夢幻水滸伝
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第二百八十七話 二つの切り札その十
「海は勝った、次はな」
「運河地帯ですね」
「攻めるで、しかしな」
「はい、ホーソーンさんはです」
ジェーンはメルヴィルにすぐに話した。
「もうです」
「運河地帯に入ってるな」
「はい」
そうだというのだ。
「そして指揮にです」
「あたろうとしてるな」
「左様です」
「そやな、それやとな」
「そう簡単にはですね」
「攻められる、陸と空からだけやなくな」
それに加えてというのだ。
「海からも攻めるが」
「それでもですね」
「敵の守りは堅い」
その敵陣を見ての言葉だ。
「将兵だけやなくてトーチカや塹壕、鉄条網や大砲もな」
「巧みに配置していますね」
「対空機銃とかもな、しかもな」
さらにというのだ。
「運河地帯を船や泳ぎの達者な将兵を用いて戦う」
「そうするとですね」
「尚更や、機雷も置いてるやろしな」
「そう簡単にはですね」
「突破出来ん」
そうだというのだ。
「そこに地上にや」
「地雷ですね」
「運河の中には機雷で」
「そちらも設置していますね」
「そや、しかも敵はな」
彼等はというと。
「機雷や地雷の配置をや」
「知っていますね」
「既に」
「だから入ることはありませんね」
「最初から」
「そや、しかしな」
ここでだ、笑ってだった。メルヴィルは将兵達に話した。
「そこでわかるやろ」
「わかる?」
「わかるといいますと」
「何がでしょうか」
「地雷や機雷のある場所に敵がおらん」
こう言うのだった。
「そしてない場所におる」
「あっ、そういうことですか」
「陣地の特徴ですね」
「それは」
「誰も地雷原の中に布陣せんわ」
踏むと爆発する兵器達の中にはというのだ。
「そやろ」
「はい、確かに」
「それはですね」
「誰もしませんね」
「流石に」
「死んでもええ連中に地雷原を突っ込ませることをする話はある」
二次大戦のソ連軍等である、この軍隊は懲罰大隊という何かしらの理由で配置された部隊に危険な任務を与え地雷原に突っ込ませる様なこともさせていたのだ。
「本末転倒やがな」
「地雷原突破で損害を出すなら」
「それならですね」
「最早意味がないですね」
「敵の戦線突破は出来るが」
それでもというのだ。
「それで損害出るんやったらな」
「流石にですね」
「意味はないですね」
「そうですと」
「まあこっちの世界でもエカチェリーナちゃんやタゴールはやってるがな」
彼等はというのだ。
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