夢幻水滸伝
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第二百八十八話 チェサビーク湾入りその十一
「警戒は怠らんことじゃ、陸の偵察もしっかりとじゃ」
「あの、先輩って」
雅美は碧のその話を聞いて言った。
「勇猛果敢であって」
「慎重さもじゃな」
「これまでもそうでしたが」
今回もというのだ。
「偵察に力入れますね」
「それと情報収集にじゃな」
「はい、相手の」
「当たり前じゃ、相手を知らんでじゃ」
それでとだ、碧は雅美に当然という顔で答えた。
「どうして戦うんじゃ」
「まずは敵を知り、ですか」
「そうじゃ」
その通りだというのだ。
「そのうえでじゃ」
「戦うことですか」
「何も知らんで何が出来る」
それこそというのだ。
「法律やルール知らんで世の中生きていけんのう」
「そうですね」
紗枝はその通りだと答えた。
「言われてみれば」
「それでじゃ、わらわもじゃ」
「そうしたことにもですか」
「力を入れておるんじゃ」
「そうなんですね」
「結婚しても婿殿の好みを知れば」
こうも言うのだった。
「食事も楽しんでもらえるのう」
「はい、確かに」
その通りだとだ、紗枝も頷いて答えた。
「そうですね」
「それでじゃ」
「先輩もですか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「だからよくじゃ」
「相手を調べますか」
「その動きも見るんじゃ」
「そういうことですね」
「野球でも猛練習とな」
「ああ、カープ伝統の」
「そうじゃ、それとじゃ」
尚碧は広島ファンである、これは出身が広島だからであり地の星の山本と井伏を従えてよく応援をしている。
「相手チームを知ればじゃ」
「勝てますね」
「そうじゃ、古葉さんもそうされてたけえ」
広島黄金時代の名将である彼もというのだ。
「シリーズでもな」
「近鉄や阪急とのですね」
「相手の主砲を徹底研究してじゃ」
近鉄のマニエル、阪急のブーマーをというのだ。
「守備が悪かったらそっちに集中的に打球を向かわせる」
「守備も大事ですからね」
「それで打てん球を投げる」
相手の弱点を研究して見極めてだ。
「そうしてじゃ」
「抑えたんですね」
「そうじゃ、それでわらわもじゃ」
「そういうことですか」
「だから陸も空もじゃ」
その両方でというのだ。
「偵察はしっかりじゃ、あと婿殿にはのう」
「あの、まさか」
瑠璃子は碧がここでまたにまあ、と笑いその口元に涎を出したのを見て好色な話かと思って尋ねた。
「夜の」
「そうじゃ、婿殿の性癖や感じるところも調べて」
「やっぱりそっちですか」
「楽しませるのじゃ、わらわはサドもマゾもいけるけえ」
「どっちもですか」
「縛るのも縛られるのも好きでじゃ」
そうした話をにまあ、と笑ってするのだった。
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