夢幻水滸伝
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第三百話 優しい地獄の番犬その八
「それと勢力拡大もっすね」
「はい、州の西の端はもうです」
「全て掌握しました」
「それならです」
「州の統一を目指すならです」
「それならですね」
「東に進むっす」
セリューは言い切った。
「そうするっす」
「わかりました」
「それではお願いします」
「政を行うと共に」
「そうして下さい」
「そうもしていくっすよ」
こう言ってだった。
セリューは実際に内政を行いかつそのうえで勢力を東に拡大していった、そうしてそのうえでだった。
ここでだ、こうも言ったのだった。
「いや、戦を覚悟しているっすが」
「然程多くないと」
「予想よりも」
ケルベロスに現状を確認しつつ話した。
「そうなっているっすよ」
「そうですか」
「私としては」
「降らない街や村が多いとですね」
「そうそうないと思っていたっす」
こうケルベロスに話した、今は喫茶店で一緒にパフェを食べている、ケルベロスのパフェの容器は下にあり大きなバケツがそれである。
「実は」
「そうでしたか」
「賊もっす」
山賊やギャング、マフィア達の話もした。
「そうはっす」
「使者を送ってもですね」
「降らないと思っていたっす」
「そうでしたか」
「それがっす」
それでもとだ、セリューはパフェの苺を食べつつ話した。
「自分達から降る街や村も出てっす」
「そしてですね」
「使者を送れば」
「それで降る街や村も多くて」
「意外に思っているっす」
パフェを実に美味しそうに食べているケルベロスに話した。
「まことに」
「そうですか、しかしです」
「それはっすね」
「はい、セリュー様ですから」
「私が星の者で」
「かつご自身の名声もです」
これもというのだ。
「備わってきているので」
「それでっすか」
「はい、今ではです」
まさにというのだ。
「信頼もです」
「出来ているので」
「そうなっています」
「使者を送れば降ってくれるっすか」
「そうなってきています」
「そういうことっすか」
「確かに戦で敗れないとです」
さもないと、というのだ。
「降らない街や村もありますが」
「この世界何処か拳を通じてわかり合うという考えがあるっすね」
「はい、そうです」
ケルベロスはその通りだと答えた。
「実際に」
「やっぱりそうっすか」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
「そうした街や村もありますがある程度暗黙の了解で」
不文律でというのだ、法や教えで明文化されておらずともその場所の規律の範疇として言わずとも定められているというものである。
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