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夢幻水滸伝

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第二百八十四話 アメリカの北端からその二

「実はこの世界に来てすぐですが」
「それでもですか」
「お腹は空いています」
「では丁度お昼なので」
「だからですか」
「はい、宜しければご一緒しませんか」
「お昼ご飯をですか」
 シスターに尋ねた。
「それをですか」
「はい、如何でしょうか」
「パンとミルクと」
 牧師は昼食のメニューの話をしてきた。
「ほうれん草のスープにソーセージそれに林檎です」
「それをですか」
「如何でしょうか」
「宜しいでしょうか」
「遠慮は無用です」
 牧師は申し訳なさそうに応えたヴォネガットに応えた。
「空腹の方に満腹になって頂くことも」
「神に仕える者の務めですね」
 ヴォネガットはこの世界での自分の職業がビショップ即ち宗教関係者であることからすぐにこのことがわかった。
「左様ですね」
「はい、ですから」
 牧師もその通りだと答えた。
「遠慮は無用です」
「そうですか」
「では」
「これよりですね」
「ご一緒してくれますか」
「わかりました」
 ヴォネガットは頷いて応えた、そうしてだった。
 教会の食堂で三人で食べつつだった、彼は牧師とシスターからこの世界でもメーン州とその宗派のことを聞いた。
 そして聞き終わってだ、彼は言った。
「結構な力を持った宗派ですね」
「このメーン州の中で」 
 牧師はミルクを飲みつつ答えた。
「それで尚更です」
「厄介なことになっていますね」
「はい」
 そうだというのだ。
「状況は」
「そう簡単にはです」
 ヴォネガットは食後の満足感の中で述べた、もう満腹になっているので気持ちも落ち着いていて考えも普段以上にそうなっている。
「ことは進まへんですね」
「はい、まことに」
「宗教は人に必要ですが」
「左様ですね」
「人はパンと水だけで生きることは出来ません」
 よく言われるそのことも言った。
「どうしても」
「はい、確かに」
「その通りです」
 二人もそれはと答えた。
「私達にしましてもです」
「そのことは理解しています」
「神にお仕えしているのですから」
「当然です」
「そうですね、しかしです」
 ヴォネガットはさらに話した。
「それはあくまで正しい教えを信じた場合であり」
「誤った教えを信じますと」
「そうではないですね」
「そうです、そやから」
 ヴォネガットは真剣な顔で述べた。
「ここはどうするか今考えていますが」
「ではです」
 牧師はヴォネガットの言葉を聞いて述べた。 
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