夢幻水滸伝
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第三百六話 二重三重と敷いたものをその一
第三百六話 二重三重と敷いたものを
ギンズバーグはその報を聞いて苦い顔で言った。
「予想してたけどな」
「それでもですね」
「厄介なことになったな」
報を届けた若い狐人の士官に述べた。
「ほんまな」
「前線の航空戦力を失って」
「ああ、制空権を奪われたな」
「そうなりました」
「しかしな」
それでもとだ、ギンズバーグは士官に話した。
「残念やが今言った通りや」
「予想はされていましたね」
「そやからな」
それ故にというのだ。
「こっちも対空砲や高射砲を用意しておいた」
「それも多く」
「ああ、それでや」
「敵の航空戦力を迎え撃ちますね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「対するで」
「わかりました」
「そしてや」
ギンズバーグはさらに言った。
「もうすぐ敵の陸軍が来る」
「メルヴィル様達が率いられるですね」
「ああ、そうしてくるで」
「やはりそうなりますか」
「そう来ることも予想していたさかいな」
それでというのだ。
「鉄条網に塹壕、トーチカでな」
「二重三重にですね」
「守りを固めてる、そこに対空陣地もあるからな」
今話したそれがというのだ。
「そうはな」
「破られないですね」
「ああ、そもそも破られへん為の防衛ラインやからな」
それでというのだ。
「そう簡単にはな」
「破られないですね」
「それで敵を消耗させる」
攻めて来る彼等をというのだ。
「そのうえで機会を見てな」
「反撃に移りますね」
「そうする、これはルイスさんとルイーザちゃんと話してな」
五大湖の他の星の者達と、というのだ。
「そしてや」
「決めたことでしたね」
「防衛ラインで敵を抑えてな」
「消耗を敷いて」
「機会を見てな」
そのうえでというのだ。
「攻勢に転じる」
「そうしますね」
「そや、それでや」
その為にというのだ。
「ここはな」
「守りますね」
「そうするで」
こう言うのだった。
「ええな」
「わかりました、それでは」
「これから敵軍が来る」
ギンズバーグは真剣な顔で述べた。
「それをな」
「凌ぎますね」
「そうするで」
こう言ってだった。
ギンズバーグは自ら前線に立ってそのうえで敵を迎え撃とうとした、航空戦力を失っても諦めていなかった。
その防衛ラインは強固だった、だが。
メルヴィルは空から防衛ラインを見てだ、貝殻でジェーンに言った。
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