おっちょこちょいのかよちゃん
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252 杖が選ぶ者
前書き
《前回》
組織「次郎長」と「義元」の連合がアルバートを攻撃するが、アルバート自身もまた神を操る事ができていた為倒せなかった。アルバートはカトリックの能力で形成したライオンとユニコーンで対抗する。神で対抗するジャンヌでも完全に対処しきれなかったものの、剣の奪還に貢献したクイーン・ベスとブランデー・ナンが大野達の味方となる。ヴィクトリアとかよ子達の側には輝虎やサラディンがかよ子の味方となり共闘する。そして更にかよ子の味方として現れたオットーがかよ子とヴィクトリア、どちらが杖に相応しいかを裁定する術を掛ける!!
前回から登場したオットーの元ネタは言うまでもなく、ドイツを樹立させたオットー・フォン・ビスマルクです。彼は逆にアドルフ・ヒトラーに繋がる存在という評価をされる事もありますが、彼の行った体制でヨーロッパに戦火が殆ど存在しなかった事、彼がアフリカなどへの植民地化を好まなかった事から平和を正義とする世界の人間として登場させました。
本部の管制室。まき子やイマヌエル達は中西部でかよ子達がその場で動かない様子を確認していた。
「クイーン・ベスやブランデー・ナン、更にはサラディンやラクシュミー達も応援に来る程の激しい戦いとなっているな」
「かよ子達は杖を取り返すすぐそこまで来てるのね」
まき子はかよ子を必死で応援する。
「かよ子、負けちゃだめよ!!頑張って!!」
まき子は娘に届かないと解っていながらもあえて通信機は使わずに発声して応援した。
「きっと取り返せるよ、まきちゃん」
奈美子はそう信じていた。
アルバートと交戦する大野達はクイーン・ベスとブランデー・ナンの援護で自身の方に有利に傾いていた。
「和光晴生、何とかせんか!?」
アルバートは和光に迫る。
「だが、俺のビデオカメラも使えなくなっちまってんだ!!」
「くそ!」
アルバートは剣で熱風を出して大野達を焼き払おうとした。
「大天使ミシェル!!」
だがジャンヌが大天使ミシェルを召喚した。ミシェルの炎がアルバートの熱風に対抗する。
「私もボーッとできんな!」
椎名が玉から大波を出して熱風を消した。大野の草の石から大木の枝が、雷の石から電撃が、ブー太郎の水の石から激流が、まる子の炎の石から火炎放射が放たれる。そしてエレーヌが舞い、それらを更に強化させた。アルバートはまた剣を振って薙ぎ払おうとした。しかし、腕が動かない。
「念力を発動させたわよ!」
のり子がキャロラインと同化して念力でアルバートの腕を封じたのだった。そして剣はアルバートの手から離れた。
「これで終わりにさせて貰うぜ!!」
山口の矢に川村のバズーカ、そしてヤス太郎のパチンコが勢いよく発射される。アルバートは吹き飛ばされた。そしてアルバートは倒され、光となる。
「おお、凄いぞ、皆〜!!」
友蔵は喜んだ。
「な・・・!!」
和光は慌ててトランシーバーを取り出した。
「こちら和光!劣勢になった!」
『解ったわ、レーニン、離脱をお願いします』
「待て、和光晴生!!」
関根が国定忠治の刀を持って和光に掛かる。しかし、あと一歩の所で瞬間移動を許してしまった。
「取り逃がしたか・・・」
「だが、アルバートは倒せた。あとはあの女王のみ。杖の奪還に加勢しよう!!」
「ああ!!」
この世界で最上位の能力を持つ杖がオットーの術に掛けられる。杖はかよ子の手に戻るのか、それともヴィクトリアの物となるのか・・・。だがその時、杖がガタガタと震え出した。
「ど、どうした・・・!?杖よ!!」
ヴィクトリアは違和感を覚えると共に驚く。そしてヴィクトリアが毘沙門天から写し取っていた神の力が消えた。杖によって召喚された毘沙門天が姿を消す。
「な・・・!?」
ヴィクトリアは更に杖を持っている自分の手が熱くなっているのに気づいた。
「どういう事、なの・・・!?ああ・・・!!」
ヴィクトリアは熱さで杖を手から離してしまった。
「その杖は我が術によって真の所有者を選ぶという自我を芽生えさせたのだ。更に神の力を写し取るなどお主にとってはまだ無理のありすぎる行為だ。杖にも限界が来たのだ!!」
「そんな・・・!!」
そして杖は宙に浮いた。
「さあ、杖が正しき所有者として選ぶのはどちらか!ヴィクトリア、貴様か、それともこの山田かよ子か!?」
かよ子は杖を見る。そして心の中で思う。
(私の杖・・・、お願い、戻って来て・・・!!今度はもう盗られるなんておっちょこちょいはしないから・・・、もっと、もっと強くなって上手く使いこなせるようになるよう努力するから・・・!!そして杉山君が大野君と仲直りできるように、そして元の日常に戻す為にもその杖が必要なんだ・・・!!)
かよ子は杖に己の望みを全て願った。杖が空中で回転を始めた。その場に先程アルバートとの戦いを終えたまる子達が駆けつけた。
「かよちゃん!」
「山田!」
「ブヒョー!!こ、これは一体、何だブー!?」
ブー太郎が杖が空中に浮いているのを見て驚いた。
「このオットーの術だ。あの杖がヴィクトリアか山田かよ子か、どちらを正しい所有者として選ぶかを裁定しているのだ」
次郎長が解説した。
「お前ら・・・!!」
ヴィクトリアは光線を終えた大野達を見た。そして向かい側を確認する。
「アルバート、アルバート・・・!!」
ヴィクトリアは自身の愛する夫・アルバートが二人の女王にこの子供達に殺された事で悲嘆したのだった。
「こ、これでも杖を渡す訳には・・・!!」
そして杖が回転しながら落ちて来た。
「杖!お願い!!私の所へ・・・!!」
杖はかよ子の元へ向かった。かよ子は手を差し出す。そして右手でキャッチした。
「残念だね、杖が選んだのは私だったね」
「そんな、私の杖が・・・」
「この最上位の強さを誇る杖を持つのに相応しいのはお前ではない、ヴィクトリア。この娘よ!!」
クイーン・ベスが断言させた。
「うるさい、お前達・・・!!」
ヴィクトリアはアルバートが使用していた剣を拾った。
「なら見せてやるわよ!!岡本公三!!」
「は、はい!」
岡本は聖母マリアの力を強めた。
「もうこれ以上好きにはさせん!!」
しかし、サラディンがイスラムの能力で、輝虎が毘沙門天の能力を出してマリアに対抗した。
「あ、あああ・・・!!」
聖母マリアが消滅する。
「女王、駄目だ、俺も窮地だ・・・!!」
その時、トランシーバーが鳴る。
『岡本!和光だ!!お前もレーニンの緊急脱出で移動させる!』
「あ、ああ!!」
岡本がその場から消える。
「ま、待て!!」
かよ子は叫ぶ。大野が草の石で拘束しようと蔓をだしたが、弾かれた。そして声が聞こえる。
「ふ、西川純と同じような目に遭わせん」
「この声は・・・、レーニン!!」
かよ子は思い出した。
「な、私を置いて・・・。もう分かったわよ、こいつら纏めて私一人でやっつけてやるわよ!!」
ヴィクトリアは叫びながら急に剣を振り回した。冷風が皆を襲う。
「さ、寒い~、こ、凍え死ぬ~」
「さくらももこ、お主の炎の石を使え!」
「う、うん!!」
まる子は炎の石を能力を行使した。
「まるちゃん、私も手伝うよ!」
かよ子は杖をまる子が出した炎に向ける。かよ子は自分の杖をまた使用する事で久々な感触がした。
(私にまた、使えるようになるかな・・・!?)
かよ子の杖から炎が飛び出した。それもさらに強力な炎である。
「いけえ!!」
かよ子の炎とまる子の炎が合わさり、冷風を完全に消した。
「お、終わらん、終わってたまるか!!」
ヴィクトリアは血迷う。そして幾度も剣を振るった。
「いけえーーー!!」
かよ子は炎攻撃を緩めなかった。
後書き
次回は・・・
「格闘能力の強化」
オットーの術でかよ子の元に杖が戻る。かよ子とまる子の炎の攻撃でヴィクトリアを苦しめるが、ヴィクトリアはやられまいとアルバートの剣で悪足掻きをして抵抗する。そしてかよ子の杖が青く光り出す。その青い光はかよ子に何をもたらすのか・・・!?
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