夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百九十話 血脈の様に流れてその八
「わいがあっちに行くことはな」
「出来ませんね」
「全体の采配があるので」
「だからですね」
「あそこにメルヴィルさんがおる」
海に展開している敵艦隊を見て言った。
「そしてや」
「全体の采配を執っておられます」
「あの方がおられる限り」
「ジェーン様だけにはですね」
「あたっていられん」
とてもというのだ。
「そやからな」
「今はですね」
「ここから離れられませんね」
「どうしても」
「ああ、しかし水での戦はバイキングの本領でな」
それでとだ、ホーソーンは意地を込めて言った。
「街での戦いもや」
「よく行いますね」
「攻城戦も海や川から行います」
「それがバイキングなので」
「攻める方が多いが守ることもな」
逆にというのだ。
「やる、そやからな」
「ここはですね」
「戦い抜かれますね」
「何としても」
「ここを陥とされるとやばい」
ホーソーンは戦略上の観点からこの言葉を出した。
「どうしてもな」
「そうですね」
「既にペンシルバニア州を奪われていますし」
「それで制海権も掌握されていてです」
「アナポリスまでとなりますと」
「ほんまにな」
まさにというのだ。
「やばい」
「左様ですね」
「では何としてもですね」
「ここはですね」
「守るで」
こう言うのだった。
「ええな」
「わかりました」
「ここで負ければ我が軍はさらに劣勢に陥ります」
「最早後がないまでに」
「そうなりますので」
「そや、意地を見せて戦うで」
ホーソーンは自ら言ってだった。
トライデントを手に自ら城壁に立ち指揮を執りつつ戦っていた。
メルヴィルはニュージャージーの艦橋から指揮を執っていたが貝殻で海兵隊を率いるジェーンに言った。
「あまり攻めきれてへんな」
「はい、敵の守りが固くて」
ジェーンはすぐに答えた。
「どうも」
「そやな、こっちもな」
「艦砲射撃を行ってもですね」
「城壁も術も堅固でな」
「思う様に攻めきれてへんですね」
「そや」
ジェーンに正直に答えた。
「どうもな」
「お互いそうですね」
「これはな」
難しい顔で言うのだった。
「攻め方変えるか」
「そうしますか」
「ああ、完全に囲んでな」
アナポリスをというのだ。
「攻めたいが」
「それだけの兵力がないですね」
「こっちはな」
「そうですね」
「空からも攻めてるが」
メルヴィルは今度はそちらの話をした。
ページ上へ戻る