夢幻水滸伝
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第三百六話 二重三重と敷いたものをその十二
「やっぱり」
「そや、軍を指揮しながらな」
「戦うっすね」
「そうしてもらうで」
「わかったっす」
是非にとだ、セリューも答えた。
「戦って来るっす」
「よろしゅうな、ほな総攻撃や」
こう言ってメルヴィル自身もだった。
グリフォンの背に乗り空から術それに神具を使って攻撃を仕掛けた、彼の一撃で部隊単位で敵軍が吹き飛ばされ。
戦局は一気にメルヴィル達に傾いた、それは今のギンズバーグが率いる防衛ラインだけでなくその次の防衛ラインにも攻撃が及び。
ギンズバーグは深刻な顔でだ、全軍に言った。
「もうあかん、一気にや」
「はい、後方に用意した防衛ラインも攻撃されています」
「そうなっています」
「それではですね」
「そちらの防衛ラインもですね」
「放棄してな」
そしてというのだ。
「もう一気にや」
「防衛ラインを下げる」
「そうしますね」
「これより」
「そうする、やっぱりメルヴィルさんは強いな」
このことを実感して言うのだった。
「ほんまな」
「左様ですね」
「確かなお強さです」
「あの方以外の星の方もおられます」
「それで、ですね」
「尋常やなく強いからな」
だからだというのだ。
「ここはな」
「はい、退きますね」
「かなり後ろに」
「そうしますね」
「そうするで」
こう言ってだった。
ギンズバーグは自分が率いる軍勢を思い切って州境からレキシントンまで下げた、そこに残った軍勢を集結させることにしたが。
「十万か」
「はい、それだけです」
「ここまで来られた軍は」
「それだけです」
「三分の一が失われたか」
彼は報を聞き軍の規模を見て歯噛みした。
「随分やられたな」
「はい、全く以て」
「かなりやられました」
「三分の一とは」
「これは深刻です」
「負傷者は手当てして戦死者は蘇らせることが出来ても」
それでもとだ、ギンズバーグは言った。
「けれどな」
「それでもですね」
「やはり時間がかかりますし」
「力も使います」
「特に蘇らせるとなると」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「厄介なことになったわ、しかしな」
「何とかですね」
「戦力を立て直しますね」
「このレキシントンで」
「そうするで、そしてな」
そのうえでというのだ。
「捕虜になった将兵以外の戦力をな」
「取り戻し」
「少しでも数を整えますね」
「そうしますね」
「そうするで、そしてな」
そのうえでというのだった。
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