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夢幻水滸伝

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第二百七十話 晴れた時にはその十二

「もうな」
「戦えへんですね」
「疲れが溜まってきてる」
 大雨の中自分達の采配の下戦いはじめた彼等を見つつ言った。
「そやからな」
「限界に来た時は」
「停戦いや引き分けでや」
「戦を終わらせることも」
「考えるか」
 真剣に考える顔で述べた。
「そうすることもな」
「引き分けですか」
「そや」 
 その戦の終わらせ方もというのだ。
「戦は勝ち負けだけやない」
「引き分けもありますね」
「よく天に二日なしと言うけれどな」
「それは皇帝ですね」 
 曹が言ってきた。
「あくまで」
「皇帝だけは一人だけや」
 羅は曹にも答えた。
「王は東周の後期からは何人でもおる」
「秦が韓、魏、趙に分かれてから」
「もっと言えばその皇帝もか」 
 至高にして唯一と呼ばれるこの存在もというのだ。
「三国時代は三人おったしな」
「魏、呉、蜀で」
「それで五胡十六国時代は何人もおって南北朝や宋代もや」
「複数いましたね」
「宋が統一王朝にしても」
 趙匡胤が建国した王朝だ、この国が五大十国時代を終わらせて中国を再び統一したことは歴史にある通りだ。
「遼や西夏それに金があってな」
「それぞれの国も皇帝が主でしたし」
「宋だけやなかった」
 中国で皇帝を擁していた国はというのだ。
「そうやったしましてや棟梁になるとな」
「一人でなくてはいけないとはないです」
 巴は断言した。
「そうしたことは誰も言っていません」
「そやな」
「星の者が世界を救うとありますが」
「我等がな」
「左様ですね」
「そうなるとな」
 魯は断言した巴にも話した。
「別にや」
「中国を統一しても」
「どのみち星のモンは一緒にやってく」
 このことは規定事項だった、南北のどちらが勝とうともともに力を合わせて中国を治め中国から世界を統一し全ての星の者達を糾合しそれで以て世界を救うことは。
「それやとな」
「引き分けでもですね」
「ええわ、どっちが上やなくてな」
「世界の危機を救う」
「そのことが大事やろ」
「はい」
 巴は確かな言葉で頷いて答えた。
「我々の目的はです」
「それが大事であってな」
「羅さんが棟梁になることではないですね」
「そやないと中国が収まる訳でもないしな」
「そこが皇帝とちゃいますね」
「世界を統一したらやっぱり盟主は必要やろうが」
「その時に決めればええですね、それに」
 ここで巴はこう言った。
「水滸伝の様にしてもええです」
「ああ、水滸伝は頭領が百八人いますね」
 莫は巴の言葉にはっとして応えた。
「そうですね」
「そしてまとめるのは二人とされてるな」
 羅も言った。 
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