夢幻水滸伝
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第二百六十四話 侠の世界からその十三
「ああした風にはな」
「しないですね」
「あの方々はまた特別です」
「ロシアは言うなら酒の国です」
「酒なくして何も出来ません」
「寒さがちゃうしな、けれどここはロシアやない」
だからだというのだ。
「そこまではな」
「飲まれないですね、白様も」
「左様ですね」
「そしてですね」
「時々飲まない日ももうけられますね」
「そうしてるわ、飲むのは好きでも」
それでもというのだ。
「毎日朝から晩まで飲むとかはな」
「されないですね」
「では政ですね」
「それに励まれますね」
「鍛錬とな」
武芸のそれも行うというのだ。
「やることは多いわ、休みなしや」
「それは何よりです」
「ではどんどん励まれて下さい」
「そうしてくれると我々も助かります」
「安心して飯が食えます」
「そやな、しかしこれからほんまにどうしよか」
ビールを飲みつつも考えることは政のことだった、そのことを考えながら先のことも考えていた、そしてだった。
暫くしてだった、緑麗のところに。
「四川省の張さんからか」
「はい、文が来ています」
昆明の市長が彼女の執務室に来て話した。
「白様宛てに」
「わざわざかいな」
「それも郵便を用いず」
この世界にもこれは存在しているのだ。
「使者の方がです」
「持って来てくれたんやな」
「左様です」
「親書やな」
その文についてだ、緑麗はその目を鋭くさせて述べた。
「それは」
「そちらになりますね」
「そや、これはな」
まさにというのだ。
「それや、そこまで重要なもんなら」
「無碍には出来ないですね」
「絶対にな」
こう言うのだった。
「それは出来ん」
「それでは読まれますね」
「そうするわ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「その文次第によっては」
「張様とですか」
「どうかなるな」
「そうですか」
「まさか戦やないやろ」
緑麗はそれはないと考えた。
「あの人は好戦的やない」
「そうは聞いていないですね」
「そやろ」
まさにと言うのだった。
「そやからな」
「ここはですか」
「そのお話にな」
是非にと言うのだった。
「乗ろかってな」
「お考えですか」
「多分やけどな」
考える顔でだ、緑麗は市長に話した。
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