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夢幻水滸伝

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第二百八十七話 二つの切り札その九

 撤退は迅速でメルヴィルの艦隊から水雷攻撃を受けるより前に戦場を離脱出来た。航空機にはは弾幕で対し潜水艦への警戒も怠らず。
 動けなくなった艦艇の乗員や海に放り出された者も術まで使って救助しそのうえで撤退した。それを見てだった。
 メルヴィルはニュージャージーの艦橋でだ、唸って言った。
「あの撤退の仕方はな」
「見事ですね」
「流石と言うべきか」
「隙がありません」
「勝ったがな」
 自分達はとだ、メルヴィルは自軍の将兵達に述べた。
「しかしな」
「それでもですね」
「見事な戦いぶりでしたね」
「撤退にしても」
「守りもな、二つの切り札を使ったが」
 空母の艦載機と潜水艦をというのだ。
「思ったよりもな」
「損害を与えられなかった」
「対空防御は確かでしたし」
「艦隊の布陣も的確でしたし」
「そのせいで潜水艦の攻撃もな」
 海中からのそれもというのだ。
「思ったよりもやったしな」
「ダメージを与えられず」
「続けての攻撃も難しかったですね」
「残念ながら」
「ああ、やっぱり強いわ」
 ホーソーン、彼をというのだ。
「ほんまにな、そやからな」
「次の戦でもですね」
「その時においてもですね」
「油断せずにですね」
「戦っていきますね」
「運河地帯での戦いでもな」
 そうすると言ってだ、そしてだった。
 メルヴィルは敵艦隊がいた場所に艦艇をやりホーソーンが救助しそびれた者達がいないか確認した、だが。
 それこそ鼠一匹おらずだ、あらためて言った。
「あいつも仲間になったらな」
「その時はですね」
「頼りになるお仲間になりますね」
「そうなるわ」
 メルヴィルは強い声で述べた。
「ほんまな、それはエミリーちゃんも同じや」
「あの方の戦ぶりも素晴らしいそうですね」
「国木田様が言われるには」
「そうなのですね」
「そやからな」 
 このことを聞いているからだというのだ。
「絶対にな」
「あの方もですね」
「お仲間にされたいですね」
「戦の後で」
「強い敵は頼れる味方になるからな」
 それ故にというのだ。
「絶対にな」
「この戦が終われば」
「お二人はですか」
「お仲間にですか」
「なってもらうわ、その為にも次や」
 こうも言うのだった。
「ええな」
「はい、それではです」
「次の戦に向かいましょう」
「そうしましょう」
「制海権はそのままにな」
 こう言ってだった。
 メルヴィルは制海権を掌握すると即座に陸軍の方に戻った、そして留守を預かっていたジェーンに言った。 
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