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夢幻水滸伝

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第二百九十話 血脈の様に流れてその十二

「仲間になってもらうで」
「そうですか」
「どうする?ここは」
「まだです、メアリーちゃんも頑張ってるし」
 それでというのだ。
「まだです」
「降らんか」
「捕まらん限り、そして」
「捕まる気もないな」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうします」
「そうか」
「もうこれ以上戦ってもあきませんか」
 苦い顔でだ、ホーソーンは言った。
「それはそうと」
「一騎打ちの間も戦局は確認してるな」
「はい」 
 そうだというのだ。
「おおよそにしても」
「それも将やと必要や」
「如何なる時も戦局は把握する」
「それが出来てるか、尚更や」
「仲間にですか」
「欲しいわ」
「そうですか、ですがわいはまだ戦います」
 目は死んでいなかった、むしろ燃え上がっていた。
「今は劣勢でも」
「巻き返すか」
「そうしますし」
「そうか、ほなな」
「今日はこれで」
 こう言ってだった。
 ホーソーンはメルヴィルに大津波を放った、メルヴィルはそれは何でもないといった風にかわしたがその間にだった。
 ホーソーンは退いていた、そして軍勢のところに戻って告げた。
「これ以上は無理や、撤退するで」
「そうしますか」
「ここは」
「そや、そうしてや」
 そのうえでというのだ。
「また戦うで」
「わかりました、では」
「ここはですね」
「アナポリスから退出しますね」
「民にはもうメルヴィルさん達に従う様に言っておいてくれ」
 彼等のことにも言及した。
「無抵抗でや」
「メルヴィル様達の下に入り」
「その統治を受け入れる」
「そうすべきですね」
「そや、それでリッチモンドにまで下がってな」
 そうしてというのだ。
「そこで戦うで」
「わかりました」
「ほなです」
「ここは退きましょう」
「リッチモンドまで」
「ワシントンといきたいが」
 この街のこともだ、ホーソーンは話した。
「あそこを守れるだけの戦力がや」
「今はないですね」
「この辺りには」
「ワシントンの守りも弱いですし」
「そやからな」 
 その為にというのだ。
「一旦や」
「リッチモンドに撤退し」
「そうしてですね」
「あの街で、ですね」
「戦力を立て直してな」
 そうしてというのだ。
「決戦を挑むで」
「わかりました」
「ではそうしましょう」
「今は」
「ああ、ただあそこで負けたらな」
 リッチモンドでとだ、ホーソーンは苦い顔で話した。
「もうな」
「そうなるとですね」
「最早ですね」
「我等に後はないですね」
「そや」
 まさにと言うのだった。
「そやからリッチモンドではな」
「後がない」
「背水の陣で挑みますか」
「そうされますか」
「そうするで、ほなジェーンちゃんにも注意しつつな」
 メルヴィルだけでなくというのだ。
「撤退や」
「わかりました」
「ではです」
「今は撤退しましょう」 
 将兵達も頷いてだった。
 ホーソーンはアナポリスから撤退した、多くの将兵を失ったが何とか街から退くことが出来た。そして鉄道や車を最大限用いリッチモンドより撤退した。
 アナポリスはメルヴィル達の手に落ちた、彼等はまた勝利を得た。今はそのことを喜び杯を掲げたのだった。


第二百九十話   完


                   2023・1・15 
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