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夢幻水滸伝

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第二百七十四話 崑崙その九

「その韓信でもや」
「明らかに自分だけでの直接対決は避けてたな」
「それは何故かって言うと」
「韓信はわかってたわ」
 施は腕を組んで述べた。
「自分だけではや」
「項羽に勝てへんってな」
「そのことがわかってたからな」
 それ故にというのだ。
「避けた、その項羽に劉邦が勝てたのはな」
「蕭何がおったからや」
 施にまた言った。
「後ろで領地を万全に治めて」
「劉邦が幾ら負けても兵と物資を送った」
「彭城の戦いでもや」
 劉邦は他勢力をその傘下に加え五十六万となり項羽の本拠地彭城を攻め落とした、だがそこで油断しきり事態を知り激怒した項羽が三万の兵を率いてその大軍を完膚なきまでに叩き潰した戦いだ。あまりもの無惨な敗北に一敗地に塗れるという言葉が生まれた。
「高祖は自分も危うい位負けた」
「あれは凄い負けやったな」
「三十三対四以上のな」
「何でや阪神関係ないやろやな」
 施は笑って応えた。
「そやな」
「そや、もうや」
 それこそというのだ。
「あれ以上はそうない位のや」
「高祖の惨敗やった」
「しかしその時もや」
 歴史に残る惨敗の後でというのだ。
「蕭何が兵とものを送ってな」
「軍を立て直させたな」
「そしてや」
 それだけでなくというのだ。
「高祖が幾ら項羽に負けてもや」
「蕭何が兵とものを送ってな」
「領地を治めていたからな」
「高祖は勝てたな」
「最後な」
 その項羽にだ。
「それを見てもわかる様に」
「万全な政を行ってくれる宰相は必要や」
「太宰は星のモンの中の宰相や」
 そうなるべき人物だというのだ。
「そやからな」
「あいつを仲間にしたらやな」
「宰相や」
「それになってもらうな」
「今と同じくな」 
 綾乃の下にいる現在の様にというのだ。
「あいつはな」
「自分等の下でもやな」
「宰相や、今すぐにも欲しい位や」
 それこそというのだ。
「今の仲間達もめっちゃ優秀でな」
「中国はよお治まってる」
「そうやが」
 それでもというのだ。
「今以上にや」
「ええ政を行ってな」
「確かな勢力になる為にな」
 まさにその為にというのだ。
「あいつはな」
「ほんま必要やな」
「今すぐ仲間にしたい位にな」
 そう思うまでにというのだ。
「あいつは欲しいわ」
「そうやな、自分もあいつは欲しい」  
 施もこう言った。
「天下の宰相はな」
「綾乃ちゃん自身も凄いが」
 棟梁である彼女もというのだ。 
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