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夢幻水滸伝

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第二百九十三話 リンチバーグの野戦その七

 ホーソーンはエミリーの援護を受けてそのうえでだった。
 碧が指揮する正面の軍勢を攻めていった、果敢なそれは碧の勇猛な采配を以てしても互角といったものであった。
 両軍はメルヴィル達の軍勢が数と装備で勝る状況でも戦局は互角であった、その状況が暫く続いたが。
 メルヴィルは航空隊の指揮を執りながら戦局を見ていた、そして。
 敵軍に疲れが見えて微かに動きが鈍った、それを見た瞬間にだった。
 その目が光った、彼は即座に十五万の予備戦力即ち後詰に命じた。
「今や」
「攻撃に参加するのですね」
「そうや」
 後詰を指揮する鬼の将軍に告げた。
「碧ちゃんの軍勢と合流してな」
「そのうえで、ですね」
「そや、攻めてもらうで」
「わかりました、では」
「即座にな」
 まさにと言うのだった。
「動くんや」
「その様に」
 将軍も即答で応えた。
「そうさせて頂きます」
「わしも攻める、ここでな」
「決めますね」
「ああ、全戦力を以て攻めて」
 そうしてというのだ。
「全てな」
「決めますね」
「そうするで、ええな」
「これより」
 将軍は貝殻越しに答えた、そうしてだった。
 後詰が動いた、十五万の軍勢が来ると碧は即座に彼等に命じた。
「攻勢じゃ、ええのう」
「わかりました、ではです」
「砲兵隊は砲撃に移ります」
「戦車隊と装甲車隊は前に出ます」
「歩兵隊もそれに続きます」
「わらわに続くんじゃ」
 目を燃え上がらせての言葉だった。
「ええのう」
「承知しました」
「ではです」
「国木田様に続きます」
「そのうえで戦います」
「時が来たんじゃ」 
 碧はこうも言った。
「メルヴィル君も動いちょる、ならじゃ」
「ご主人もですね」
 因幡の白兎が出て来て応えた。
「ここで、ですね」
「そうするんじゃ、こんなもな」
「術を使って」
「一緒に戦うんじゃ」
「承知しています、これまでは迎撃でしたが」
 それでもと言うのだった。
「これよりはですね」
「攻撃じゃ、やるけえ」
 兎に好戦的な調子で応えてだった。
 碧は自ら陣頭に立ち後詰だった戦力も加えたうえで攻撃に出た、すると。
 怒涛の如き砲撃とだった。
 一斉に突撃する戦車と装甲車、それに加えて。
 術や銃の攻撃が来た、これに疲れが出だしていたホーソーンの軍勢は一気にだった。 
 崩れた、ホーソーンはそれを見て陣形を立て直そうとするが。
「だ、駄目です!」
「敵の数が違います!」
「一気に増えての攻撃です」
「これは抑えられません」
「くっ、これはあかん」
 メルヴィルも歯噛みして将兵達に応えた。
「敵の勢いがちゃう、ここはな」
「エミリー様ですね」
「あの方の援護ですね」
「それを受けて」
「敵の勢いを抑えて」
 そうしてというのだ。 
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