夢幻水滸伝
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第二百九十三話 リンチバーグの野戦その八
「その間にな」
「はい、陣形を立て直し」
「そうしてですね」
「あらためて迎え撃ちますね」
「そうする、ええな」
こう言ってエミリーの援護を待つ、事実エミリーもその様に動いていた。
だがそれを見てだった、メルヴィルは言った。
「三万、機動力のある部隊を割いてや」
「そうしてですか」
「敵の後方に回るんや」
こうグリフォンに話した。
「ここは」
「そうしてですね」
「包囲してな」
そうしてというのだ。
「戦を詰ませるんや」
「そうしますか」
「ここで包囲したらな」
メルヴィルはグリフォンに強い声で話した。
「もうな」
「完全にですね」
「勝負は決まる」
「もう敵軍に打つ手はなくなりますね」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「ここはな」
「三万の機動力のある軍をですか」
「敵の後方に急行させてな」
「完全に囲みますね」
「そうする、ええな」
「そうですか、では」
「機械化部隊を三個師団や」
具体的な部隊の話もした。
「それを動かすで」
「わかりました」
グリフォンも頷いた、そしてだった。
メルヴィルは即座に機械化師団を三個予備戦力から引き抜いてだった。
自ら率いて敵軍の後方に向かわせた、それに気付かないエミリーとホーソーンではなかったがそれでもだった。
「あかん、兵は向けられん」
「戦線は崩壊一歩手前や」
二人共苦い顔で貝殻で話した。
「何ともならんな」
「ああ、今で手一杯や」
「軍勢もわい等も」
「ここはもうな」
エミリーは苦い顔で言った。
「ほんまな」
「動くのを見てるしかないな」
「ここで戦いながら」
「予備戦力もない」
「街から出す戦力もな」
これもというのだ。
「全部こっちに持って来た」
「もう空城上等でやってた」
そうして戦っていたとのだ、二人共。
「それでやったから」
「もう予備戦力もない」
「これはどうにもならん」
「メルヴィルさんもそれを読んで動かしてきた」
「やっぱり六将星のお一人や」
「戦は二歩も三歩も上なんか」
その機械化部隊の動きを陸上から見つつだった。
二人は歯噛みするしかなかった、そして。
三個師団を敵の後方に移動させてだ、メルヴィルは包囲の輪の中に置いた敵軍に告げた。
「これでもまだやるか」
「降伏か死かですか」
「そや、どっちや」
こうエミリーに告げた。
「一体」
「一体も何もないです」
エミリーは目は死んではいなかった、だが全身泥と傷だらけになり服も汚れた状況で右手にフラガラッハを持ちつつ言った。
「もうこなったらしゃあないです」
「わいもです」
ホーソーンも言った、やはり目は死んでいないが満身創痍という感じであった。他の将兵達は苦戦に包囲されたことで最早体力だけでなく気力も限界という様子になっている。
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