夢幻水滸伝
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第二百六十七話 徐州に向けてその四
「しかしな」
「冒険者のままの人も多いですね」
「これがな」
「左様ですね」
「生活は安定せんが」
依頼がなければ報酬がない、それが冒険者だ。だから冒険者ギルドではモンスター退治や災害救助以外に日雇いの仕事も出している。
「しかしな」
「それでもですね」
「多いな」
「そうですね」
「軍隊は衣食住は安定して地位もあるが」
羅は考えつつ話した。
「しかしな」
「それでもですね」
郁が応えた。
「規律規律で」
「何かと厳しいからな」
「そうですね、軍は」
「さもないとな」
規律で縛らないと、というのだ。
「暴れて好き勝手やってな」
「只のならず者の集団になりますね」
「それやと賊と変わらん」
「実際起きた世界の我が国ではよくありました」
「そや、そもそもまともなモンを兵隊にせんでな」
そしてとだ、羅は郁に話した。
「どうしようもない連中ばかりな」
「ええ鉄は釘にならんでええ人は兵隊にならん」
「そう言われてたな」
「それで兵を出してもでした」
「暴れるだけでな」
行く先々でだ、略奪等ばかり行っていたのだ。
「いざ戦うとな」
「使いものになりませんでした」
「そやったからな」
だからだというのだ。
「軍はしっかりとや」
「規律で厳しく縛って」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「訓練もな」
「徹底させますね」
「そうしてるしこれからもな」
「そうしていきますね」
「そや、軍はな」
まさにというのだ。
「徹底させる」
「そうですね、しかしです」
それでもとだ、郁は話した。
「冒険者はです」
「そんなのはない、ギルドに登録したらな」
それでというのだ。
「誰でもなれてな」
「後は自分の頑張り次第ですね」
「全部自己責任でな」
「自分の努力次第ですね」
「そや」
まさにというのだ。
「それが冒険者は」
「自由気ままです」
金も語った。
「そうしてますね」
「それがええってモンも多くて」
「兵になることを誘ってもな」
「残るモンも多いですね」
「そやな、安定した暮らしと立場は得られて」
軍に入ればだ。
「功績を上げたらな」
「出世も出来ます」
「兵隊からはじまってもや」
それでもというのだ。
「士官になることもや」
「可能です」
「それもすぐにな」
「士官になればちゃいます」
「そや、こっちの世界でも欧州や地下世界やと貴族や」
そうした地域ではまだ階級が存在している、その為指導的な立場にはそうした者達が就くのが普通なのだ。
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