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夢幻水滸伝

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第二百六十三話 山中の賢者その十一

「豊かになれば。豊かさは力なので」
「その力で、ですか」
「この世界を脅かす危機を退ける」
「そうされるのですね」
「それが杜様のお考えですね」
「そのつもりです」
 はっきりとした声での返事であった。
「我々は」
「左様ですか、ではです」
「神具も使われて」
「それで、ですね」
「これからも政を進めていかれますね」
「そうします」
 こう言って実際にだった。
 花華は内政を進め勢力圏を豊かにしていってだった。
 そうして降ってくる街や村を迎え入れそうした街や村も豊かにしてだった、そのうえで軍勢を山に送ってだった。
 獣やモンスターを退治しそこに入る民の安全も確保し降った者達は軍に入れて人の将兵共々鍛え装備も整えた。
 そうしていくとだった。
 遂に貴州省の全てが彼女のものとなった、ここで花華はそれを祝う場で桂花陳酒と林檎を前にして言った。
「これまではよかったですが」
「あの、さらにです」
「ここからもです」
「勢力を大きくしていかれないですか」
「そうされないのですか」
「ここまでは順調でしたが」
 それでもというのだ。
「私はここまでの器です」
「貴州省を統一されましたが」
「しかしですか」
「そこまでですか」
「そう言われますか」
「ここからはもう」
 考える顔で話した。
「満足に治めることも勢力を拡大させることもです」
「ないですか」
「もうですか」
「これ以上は」
「そうですさかい」 
 だからだというのだ。
「今後どないするかをです」
「考えていかれますか」
「そうされますか」
「省を統一されましたが」
「これからのことはですか」
「考えていきます」
 こう言うのだった。
「具体的に」
「そうですか」
「ではこの度の宴はですね」
「統一を祝う場ですが」
「これからのことについてですか」
「考えはじめるです」
 それをというのだ。
「場でもあります」
「そうなのですね」
「ではですね」
「今からお話をされますね」
「いや、今はです」
 花華は宴の場にいる者達に話した、主な街や村の長達に勢力の中心を担う官吏達や省の名士達が揃っている。
「祝います」
「そうですか」
「そうされますか」
「そしてですか」
「その後で、ですか」
「お考えになられますか」
「そうします」
 こう言うのだった。
「宴は宴で」
「政は政」
「そういうことですね」
「だからですね」
「それに専念します」
 花華は確かな声で言った、そうしてだった。 
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