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夢幻水滸伝

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第二百九十四話 フィラデルフィアのアサシンその二

「何も出来んな」
「命がないことと同じですね」
「まさにな」
「この世界でもそのことは同じなので」
「貨幣経済はちゃんと機能してるか」
「コインも紙幣もあります」
 その両方がというのだ。
「だからです」
「お金は安心して手に入れてやな」
「必要な時にお使い下さい」
「そうするな、お金は好きや」  
 エミリーは笑ってだった、首に応えて話した。
「多ければ多い程な」
「ああ、ご主人様はそうした方ですか」
「働いてお金を儲けてな」
 首に笑ったまま話した。
「貯めてな」
「必要な時に使う」
「そうしたことがな」
「お好きですね」
「ただ質素な味気のない生活が好きか」
 所謂ピューリタン的なそれはというのだ、エミリーもアメリカ人なのでそのピューリタン達によるアメリカへの入植は知っている。ピルグリム=ファーザーズである。
「そうでもない」
「贅沢はお好きですか」
「やっぱりええお家に住んで」
 そしてというのだ。
「ええ家具に囲まれて」
「美味しいものもですか」
「飲んで食べてな」 
 その様にしてというのだ。
「暮らしたいわ、ただギャンブルとかはな」
「されませんか」
「散財は好きやない」 
 それはというのだ。
「服も好きやが必要なだけな」
「揃えて」
「それで終わりやな」
 金を使うことはというのだ。
「私は」
「そうなのですか」
「ほんまな」
 それこそというのだ。
「それ位や」
「贅沢についても」
「際限なく贅沢する人もおるな」
「世の中にはですね」
「そんな風やないな」
「ご主人様は」
「そやからな」 
 だからだというのだ。
「お金は欲しいが」
「際限はありますか」
「そや、それでな」
「これからですね」
「ほんま何はともあれお金がないとな」 
 さもないと、とだ。エミリーは首に話した。
「どうにもならん、ほなな」
「これよりですね」
「この街の冒険者ギルドの受付に行って」
「冒険者として登録して」
「それからな」
「お金を稼ぎますね」
「そうするで」
 こう言ってだった。
 エミリーは人から道を聞きながらフィラデルフィアの冒険者ギルドに行ってそのうえでそこの受付でだった。
 猫人の若い女の受付嬢に冒険者登録を申請したが。
 受付嬢は彼女のステータスを見て仰天して言った。
「貴女何者ですか!?」
「実はな」
 ここでだ、エミリーは受付嬢に口に手を添えてだった。
 そのうえで自分のことをこっそりと教え右目を瞑って話した。
「今は内緒やで」
「そうですか」
「後々素性明かして動くかも知れんけど」
 それでもというのだ。 
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