夢幻水滸伝
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第二百七十二話 海南省のことその十六
抵抗を諦めた市長は白旗を掲げた、すると茅はすぐに言った。
「これで戦は終わり」
「この省も統一されましたね」
「そうなりましたね」
「これで」
「戦は終わったのですから」
それが為にというのだ。
「この街の市長も役人もです」
「役目はそのままにして」
「この崖県を治めてもらう」
「そうするのですね」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「これより省全体の統治に入ります」
「そうされますか」
「これよりは」
「海南省全体を治められますか」
「そうします」
こう言ってだった。
彼は戦後処理を終えると海口に戻ってそこから海南省全体の統治に入った。様々な産業鉱業それに工業にも力を入れてだった。
軌道に乗ってきたがここでだった。
体調が悪いので医師に診てもらってその結果を聞いて眉を顰めさせた。
「結核とは」
「はい、残念ですが」
人間の医師も残念そうに述べた。
「それになられたので」
「それで、ですね」
「暫くの間ですが」
「入院ですね」
「ご安心を。助かります」
結核はとだ、医師は茅に診察室で話した。
「薬がありますので、ですが」
「それでもですか」
「一年程の入院がです」
それがというのだ。
「必要です」
「治療を受ける間ですね」
「ペニシリンがありますので」
「この世界でもですね」
「はい、ですから」
その為にというのだ。
「無事治ります」
「ペニシリンのことは知っていましたが」
この世界にもあることはだ、茅も知っていた。この世界に来て暫く経ってそうしたことも知ったのである。
「ですがまさかです」
「茅様ご自身がですけ」
「使い」
そうしてというのだ。
「入院するとは」
「思われませんでしたか」
「はい、ですが」
それでもとだ、茅は肩を落として医師に話した。
「仕方ないですね」
「こうなれば」
「では暫くの間です」
「入院されますね」
「そうします、外の世界とはです」
入院してというのだ。
「暫く関われなくなりますね」
「どうかここはです」
医師は切実な声で話した。
「結核は治りましても」
「命に関わりますね」
「そうした病なので」
だからだというのだ。
「そうなられてもです」
「ここはですね」
「お休み下さい、そして治ってからです」
それからというのだ。
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