夢幻水滸伝
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第二百七十一話 痛み分けとなりその十五
「魯の言う通りや」
「繁栄を維持することは難しいですね」
「それに達することも難しくてな」
「そうしたもんですね」
「政はな」
「そのことを頭に入れて」
「政をやっていかんとな」
郭はこうも言った。
「ほんまにな」
「あきませんね」
「そういうこっちゃ」
「全くです、都の守りは三重の城壁とです」
茅は落ち着いた穏やかな声で話した。
「二十万の兵とです」
「多くの兵器で守ってる」
屈が応えた。
「それでまず攻め落とせんでも」
「しかし油断すれば」
茅はさらに言った。
「その時はです」
「攻め落とされて」
「そして都の繁栄もです」
開封のそれもというのだ。
「跡形もなくなります」
「うたかたの夢として」
屈は苦い顔で言った。
「そもそもこの開封まで来られるとなると」
「領内深く攻められてる」
「絶望的な状況です」
「何処から攻められても」
「そうならないことにするのも政」
「羅さんと施さんの言われる通りに」
「全く以て」
茅に応えて述べた。
「その通り」
「ほんまに」
「全くやね、それとや」
美蓮は二人のやり取りに頷きつつ茅に問うた。
「ちょっとええやろか」
「何でしょうか」
「自分のことやけどな」
施自身のこというのだ。
「ええやろか」
「ああ、何かわかりました」
「そやろ」
「海南省でのことですね」
「そや、教えてくれるか」
「統一までどやったか」
「それをな」
こう茅本人に言うのだった。
「今から教えてくれるか」
「はい、それでは」
茅は美蓮の言葉に応えた、そうしてだった。
仕事が終わって夕食の宴の時にだった、彼は自分のことを語りはじめた。仲間達もそれを飲み食いしつつ聞くのだった。
第二百七十一話 完
2022・8・23
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