夢幻水滸伝
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第二百七十一話 痛み分けとなりその十四
「そのことを思えばでし」
「この繁栄も当然やね」
「何といってもでし」
郁は官邸の中で笑いつつ話した。
「大運河の接点でし」
「黄河と長江を結ぶな」
「もっと言えば淮水もでし」
黄河と長江の中間にあり中国を南北に分ける境目でもある川である。
「つないでいるでし」
「そうなるとな」
「まさにでし」
郁はさらに話した。
「北京にまでつなげていることもあってでし」
「中国の富が集まるわ」
「そうでし、そやからでしよ」
「この繁栄も当然やな」
「そうでし」
こう紅美に言うのだった。
「全く以てでし」
「その通りやな、しかしや」
魯は郁の言葉に応えて言った。
「繁栄を維持することもや」
「大事でしね」
「政においてはな」
「そうでしね」
「確かに繁栄させることは難しい」
このこと自体がというのだ。
「しかしな」
「繁栄を維持させることはですね」
「もっと難しいんや」
こう王に話した。
「控え目に言っても同じ位や」
「難しいですね」
「そやからな」
「これからはですね」
「開封にしてもな」
「繁栄を維持する様にしていくことですね」
「そや」
それが大事だというのだ。
「ほんまにな」
「それが政治ですね」
「そういうことや」
「全く以てそうですね」
「起きた世界でも確かに開封は繁栄してた」
このことは事実だというのだ、当時世界の総生産の半分を占めていた経済大国の都であっただけはあってだ。
「しかしそれは永遠やったか」
「ちゃいました」
花華が答えた、深刻な顔で。
「残念なことに」
「そやったな」
「金が攻めてきて」
「失政が相次いでな」
「開封は陥落し」
「戦で無惨に荒れ果てたわ」
「左様でした」
魯に沈痛な顔で答えた。
「そしてそれからはでした」
「宋と金の争いの中で荒れ果てたままやったわ」
郭も言って来た。
「四十年位平和やった時もあったが」
「ずっと争っていてでしたね」
曹も言ってきた。
「開封の繁栄は消えました」
「そうなった、そう考えるとな」
郭も言うことだった。
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