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夢幻水滸伝

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第二百七十二話 海南省のことその十四

「何もしたことがない場合がありますね」
「左様ですね」
「政だけでなくスポーツもで」
「他のこともですね」
「働いておらず料理も作らないで」
 茅は今度は実例を話した。
「世に偉そうなことを言い働いて食べさせてくれている奥さんの料理にです」
「文句をつける」
「自分では作らないのに」
「それなのにですね」
「作れない、作ろうともしないのにいつも文句を言ったとか」
 そうだったというのだ。
「甘いだの辛いだの」
「食べさせてくれて作っていてくれても」
「それでもですね」
「感謝もせず」
「文句ばかりでしたか」
「はい、そして」 
 そのうえでというのだ。
「どうなったかといいますと」
「離婚ですね」
「奥さんに三行半ですね」
「そうなりましたね」
「常にそうで進歩もなかったので」
 働かずに尊大な発言に終始しかつ感謝もせず逆に文句ばかり言っていたのでというのだ、こうした輩も存在するものなのだ。
「遂に愛想を尽かされて」
「そうなりますね」
「そうならない筈がありません」
「そうなりましたね」
「それでも感謝せず奥さんが家を出る時に爪切りまで持って行ったと文句を言いました」
 そうしたというのだ。
「流石に周りも呆れました」
「爪切りまでお世話になっていてそれとは」
「それはまた」
「とんでもない甲斐性なしですね」
 官吏達も呆れ果てて口々に言った。
「それを言う器の小ささ」
「そこまでお世話になって感謝しない恩知らず」
「そしてそれを言う無神経さ」
「それで他の誰もが見限りました」
 そうなったというのだ。
「甘やかしている母親以外は」
「その母親が問題ですね」
「間違いなく馬鹿げて甘やかしましたね」
「その結果そこまでのろくでなしとなりました」
「そのことが容易にわかります」
「そうですね、こうしたことはです」
 断じてとだ、茅は言った。
「人として失格で甘やかす母親もです」
「どうなのか」
「絶対に碌な輩ではないです」
「駄目な親が駄目な子を育てたのです」
「おら様も思います、何も経験していないと」
 そうであるならというのだ。
「わかりませんし」
「その様な輩になりますね」
「真の意味での無能に」
「そうなりますね」
「その輩の結末はある親戚のお葬式においてです」
 その場でというのだ。
「家族でもないのに上座に上がり」
「何とまあ」
「そこまで弁えないとは」
「礼儀を知らないとは」
「あまりにも酷い」
 茅のその話に官吏達はあらためて呆れ果てた。
「最低限の礼儀ではないですか」
「それすらも知らないのですか」
「周りが見てどう思うかもわからなかったのですか」
「その時点でも働いておらず何処にいられなくなっていたので」
 それでというのだ。 
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