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夢幻水滸伝

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第二百八十七話 二つの切り札その五

「空軍はどうしてる」
「はい、あと一時間で到着します」
 貝殻から報告が来た。
「そうなります」
「そうか、ほなな」
 メルヴィルはその報告を聞いてすぐに述べた。
「最初の切り札をや」
「出しますか」
「発進や、そしてな」
 メルヴィルはさらに言った。
「もう一つの切り札もな」
「用いますね」
「そうするで、そしてな」
「そして?」
「空軍には確認して欲しいもんがある」
 こうも言うのだった。
「ここはな」
「ここは?」
「機雷はないか」
「機雷ですか」
「そや、相手が機雷を敷いてるか」 
 このことをというのだ。
「確認してくれるか」
「わかりました、機雷があればですね」
「こっちで対処する、機雷や地雷には気をつける」
 くれぐれもという口調の言葉だった。
「それが戦の常道の一つやろ」
「はい、確かに」 
 報告をする空軍の指揮官の一人も答えた、彼は今は自身の乗機のコクピットからメルヴィルに報告をしている。
「それは」
「そやからな」
「ここはですか」
「ああ、機雷の存在を確認してな」
「報告もですね」
「してくれ」
「それでは」
「そして空軍は主にロケットでや」
 この兵器でというのだ。
「敵艦を攻撃してくれ」
「爆弾ではなくですね」
「ああ、ロケットを装備させたやろ」
「空軍の急降下爆撃は対艦のもんやない」
「地上用のものですね」
「動く的に当てるにはどうもな」
 メルヴィルは苦い顔で述べた、このことは。
「訓練度が足りんてな」
「思われるからですね」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「今回はな」
「ロケットにされましたね」
「ロケットがあってよかったわ」 
 この兵器がというのだ。
「あれやと遠くから放てるし」
「また急降下爆撃と違ってですね」
「ああ、艦艇にも攻撃しやすい」
 命中させやすいというのだ。
「ほんまにな」
「ではそれで」
「攻撃するんや、そしてな」
「切り札もですね」
「ここで一つ切る」
 確かな声での言葉だった。
「そうするわ」
「そうしてですか」
「敵艦隊に大きなダメージを与えるで」
「わかりました」
 指揮官、ホブゴブリンの彼も頷いた。パイロットの服を着て操縦桿を握るその姿が実に様になっている。
「では敵艦隊に接近しましたら」
「頼むで」
「攻撃を開始します」
「そういうことでな、やるで」
 メルヴィルはここで艦隊にも指示を出した、そしてだった。
 艦隊を敵艦隊に進ませた、その一時間後だった。 
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