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夢幻水滸伝

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第二百五十九話 貴州省掌握からその十四

「あっちにつく街や村が出て来るで」
「今チベットも四川省も攻められてますが」
「あっちに傾くで」
「そうなりますね」
「ほんまにね」
 こう緑麗に話した。
「今私等劣勢やしな」
「貴州省を奪われて」
「そうなってるさかいな」 
 それだけにというのだ。
「やばい状況になるで」
「昆明を攻め落とされると」
「かなりな」
「そやからですね」
「ここはな」 
 是非にというのだ。
「守るで」
「わかりました、ほな」
 自身の神具である涯角槍を手にしてだ、緑麗は花華に応えた。そのうえで彼女と共に街の守りをこれまで以上に固めて施と蒲が率いる軍勢を迎え撃たんとした。
 そして施は蒲と共に五十万の大軍を率いて昆明に至った、残り十万は予備戦力として曲靖に置いている。
 その守りを見てだった、蒲は施に話した。
「これまでの街以上にです」
「堅固やな」
「はい、これはです」
 隣にいる施にさらに話した。
「そう簡単にはです」
「攻め落とせんな」
「そうかと」
「ああ、これは容易にはや」
 施もこう言った。
「攻め落とせん」
「そうですね」
「しかし攻め落とせるで」
「今からですね」
「そや、術や砲撃への防壁もかなりでな」
「反撃の姿勢も充分ですね」
「そして周りにな」
 城即ち街にとだ、施はそちらも見回して話した。
「山が多い」
「木に覆われた山が」
「迂闊に城攻めに専念してるとな」 
 その時はというのだ。
「伏兵にや」
「襲われますか」
「そうなるわ」
 こう話すのだった。
「籠城はただ城を守るだけやない」
「時として城を出てですね」
「反撃を加えたりな」 
 若しくはというのだ。
「攪乱させたりな」
「ゲリラ戦を仕掛けることもですね」
「あるわ」
「だからですね」
「そや、それでや」
「そちらにも注意せんとあかんです」
「しかしな」
 それでもと言うのだった。
「これだけ厄介な城つまり街でもな」
「攻め落とす方法はありますね」
「確実にな、そやからな」
「今からですね」
「城攻めにかかるで」
「わかりました」
 蒲は施のその言葉に頷いた、そうしてだった。
 街を完全に包囲してそのうえで城攻めの準備を整えた、そうして術や火器による攻撃を開始した。だが。
 街の守りは堅固で寄せ付ける気配すらない、だが施は言うのだった。
「まずはな」
「こうしてですか」
「攻めていけばええわ、そしてや」
「この街をですか」
「攻め落として雲南省も手に入れるで」
 城を囲んでの総攻撃も通じていないがそれでもこう言うのだった。
「ええな」
「はい、それでは」
 蒲は施を信じることにした、そうして今は攻め続ける自軍の指揮を執るのだった。


第二百五十九話   完


                   2022・5・23 
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