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X ーthe another storyー

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第二十二話 姉妹その四

「優しい人でね」
「優しい」
「ええ、誰よりもね」
「そうなの」
「そうした人だから」
「こちらにも来ないのね」
「来なければならないとわかっていてもね」
 自分ではというのだ。
「どうしてもね」
「来ないのね」
「けれど必ずね」
「来るのね」
「地の龍だからね」 
 その一人だからだというのだ。
「彼もね」
「そうなのね。なら」
「ええ、私達もね」
「必ず揃うのね」
「七人全員ね」
「では待ちます」
 哪吒はそれならと答えた。
「僕は」
「あと少しよ」
「それでは」
「そしてね」 
 庚は微笑んだまま話した。
「今は待つことよ」
「落ち着いてですか」
「そう、騒がないでね」
 そのうえでというのだ。
「そうしてね」
「そうします」
「それも戦いのうちだから」
「動かざること山の如く」
 颯姫はこう言った。
「そういうことね」
「そう、動くべきでない時もあってね」
「それが今ね」
「相手の動きを見て」
 そうしてというのだ。
「こちらはね」
「動かない」
「逆に言うと迂闊に動くと」
 そうすればというのだ。
「そこからね」
「崩れるわ」
「そうなるから」
「今は残る三人が来るのを待って」
「そしてね」 
「相手、天の龍の動きを見るのね」
「あちらにもう一振りの剣が来て」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「神威が選択を行う」
「そうしたらこちらにもう一人の神威が来るから」
 そうなるからだというのだ。
「すると残りの二人も必ず来るから」
「それからよね」
「私達が動くのはね」
「そうよ、では今は見ましょう。ただ」
 ここまで話してだった。
 庚は眉を曇らせ嫌悪の色を見せた。そのうえで哪吒と颯姫に話した。
「どうしても避けられない犠牲は。避けられなくてもね」
「嫌ですか」
「そうなの」
「ええ、私としてもね」
 こう言うのだった。
「そう思っているわ」
「そうかしら。犠牲も必要よ」 
 颯姫は何でもないといういつもの無表情で応えた。
「むしろ私達は人間を滅ぼすから」
「犠牲が幾ら出てもなのね」
「何か残念に思う必要があるかしら」
 こう言うのだった。 
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