夢幻水滸伝
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第二百六十三話 山中の賢者その十四
「この世界では荒ぶる神や魔神も多いですね」
「あらゆる宗教で存在していますね」
「道教でも仏教でもそうですし」
「キリスト教でも存在していますね」
「グリモワールの魔神達もそうですね」
「その中にありますね」
「そうですね、そやけど」
ここで花華は蒸し餃子を食べながら話した、タレは辛くそのぴりりとした辛さを楽しみつつ食べている。
「どれも人にええこともしますね」
「そして世界にも」
「悪かというとです」
「一概にそうも言えません」
「マヤのテスカトリポカ神も然りですね」
「台風をもたらしますが」
「それと共に恵みの雨をもたらすので」
だからだとだ、花華は話した。
「一口に悪かと言うと」
「言い切れないですね」
「キリスト教の魔神達も人や世界を助けてくれます」
「そうしたこともしてくれます」
「逆に天使達も荒ぶります」
「そうした振る舞いが多いです」
「魔神も一概に悪と言えず」
キリスト教の教えでは悪魔とされる者達を率いる者達であるがというのだ。
「天使も善かといいますと」
「言い切れないですね」
「どうにも」
「人間から見ますと」
「そうですね」
「悪魔が何故悪か」
花華はこの定義から述べた。
「それは神に逆らうからだと言い切る人がいますが」
「この世界でもいますね」
「極めて熱烈な教徒に」
「流石に極めて少数派ですが」
「存在していますね」
「これは神は問答無用で絶対の正義である」
この言葉を出したのだった。
「その前提がないとです」
「成り立たない理屈ですね」
「神が絶対正義で何が何でも正しい」
「だからその神に逆らう悪魔は悪である」
「そうなるにはですね」
「神が絶対正義であることが前提です、そやけどです」
考える顔でだ、花華は周りに話した。
「それは成り立つか」
「難しいですね」
「どうにも」
「少なくともこの世界では間違っている考えです」
「殆どの者がそう考えます」
「この世界でも宗教はキリスト教だけやないですし」
その信者は多いがだ。
「魔神にしてもほんまに悪か」
「実は進んで人に害は為しませんし」
「世の中についても」
「むしろ助けを求めると助けてくれます」
「自分達の陣営につくことによって」
「私等道教の信者から見ますと」
即ち第三者の視点から客観的にというのだ。
「天使も悪魔もです」
「それぞれですね」
「人や世界を助ける神霊であり」
「完全な善でも悪でもないですね」
「むしろ世界を支えてくれる存在ですね」
「他の教えの神霊達と共に。それに」
ここでだ、花華は。
考える顔になりだ、周りに話した。
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