夢幻水滸伝
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第二百六十四話 侠の世界からその十五
「私だけやなくて杜さんもな」
「貴州省のあの方もですか」
「招かれてるで」
「ではお三方で」
「話すことになるな」
こう言うのだった。
「予想やけどな」
「そうなりますか」
「張さんも考える人やからな」
「お二方ではなく」
「三人でな、この辺りの星のモン全員でな」
それでというのだ。
「お話しようってな」
「その様にですか」
「考えてる筈やで」
「お見事ですね」
市長はここまで聞いて唸る様にして述べた。
「流石はです」
「星のモンやって言うんやな」
「はい」
その通りだとだ、緑麗に答えた。
「まことに」
「いや、それはな」
「違いますか」
「そう思うで、人やな」
「人ですか」
「そや、星のモンは人でな」
それでというのだ。
「人として広く政を考えるとな」
「ここで一度にとですか」
「考えるもんやろ」
「そう言われると迂闊でした」
市長は恐縮して述べた。
「私の至らなさです」
「そうなる?」
「なります、私は所詮市長でしかないですね」
今自分達がいる昆明のというのだ。
「この街の利益や発展は考えられても」
「それでもかいな」
「省位までは考えられても」
「それを越えてかいな」
「複数の省そして中国全体ともなると」
それこそというのだ。
「到底です」
「考えられんか」
「はい、ですが」
「私等は星のモンでな」
「この世界を救うことがですか」
「やるべきことやからな」
それ故にというのだ。
「世界全体を基準として常に考えてるさかい」
「そうお考えですか」
「市長さんはそれでええやろ」
こう市長に話した。
「それでな」
「街のことばかり考えても」
「それがお仕事やしな」
「そうなのですね」
「それで至らんってことはないで、これが省全体の政に関わるんならな」
「省のことをですね」
「考えてな」
その様にしてというのだ。
「それで中国全体ならや」
「我が国のことを考える」
「それでええで」
「自分の仕事のことを考えることですね」
「人はな、ほな張さんとな」
「お会いになって」
「そして話をするで」
笑顔で言ってだった。
緑麗は張と会うことにした、すると話は進み成都で会うことになった。こうして緑麗はこの世界に来てはじめて雲南省から出ることになった。
第二百六十四話 完
2022・7・1
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