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夢幻水滸伝

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第二百七十話 晴れた時にはその十三

「そやな」
「宋江と魯俊義ですね」
 莫は羅にも応えて述べた。
「そうでしたね」
「水滸伝みたいにしてもな」
「わたくし達はええですね」
「別にな」
「ほな」
「ああ、この戦が引き分けになったらな」
 その時はとだ、羅は述べた。
「もうな」
「それで、ですね」
「あらためて施と話すか」
「そうされますね」
「ここはな」 
 仲間達とこうした話をしつつだった。
 羅はこの日も戦った、この日は星の者達は一騎打ちをせずそれぞれ采配を執って戦った。北軍は正面から全力で南軍に攻勢を仕掛け。
 南軍は堅固な布陣でそれを防ぐ、施は陣頭に立ち軍全体の采配を執りつつそのうえで緑麗に対して言った。
「目に見えてな」
「将兵達が疲れてきてますね」
「ああ、今日か明日でな」
 施は知らないが彼は羅と同じことを言った。
「疲労が極みに達して」
「戦えへん様になりますね」
「自分等は大丈夫でもや」
「将兵達はそうはいきません」
「大雨の中激しい戦を朝から晩までやってるんや」
「それやとです」
 蒲が言ってきた。
「疲れて当然です」
「夜は寝て三食たらふく食ってもな」
「武装して朝から晩までです」
「大雨の下戦ってるとな」
「疲れない筈がありません」
「そやからな」
 そうした状況だからだというのだ。
「もうな」
「限界はですね」
「来る」
 絶対にというのだ。
「今日か明日でな」
「雨は続きそうです」
 美蓮は天候の話をした。
「明日の夜まで」」
「まさにその明日やな」
「風水師達に話を聞きますと」
「それやとやな」
「はい、彼等は気象もわかりますが」
 自然の力を操れるだけでなくだ。
「彼等から聞きますと」
「明日の夜までやな」
「雨それも大雨は続きます」
 そうなるというのだ。
「どうやら」
「それやとな」
「リミットは明日ですね」
「その時までに決着がついてなかったらな」
 施はその目の光を鋭くさせて話した。
「もうな」
「どうしますか、その時は」
 蒲はその時のことを尋ねた。
「一体」
「将兵が戦えんとしゃあない」 
 そうなった時はというのだ。
「もうな」
「では」
「引き分けってのもな」
 この結末を迎えることもというのだ。
「頭に入れておこか」
「そうですか」
「ああ、お互い一歩も退かん戦局やし」
「このまま進めばですね」
「そうなるかもな」
 こう言うのだった。
 施は采配を執りつつこれからのことも考えていた、大雨の中三日目の戦いが行われ決着はつかず将兵達の疲れは蓄積していった。


第二百七十話   完


                   2022・8・15 
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