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夢幻水滸伝

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第二百八十七話 二つの切り札その八

「遠距離からのな、それが終わってからだ」
「爆撃ですね」
「敵の戦力を落としてから」
「ロケット弾や魚雷での攻撃から」
「そうする、いいな」
 指揮官はここまで言うとだった。
 自ら敵の巡洋艦の一隻に向けてロケット弾自分が乗る機体の両翼にあるそれを放った、ロケット弾な炎を吹き轟音と共に敵に向かい。
 敵の巡洋艦に命中した、命中するとそのポイントが爆発してだった。
 艦艇は火を噴いた忽ち多くの乗員が負傷し彼等の救助と消火活動がはじまる。
 他の艦艇も攻撃を受け魚雷も来た、その状況にだった。
 ホーソーンは歯噛みした、その彼のところにまた報が来た。
「敵艦隊が来ました」
「まずは駆逐艦達が来ています」
「今度は水雷戦やな」 
 何に来たのかだ、ホーソーンはここでも即座に理解した。
「ここは」
「ここで、ですか」
「潜水艦達もまだ隙を伺っています」
「艦載機の攻撃は急降下爆撃に移っています」
「その次にですか」
「それや、今は動けん艦艇もある」
 損害を受けた結果であることは言うまでもない。
「そこで水雷攻撃まで受けるとな」
「まずいですね」
「より一層ダメージを受けます」
「機能不全に陥っている艦艇もあり」
「敵駆逐艦への対応も出来るかどうか」
「それを凌いでもな」 
 ホーソーンはそれでもと言った。
「今度は止めが来るわ」
「砲撃ですね」
「敵の戦艦を中心とした」
「それが来ますね」
「そうなる、もう勝敗は決したとな」 
 その様にというのだ。
「思ってええ、これ以上損害を出さんうちにな」
「撤退ですか」
「そうしますか」
「水雷まで受けたらどれだけ動けん様になるか」
 今の艦隊の状況を見ての言葉だ。
「そやからな」
「それで、ですか」
「もうですか」
「ここは諦め」
「撤退ですか」
「ああ、やっぱりメルヴィルさんは強い」
 このことを実感して言うのだった。
「水の戦には自信があったが」
「流石六将星のお一人」
「そう言うべきでしょうか」
「そこに勢力の国力とボームさんの技術も合わさった」
 メルヴィルの将としての資質だけでなくというのだ。
「完敗や、しかしな」
「それでもですね」
「艦隊戦で敗れてもですね」
「まだ戦えますね」
「ああ、艦隊をアナポリスの港まで撤退させて」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「ペンシルバニア北東の運河地帯で、ですね」
「あちらに敷いた防衛ラインにおいてですね」
「戦いますね」
「バイキングの戦い方をあらためて見せる」
 ホーソーンは強い声で言った。
「ええな」
「はい、それでは」
「あらためてです」
「戦いましょう」
「その為にも今は退くで」 
 こう言ってだった。
 ホーソーンは勝敗は決したと見ると敵から水雷戦を受けるよりも前に自分が率いる艦隊を撤退させた。 
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