは、キャンバス上に転がっているものに目を止める。

「んん? あれは……ダイヤモンドですぅ?」

 キン肉マンルージュの足元に、小指ほどの大きさのダイヤモンドが落ちている。それは間違いなく、悪魔将軍プペが撃ち放ったダイヤモンドである。

「……キン肉マンルージュ様は、無事なのですぅ……ダイヤモンドの弾が、そこに落ちているのですぅ……ということは……」

 状況を分析するミーノは、はっとする。

「そうなのですぅ! わかったのですぅ! キン肉マンルージュ様は、マッスルジュエルに助けられたのですぅ!」

 状況が把握できないでいる観客達は、ミーノに注目する。

「悪魔将軍プペが放った弾丸は、キン肉マンルージュ様の胸にある、マッスルジュエルに着弾したのですぅ! そして弾丸はマッスルジュエルに弾かれて、床に落ちたのですぅ! マッスルジュエルが、キン肉マンルージュ様を守ったのですぅ!」

 さも当たり前のように語るミーノの説明を聞いて、観客達は疑問を抱く。

“おいおい、悪魔将軍プペが撃ち出したのは、ダイヤモンドの弾丸なんだろう? ダイヤモンドって、一番硬いものだろう?”

“ダイヤモンドなんかで撃たれたら、マッスルジュエルが砕けちゃうよ?”

 ミーノは自身ありげに、ふふんと笑んだ。

「ところが大丈夫なのですぅ! マッスルジュエルは硬度10のダイヤモンドよりも、遥か硬いのですぅ! マッスルジュエルの硬度は、現代の科学では測定不能なのですぅ。ですが、耐久テストによって、ダイヤモンドを凌ぐほどに硬い物質で出来ていることが、明らかにされているのですぅ!」

 会場中がどよめいている。現代科学では測定不能なほどの硬度を持つマッスルジュエルに、観客達は驚きを隠せない。

「キン肉マンルージュ様、マッスルジュエルに向かって“マッスルプロテクション”と唱えてくださいですぅ」

 キン肉マンルージュは大きく頷き、胸に飾られているマッスルジュエルに向かって、言い放つ。

「マッスルぅぅぅぅぅぅぅ」

 キン肉マンルージュは胸の前で腕をクロスさせて、身を縮める。

「プロテクショーーーーーン!」

 キン肉マンルージュはクロスさせていた腕を、一気に開く。薄い胸を思いきり張り、両腕を目いっぱいに開く。

“ぱあああぁぁぁッ”

 キン肉マンルージュの声に呼応するように、マッスルジュエルは光り輝く。そして、マッスルジュエルはピンク色の光に包まれる。
 マッスルジュエルは大きくなり、形を変えていく。

“ぱあぁん”

 マッスルジュエルを包んでいた光は、ぱぁっと弾けた。そして、キン肉マンルージュの胸には、赤色の強いピンク色に輝く、胸当てが着けられていた。

「マッスルジュエルは、武具、防具、その他の道具に、変化させることが可能なのですぅ」

 ミーノの言葉を聞いて、キン肉マンルージュは頬を膨らませる。

「えーッ! ちょっと! そうならそうと、もっと早く言ってよ! 最初っから、マッスルジュエルを変化させて使えばよかったじゃない!」

「えーと、それは無理だったのですぅ。マッスルジュエルの変化は、適合者様の力の大きさに合わせて、変化の度合いが違ってくるのですぅ」

「わたしの力に合わせて……それってつまり、未熟なわたしには、マッスルジュエルを変化させられないってこと?」

「少なくとも、グレート・ザ・屍豪鬼と戦っていたキン肉マンルージュ様には、マッスルジュエルを変化させられなかったのですぅ。でも、今のキン肉マンルージュ様になら、変化させることができる、そう思ったのですぅ」

 悪魔将軍プペは手を銃の形に握り、話し込んでいるキン肉マンルージュに銃口を向ける。

「ずきゅーん!」

 子供が鉄砲の真似をするような声で、悪魔将軍プペが言い放つ。同時に、悪魔将軍プペの指先から、ダイヤモンドの銃弾が発射された。

“ぴしゅん”

 銃弾はキン肉マンルージュの頬の、すぐ横を通り抜けていった。

「プペ? よくよけたな、おまえー。でも、これはよけられるかなー?」

 悪魔将軍プペは身体を揺らして笑い上げ、銃をキン肉マンルージュに向ける。

「ずきゅーん! ずきゅーん! ずきゅーん!」

 悪魔将軍はダイヤモンドマグナムを連発する。目で捉えるのが不可能なほどの速さで、銃弾はキン肉マンルージュに襲い掛かる。

“すすッ”

 キン肉マンルージュは、ほんの少しだけ身体を揺らした。
 そして銃弾は、キン肉マンルージュの身体すれすれのところを通り抜けていく。

「プペプペ? あれー? ……こ、これならどうだー!」

 悪魔将軍プペは少しイラつた様子で、ダイヤモンドマグナム連射する。

「ずきゅーん! ずきゅーん! ずきゅんずきゅんずきゅーん! ずきゅきゅきゅきゅーん!」

 キン肉マンルージュは悪魔将軍プペと正対しながら、悪魔将軍プペを真っ直ぐに見つめている。そして一歩、二歩と、ステップを踏み、ゆらり、ゆらりと、身体を揺する。
 悪魔将軍プペが放った銃弾は、全てキン肉マンルージュの横を通り抜けていく。

「プペーッ! なんだよ、もう! なんで、あたんないんだよー! おまえ、うごくなよー! ちっきしょー! はらたつー!」

 悪魔将軍プペは、ぶんぶんと腕を振りまわしながら、ずだん、どしんと、地団駄を踏む。

「おおおっとお! これはどうしたことかあ! 悪魔将軍プペ選手が放つダイヤモンドの銃弾が、全てかわされてしまったあ! そしてキン肉マンルージュ選手! あれだけの至近距離からの銃撃を、全て紙一重で避けきっているう! すごい! すごい! すごおおおぉぉぉい!」

 マリは静かに口を開く。

「グレート・ザ・屍豪鬼との試合と、同じね」

「はいですぅ。あれはラーメンマン様の体裁きですぅ。相手の技の発動を先読みして、確実に避けてしまう超高等技術ですぅ。ですので、いくら超高速で攻撃されても、全て避けることができるのですぅ」

 そうとは知らずに、悪魔将軍プペはダイヤモンドの銃弾を撃ち続ける。

「ずきゅーん! ずきゅきゅーん! ずきゅきゅきゅずきゅずきゅずっきゅきゅきゅーーーんッ!」

 しかしキン肉マンルージュは、最小限の動きで全ての銃撃を避けてしまう。

「プペペーッ! んもう! あたるキがしないー! ぜーんぜんしなーい! ちきしょー! もういい! もういいもーんだ!」

 悪魔将軍プペはぷりぷりと怒りながら、キン肉マンルージュを指差す。

「もうおこった! これなら、どーだあ!」

 悪魔将軍プペは全身に力を込めて、思いきり踏ん張る。すると、悪魔将軍プペの身体はギラギラと輝きだし、だらだらと汗をかき始めた。

「たくさん、たーくさん、ダイヤモンドをつくっちゃうもんねーだ!」

 ギラついた輝きを放つダイヤモンドの汗は、悪魔将軍プペの身体上を移動し、両腕に集まっていく。

「プペプペプペプペプペッ! これだけあれば、ぜーったいに、よけられないよーだ!」

 悪魔将軍プペは両手を握り合わせ、両腕を伸ばす。そして握った手を、キン肉マンルージュに向ける。

“ぞっくううぅッ”

 キン肉マンルージュとミーノの背中に、冷たすぎる悪寒が走り抜ける。

「キ、キン肉マンルージュ様! 気をつけてなのですぅ!」

 ミーノがしゃべり終える前に、キン肉マンルージュは悪魔将軍プペに向かって、走り出していた。

「恐い……怖い……すっごく嫌な感じ……でも、だからこそ……だよ……」

 キン肉マンルージュは呟きながら、悪魔将軍プペに飛びつく。

「プペプペプペプペプペッ! わざわざジブンから、ちかづいてくるなんて、とんだおバカさんだねー。どーしよーもないバカー」

 突っ込んでくるキン肉マンルージュに向けて、悪魔将軍プペは握った手で、狙いを定める。

「ズドゴーン!」

 悪魔将軍プペは言い放つと、大量のダイヤモンドの銃弾を、一気に発射させた。
 まるで散弾銃のように発射されたダイヤモンドの銃弾が、キン肉マンルージュめがけて飛んでいく。

“ずがががががあああぁぁぁんッ!”

 ダイヤモンドの銃弾は、ひとつ残らず、全て、キン肉マンルージュの胸に被弾した。

「きゃあああああッ!」

 銃弾のあまりの激しい勢いに、キン肉マンルージュは吹き飛ばされてしまう。

“ずがしゃあ!”

 キン肉マンルージュの身体は、自陣のコーナーポストに激突してしまう。そして、ばたりと、キン肉マンルージュはキャンバス上に沈んだ。
 
 

 
後書き
※メインサイト(サイト名:美少女超人キン肉マンルージュ)、他サイト(Arcadia他)でも連載中です。 
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