夢幻水滸伝
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第二百七十六話 摩天楼掌握その十
「行ってくわ、そしてや」
「そこからですね」
「アメリカの統一もな」
これもというのだ。
「行ってくで」
「まずはですね」
「そや、まだ第一歩を踏み出したばかりや」
メルヴィルはフォークとナイフでステーキを切ってだった。
そのうえで肉を自分の口の中に入れて咀嚼した、濃厚なソースとレアの肉が肉汁と共に程よく絡み合いいい味を出している。
その肉を味わいつつだ、彼は市長に話した。
「街の掌握はな」
「街で独立勢力となっていたマフィアやギャングを一掃しましたが」
「それは大きなことやったな」
「街にとってな」
ニューヨークという街にとってというのだ。
「非常に、ですが」
「それはな」
「メルヴィル様がこれから為されることを考えますと」
「ほんまにな」
「第一歩ですね」
「それに過ぎんわ、これからはな」
「ニューヨーク州の統一から」
市長もステーキを食べている、彼もティーボーンステーキだが食欲旺盛なメルヴィルのものより二百グラムは少ない感じだ、メルヴィルは普通に五百を食べてしかも実はもう一枚ティーボーンを焼かせている。
「そこからですね」
「アメリカもな」
「統一されて」
「そしてな」
メルヴィルは口直しにサラダを食べてから話した。
「さらにや」
「世界もですか」
「統一するわ」
「そしてですね」
「統一された世界の力を使ってな」
「世界の危機を退ける」
「そうするわ、ただこの世界を脅かす危機やが」
その流麗なエルフの目を顰めさせて述べた。
「わしはまだや」
「おわかりではないですか」
「まだ誰も知らんやろ」
「はい、ニューヨークには優れた占い師もいますが」
それでもとだ、市長は残念そうに答えた。
「しかし」
「それでもやな」
「誰一人としてです」
それこそというのだ。
「その危機が何かはです」
「わかってへんな」
「どの様な文献にもです」
「ニューヨークは優れた図書館もよおさんあるな」
「この街の中に」
まさにとだ、市長は答えた。
「左様ですが」
「図書館の文献にもやな」
「書かれていません」
「全くの謎やな」
「残念ながら」
「そやな、しかしな」
それでもとだ、メルヴィルは話した。
「その危機が何かもな」
「これからですね」
「調べてな」
そうしてというのだ。
「そのうえでや」
「突き止めていかれますね」
「そうするわ、それで今はな」
「州の統一ですね」
「それにかかるで、州の全ての街や村に使者を送って」
メルヴィルは州を統一する具体的な方法も話した。
「わしの下に入る様にな」
「星の方のですね」
「そうする様に勧める、ここでや」
メルヴィルはまたステーキを食べた、そうしながらさらに話した。
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