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夢幻水滸伝

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第二百七十二話 海南省のことその一

                第二百七十二話  海南省のこと
 茅は目を開いてまずは目の前に広がる世界が今自分がいる現代の日本ではないことがわかった。見ればだ。
 二十世紀初頭清代末期の中国の感じだが文明はその頃の中国より発展している感じだった、身なりは清潔であり。
 人間以外の様々な者達がいた、ここで声からこの世界のことを聞いて理解した。そしてこの世界の自分のことも聞いた。
 それでやるべきことを理解してだ、まずは丁度自分がいた城門のところでそこを守っている兵の一人に事情を話した。
 するとだった、人魚の兵士は仰天して言った。
「道理で気が違います」
「そうですか」
「ステータスもです」
 兵士は彼のそれを見て話した。
「私達とは天と地程の差があるので」
「だからですか」
「貴方のお話が嘘ではないとです」
「信じてくれますか」
「はい」
 こう茅に答えた。
「そうしない筈がないです」
「そうですか」
「あの、それでなのですが」
 人魚の兵士は茅にあらためて話した。
「実はここは海口ですが」
「その街ですか」
「そうです、この街にも大きな寺がありますが」
「仏教のですね」
「左様です、ですが今そちらで大僧正が丁度星の方が来られると言われていて」
「丁度そこにですね」
「貴方が来られました」
 こう茅に話した。
「丁度いい具合に」
「そうなのですね」
「はい、それでなのですが」
 兵士は茅にあらためて話した。
「これからそのお寺に行って」
「大僧正とお会いして」
「これから何をされるかお考え下さい」
「この世界を救うことが務めと言われましたが」
 声からだ、彼は言われたのだ。
「具体的に何をしたらええか」
「まだおわかりではないですか」
「はい」
 茅は兵に正直に答えた。
「具体的には」
「そうですね、では尚更です」
「大僧正とですね」
「お話をして」
 そうしてとだ、兵は茅に話した。
「決められては」
「そうします」
 茅もそれならと答えた、そうしてだった。
 彼はその兵に案内されて海口の仏教の寺に入った、するとそこには中華の僧衣を着た僧侶達がいてだった。
 それぞれ修行に励んでいたが茅を見てだった。
 誰もが仰天してだ、口々に言った。
「まさか」
「いや、そのまさかだ」
「この方は星の方だ」
「そうだな」
「オーラもステータスも違う」
「間違いなく星の方だ」
「大僧正様の言われた通りだ」
 兵に案内されて寺の中を進む茅を見て言うのだった。
「近々この海南省にも星の方が来られる」
「そして世界を救う為に働かれる」
「それをはじめられると言われていたが」
「まさにその通りだ」
「今この寺に来られた」
「それではだ」
「この世界は救われる」
 茅の姿に希望さえ見ていた。
「何と有り難い」
「よくぞ来て下さった」
「この世界を襲う危機が何かまだわからないが」
「それから世界を救うという星の方が来られたのだ」
「我等は救われる」
「間違いなくそうなる」
 誰もが笑顔で言っていた、それでだった。 
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